「アジスロマイシン」が市中肺炎の第一選択薬ではなくなった理由とは?

かつては市中肺炎治療の代表的薬剤であったアジスロマイシン。しかし現在、その立ち位置は大きく変化しています。本コラムでは、アジスロマイシンが市中肺炎の第一選択薬ではなくなった背景と、現在の医療においてアジスロマイシンを使用すべき状況について解説します。
患者背景:しつこい咳を罹患している30代男性
基礎疾患のない32歳男性。
5日前から38度台の発熱と倦怠感あり。3日前から乾いた咳が出始め、徐々に強くなってきたため外来を受診した。胸痛や息苦しさはない。
職場の同僚数名が1~2週間前に同様の「しつこい咳」にかかっていた。体温は38.6度。呼吸数の増加やSpO2の低下はない。
肺の聴診ではきれいな肺胞音で、crackles(クラックル)は聴こえない。採血で白血球は7000/μLと正常範囲だが、CRP5.2mg/dLと上昇している。
インフルエンザやSARS-CoV2の迅速抗原検査は陰性。胸部X線検査では、右下肺野に淡いスリガラス影と網状影を認めるが、コンソリデーションは認めない。喀痰グラム染色では多数の好中球を認めるものの、有意な細菌は見当たらない。

クイズ:どの抗菌薬を処方するのが正しい?
本日の患者さんに処方する抗菌薬として適切なものを、①~③から選んでください。
- アモキシシリン内服
- セフトリアキソン点滴
- アジスロマイシン内服
山口医師が解説! 肺炎患者になぜこの抗菌薬が処方された?