薬剤師が知るべき抗菌薬「クリンダマイシン」の使い方
「クリンダマイシン」は、グラム陽性球菌と偏性嫌気性菌に抗菌活性を示すリンコマイシン系の抗菌薬です。細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、タンパク合成を阻害することで静菌的に作用します。そのユニークな特徴を理解し、日々の業務に活かしましょう。
本日の患者背景:転倒してケガをし、右膝に挫創がある高齢女性
78歳女性。既往歴に高血圧、糖尿病がある。
「βラクタム系抗菌薬でアナフィラキシーショックをおこした」というアレルギー歴あり。2日前に自宅で転倒し、右膝を受傷した。発熱はないが、創部から滲出液がでて痛みがあるため救急外来を受診した。
受診時、全身状態は良好で発熱や頻呼吸はない。右膝に挫創があり、止血されているが創周囲が軽度発赤し滲出液を認めた。
右膝関節の腫脹は認めない。創を洗浄消毒後、抗菌薬内服で外来加療する方針となった。
クイズ:どの抗菌薬を処方するのが正しい?
本日の患者さんに処方する抗菌薬として適切なものを、①~③から選んでください。
- セファレキシン
- クリンダマイシン
- レボフロキサシン
山口医師が解説!挫創がある高齢女性になぜこの抗菌薬が処方された?
「クリンダマイシン」ってどんな抗菌薬?
「クリンダマイシン」は以下のような、特徴があります。
1、βラクタムアレルギー患者の代替薬
クリンダマイシンは、化学構造がβラクタム環を持たないため、ペニシリン系やセフェム系薬剤との交差アレルギー反応がおこりません1)。
アナフィラキシーを含む重篤なアレルギー反応の報告は極めて稀2)であり、βラクタム系抗菌薬にアレルギー歴のある患者に対し、安全かつ効果的な代替薬となります。
特に、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が原因になる外傷や周術期感染症予防、皮膚軟部組織感染症において、第一選択薬である「セファゾリン」などが使用できない場合に有用です。