全部飲むのが難しい経腸栄養剤(イノラス配合経腸用液)を味見
薬の味を的確に説明できることは、薬剤師の服薬指導の幅を広げます。
自ら味見をして感じたことを患者さんに上手に伝えましょう。
高齢者の食欲不振などで処方される、経腸栄養剤。少量でもカロリーなどを効率よく摂取できる反面、甘すぎるために飲みづらさを訴える患者さんによく遭遇します。
別の製品に変更したり、同一の製品でも別のフレーバーを試したりする手もありますが、それでもなかなか全量摂取できないこともあるのではないでしょうか。そんな時、みなさんはどうやって対応していますか?
今回味見を行う経腸栄養剤の一つ、イノラス配合経腸用液は、1本あたりの量が少ないのが特徴の1つです。2023年7月に、それまで販売されていた187.5mL(300kcal)の製品に加えて、125mL(200kcal)という、さらに少量の製品が発売されました。
風味は、コーヒーフレーバーと、今までにない紅茶フレーバーの2つです。
今回は、125mLの紅茶とコーヒーフレーバーに加え、既存のいちごとりんごフレーバーの、合計4種類の味見を行いたいと思います。
イノラス配合経腸用液(りんごフレーバー)
そういえば、医療用でりんご風味の栄養剤って他に思い当たらないような気がします。
甘味 :★★★★☆4
苦味の感じにくさ:★★★★☆4
香り :★★★★☆4
後味 :★★★★☆4
前回の味見の際にも感じましたが、リンゴのさっぱりした風味が、栄養剤特有の甘さを緩和している印象です。「甘すぎるから飲みたくない」と訴える患者さんが時々いらっしゃいますが、個人的にはこのリンゴフレーバーを試してみると良いと思います。
イノラス配合経腸用液(いちごフレーバー)
いちご風味の医薬品って多いですよね。
モンテルカストチュアブル・細粒、エンシュア・リキッド、エンシュアH、市販薬ですと、オブラートにいちご味の製品があったりします。
うちの子供もいちごが大好きですが、日本人に受け入れられやすい味の1つなのかもしれません。
甘味 :★★★★☆4
苦味の感じにくさ:★★★★☆4
香り :★★★★☆4
後味 :★★★★☆4
いちごのお菓子をわずかに感じさせるような香りです。
いちごの酸味によって甘さを弱めて飲みやすく改善していると思います。
ゼラチンなどで固めてゼリー状のお菓子にしても美味しいかもしれません。
イノラス配合経腸用液(紅茶フレーバー)
今回、新しいフレーバーとして登場した「紅茶フレーバー」
今まで多くの医薬品の味見を行なってきました。
緑茶や抹茶の味はありましたが“紅茶は”初めてだと思います。