「困った!」糖尿病患者への服薬指導

調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。
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糖尿病患者の服薬指導
糖尿病患者への服薬指導についてm3薬剤師会員にアンケートを実施したところ、4割以上の薬剤師が「困った経験がある」と回答しました。具体的には、「薬物療法だけで改善できると勘違いしている患者さん」や、「インスリンの手技を習得できない高齢患者さん」、「患者の自覚症状が乏しいため、薬物治療の意欲がない患者さん」への対応が挙げられました。また、「薬剤師としてアドバイスができるようシックデイについて取り上げてほしい」といった意見や、「糖尿病におけるアドヒアランス向上について知りたい」など、糖尿病に関する記事のトピックについてもさまざまなリクエストが届きました。
糖尿病患者への服薬指導で「困った経験」はありますか?


ベン:
半数近くの薬剤師が服薬指導において困った経験があるという結果になったよ。
具体的にその事例を教えてください。どのようなシーンでどのような質問・依頼に困ったな、と感じましたか?
シックデイ対策
- インスリンのシックデイ対策。主治医が休みだとどうにもならない。あと、患者さんのモチベーションの保ち方。
- 低血糖の対処、シックデイの対処に対する医師の支持が不明確なとき。
患者からの情報共有
- 検査値などの情報を薬剤師側に教えてくれず、状態の把握が困難な患者。
- 薬も飲んでいるし、食事も気を付けて運動もしているのに検査値が全然下がらない。どうすればいいのか、と言われたとき、答えられなかった。
インスリン注射の手技
- 高齢でインスリンの手技が習得できない。
- インスリン注射時の針の交換を毎回していない。指導しても今までそれでいけているから代えなくてもいい、針代金もったいないと言われて、毎回の交換を拒否される。
自覚症状・モチベーション
- 患者の自覚症状が乏しいため、薬物治療の意欲がないので治療の継続の必要性を自覚してもらえない。
- 病気に対する理解が乏しい。薬を飲んで、数値が安定していると治ったと思いこんでいる。
- 本人に改善したいというモチベーションがない。数値が少し改善すると、以前と同じ習慣に戻ってしまう。
食事・生活の管理
- 糖尿病の治療の基礎は薬ではなく食事・運動であると何度話しても「薬を飲めば下がるからいいんだよ!」と答える方が多い。
- インスリンを使用している患者さんにおいて、体調変化に伴い食事量が減り、血糖値も下がってきている状態でした。処方医は糖尿病専門医でないため、具体的な指示は何も出てない状態で、薬剤師として低血糖への注意指示しか行えなかった。もう少し積極的な治療アプローチをしたいと思いました。
- 薬物治療は継続できても、そもそもの生活・食事改善ができない。