腸の疾患薬5種を味見!ロペラミド錠、コデインリン酸塩散、タンナルビンなど
胃腸炎などで食事がとれない場合には、食後で処方される薬も空腹時に服用するケースが多いのではないでしょうか。個々人の感じ方に差があるかと思いますが、食前と食後では、食前の方がより繊細に味を感じることができると思います。
今回は、空腹時に服用することが多そうな胃腸炎や、その他腸の疾患などに処方されるお薬を中心に味見してみました。
今回味見を行うのは以下の5製品です。
味見をする腸のお薬
- アドソルビン原末(右上)
- タンニン酸アルブミン(中央上)
- ポリカルボフィルCa細粒83.3%「日医工」
- コデインリン酸塩散1%(右下)
- ロペラミド錠1mg「EMEC」(2024年3月31日に経過措置満了)
出荷停止品や販売中止品もありますが、ある程度薬剤師として勤務していると一度は調剤したことがある品目が多いのではないでしょうか?
それでは味見をしていきましょう。
アドソルビン原末
まず、最初に味見を行うのが、アドソルビン原末です。アルフレッサファーマが販売していたのですが、2022年12月に出荷停止となっています。その理由が非常に珍しく、
“これまで原薬として使用しておりました国内の天然ケイ酸アルミニウムの鉱脈が枯渇したことから別原薬への切替えを検討しておりますが、製品規格に適合する原薬が見つかっておらず、製品を供給できる目途が立 っておりません。”
と、メーカーのお知らせに記載があるように、原薬の鉱脈が枯渇してしまったために製造できない状態のようです。
アドソルビンは、2番目に味見を行う味見を行うタンニン酸アルブミン(タンナルビン)と一緒に処方されることがあり、この処方が好きなDrは、タンナルビン・アドソルビンの混合判子を用意しており、下痢している患者さんが受診すると、処方箋に判子を押して、用量や日数の数字部分を手書き、という処方箋を昔はよく見かけました。
アドソルビンの作用機序としては、吸着作用を利用して消化管内における有害物質、水分又 は粘液などの吸着除去を目的として下痢症に用いられる製剤です。
甘味 :★★★☆☆3
苦味 :★★★☆☆3
後味 :★★☆☆☆2
非常に粒子が細かく、粉の色は白からわずかに灰色のような色をしているように見えます。
口の中の水分を持っていかれる印象で、水を飲まないとベタッと口腔内に張り付く感じがします。
無味無臭ですが、口の中で噛むとシャリシャリと砂を噛むような音・独特の服用感があるので、味わわないで多めの水で服用するのが良いと感じました。
タンニン酸アルブミン
タンニン酸アルブミン、一般的にはタンナルビンと呼ばれるお薬です。
胃腸炎などに処方される薄茶色の粉薬といえば、これでしょう。
収斂作用によって止瀉作用を示すタンナルビンですが、水に溶解しないため、口腔・胃ではタンニン酸による収斂作用が現れないそうで、腸で、膵液により徐々に分解してタンニン酸を遊離し、初めて止瀉作用を示すそうです。
甘味 :★★★☆☆3
苦味 :★★★☆☆3
後味 :★★★☆☆3
タンナルビンの第一印象は“香ばしい味”です。先ほどのアドソルビンがベタッと口の中に重たくくっつく服用感じでしたが、タンナルビンはフワッと広がる感じです。
タンニン酸という名前から、苦味があるのかな?と思っていましたが、予想していたほどの苦味はありませんでした(かといってドライシロップのような甘みもありません)
ポリカルボフィルCa細粒83.3%「日医工」
先ほど味見を行った2種類は下痢に対して処方される医薬品ですが、このポリカルボフィルCa細粒の適応は、過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状となっており、慢性的な症状(下痢にも便秘)に処方される製剤です。
一般名等から分かるように、血中カルシウム濃度が高くなりやすいので、禁忌に“⾼カルシウム⾎症の患者”“腎結⽯のある患者”“腎不全(軽度及び透析中を除く)のある患者”と定められており、見落としがちですが、注意が必要だなと感じるお薬です。
甘味 :★★★★☆4
苦味 :★★★★☆4
後味 :★★★★★5
第一印象は“甘い!”です。
色々な薬の味見を行いましたが、風味がない医薬品の上位にランクインしてもいいくらい甘くて美味しい薬です。
甘いだけでなく、後味も苦味や嫌な感じもなく、非常に飲みやすい印象を受けました。
小児用のドライシロップ以外で、これほど甘みを感じるお薬は非常にレアだと思います。