なぜ軽症の呼吸器感染症にクラビット?フルオロキノロン第一選択の理由とは
薬剤師コラム編集部に寄稿している薬剤師ライターから「抗菌薬に関する疑問」が多数、寄せられました。調剤の現場で判断に迷う事例を、山口浩樹医師に回答いただきます。
今回のテーマは「フルオロキノロン系抗菌薬」です。
フルオロキノロン系抗菌薬(主要成分一覧)
| 成分名(一般名) | 先発品・代表的商品名 | 主な投与経路 | 主な適応領域 |
| レボフロキサシン | クラビット | 経口・注射・点眼 | 呼吸器・尿路・眼科 ・皮膚科など幅広い 感染症 |
| シプロフロキサシン | シプロキサン | 経口・注射・点眼 | 尿路感染症や腹腔内 感染症など |
| モキシフロキサシン | アベロックス | 経口・点眼 | 呼吸器感染症など |
| トスフロキサシン | オゼックス | 経口・点眼 | 小児の呼吸器・中耳 炎感染症など |
| パズフロキサシン | パズクロス | 注射(点滴) | 敗血症、肺炎、腹腔 内感染症などの重症 感染症 |
| オフロキサシン | タリビット | 経口・点眼・点耳・軟膏 | 眼科・耳鼻科領域 などの局所製剤 |
| シタフロキサシン | グレースビット | 経口 | 呼吸器感染症、尿路 感染症など |
| ラスクフロキサシン | ラスビック | 経口・注射 | 呼吸器感染症、耳鼻科 領域(副鼻腔炎など) |
<本日の質問>フルオロキノロン系抗菌薬をファーストラインで使用するのはなぜか教えてください。
比較的軽症の呼吸器感染症や非複雑性尿路感染症に対して「レボフロキサシン(クラビット)」、「シプロフロキサシン(シプロキサン)」などの広域抗菌薬の処方箋をよく応需します。
上記の疾患で、なぜ広域抗菌薬を医師の先生方が処方されるのか教えていただきたいです。
山口浩樹医師の回答&解説「優れた特徴を持つ一方でリスクも。フルオロキノロン系抗菌薬が第一選択となる3つのケースを解説」
「フルオロキノロン系抗菌薬」は、組織移行性と生体内利用率に優れ、経口投与で静注薬と同等の血中・組織濃度が得られるといったメリットがあります1)。
また、主なグラム陽性菌や陰性菌、マイコプラズマやレジオネラなどの非定型菌に対して抗菌活性を示します。ESBLやAmpC産生菌といった多剤耐性腸内細菌目細菌による感染症においても、感染部位や重症度を考慮した上で感受性があれば治療選択肢となり得ます2)。
一方で、耐性菌の増加やClostridioides difficile(クロストリジオイデス・ディフィシル)感染症の発症リスクとなります。さらに、腱障害、QTc延長、低血糖、末梢神経障害、大動脈瘤・大動脈解離などの重篤な有害事象にも注意が必要です2)。
そのため、フルオロキノロン系抗菌薬の使用は、他剤より明らかなメリットがある場合や、他剤が耐性化や副作用などで使用困難な場合に限定することが推奨されます3)。