ベンゼン三兄弟がレポート!薬剤師実態調査

更新日: 2020年8月3日 薬剤師コラム編集部

テクニシャン導入に賛成?反対?

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調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。

m3.com薬剤師会員にアンケートを実施したところ、7割近くの薬剤師が「現在、薬剤師以外のスタッフが調剤補助として勤務している」と回答しました。今後、もしテクニシャン制度が導入されれば、この割合はさらに高くなることが予想されます。テクニシャン制度の導入に対する賛否については、9割近い薬剤師が「賛成」と回答。テクニシャン制度のメリット、デメリットを薬剤師がどのように考えているのかも合わせてご紹介します。

Q: 現在、薬剤師以外のスタッフが調剤補助をしていますか

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ベン:
67%という数字を見るかぎり、薬剤師以外のスタッフが調剤補助をすることはかなり一般的なんだね。

Q: テクニシャン制度の導入について賛成ですか反対ですか

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カン:
85%もの薬剤師がテクニシャン制度に賛成なのね。みんなの意見をさっそく見てみましょう。

Q: その理由を教えてください

賛成派

薬剤師の職務に専念できる

  • 薬剤師の業務と責任の範囲が明確になるから。より高度な業務に注力でき、社会的地位と給与の向上が期待できるから。
  • 対物から対人へ業務が変わり、また在宅医療などで薬局外へ出ることも多くなり調剤補助の存在は心強い。
  • 薬剤師の職務として、患者への対応が求められています。適切な対応をするためには時間的な余裕が必要であるためです。
  • 薬剤師が監査投薬に時間を割ける。自分の職場に関して言えば薬剤師の平均年齢が高く、若いスタッフとのピッキングのスピードや精度の差が目立つ。今後を考えると人件費の面も含めて調剤補助の確保は必須条件。
  • ピッキング、錠剤の分包に関しては、薬剤師ではなくとも慣れていけばできると思う。今まで薬剤師がやってきたことをできる人にやってもらうことで、薬剤師の時間に余裕ができ、薬剤師しかできない仕事をもっと充実させることができるようになる。

計数調剤は薬剤師以外でもできる

  • 薬剤師は多岐にわたる業務を行っていて、調剤はその一部になりつつある。ほとんどのスタッフが片手間で調剤を行っている。調剤過誤のリスクを減らすためにも、専門に調剤業務の作業部分を担当してくれるスタッフがいたほうがよい。
  • PTPの取り揃えなどは、薬剤師でなくてもよい業務と考えられる。薬剤師が最後に監査をして、患者に交付すればよい。
  • 分包自動化によりパソコン操作でできるようになっている。ピッキングなどは慣れれば薬剤師の免許が必要な仕事ではない。薬剤師は処方監査、調剤監査、服薬指導などより薬学的知識を使う作業を効率よく行うべき。
  • 決められた商品の個数を数えるだけの作業に、国家資格は必要ないから。
  • 計数調剤などはこれまでもあったことであり、医院や診療所では通常行われており、そのことは問題視されていないから。
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ゼン:
調剤業務を補助してもらうことによって、薬剤師にしかできない業務に時間をさけるという意見が多かったぜ!反対派の意見も見てみよう!

反対派

調剤ミスが増える危険がある

  • 薬についての知識が無いため、ミスが増えると思うから。

医薬品の扱いが疎かになる

  • 薬剤師が「医薬品」そのものと、疎遠になっていくような気がします。ここ数年で「対人」に関しては、スキルがアップしているように思えますが、基本は「医薬品の取り扱い」と考えています。そこが、疎かになるように思えるため反対しています。

制度ではなく、機械を導入した方がいい

  • 薬剤師の資格でなくてもよいのであれば、もっと機械化されたものを導入した方が、早いし、調剤ミスもなくなるのでは?と思います。
  • 0402通知で十分。制度化する必要はない。人はミスをするので調剤マシンを導入すべき。
  • 正確に言えば、「どちらかといえば賛成」が適切な回答であり、テクニシャンに拘らず、調剤ロボットなどの機械化でも構わないと思う。

制度化・資格が必要

  • 補助といえ、薬に関するある程度の知識は必要であり、それに対しての認定制度があれば、調剤補助は賛成。
  • すでに補助員として働いてもらっているが、制度が不十分なため曖昧な立ち位置である。薬剤師がやるべきことまで任せており、ミスしても責任逃れしている薬剤師さえいる。きちんとした制度化して立場の保証をした方がいいと思う。
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ベン:
薬への知識不足を危惧する声や、調剤ミスを防ぐために機械の導入を検討した方がいいのでは?という意見が多かったね。

Q: テクニシャン導入のメリットについて意見をお聞かせください

業務負担の軽減

  • 薬剤師業務に充てる時間を増やせる。テクニシャンへ指示するというアウトプットのために、自分の技術を見直すきっかけにもなる。
  • チーム医療の中で、医師の業務の一部が薬剤師に移管されてきている中で、人的資源の配置を考えればテクニシャンの存在は必要。

患者さん対応に専念できる

  • 調剤している時間は、患者はただ待っているだけの時間になってしまっていたが、その時間を薬剤師が生活指導などをする時間に当てられるようになった。
  • アメリカで見られるように対人業務に集中できるようになり、処方提案や副作用チェックといったより深いところで薬剤師が医療に貢献できる。
  • 導入により、薬剤師が一部の調剤業務から離れることができ、その分を服薬指導、薬歴管理業務に時間をかけることができる。
  • 手先が器用、繰り返しの業務が正確、忠実に業務を行えるという特性を持つテクニシャンの導入で対人業務やDI業務、在宅や他職種との連携などに多くの時間を使える。

Q: テクニシャン導入のデメリットについて意見をお聞かせください

責任の所在が不明確

  • テクニシャンの業務の範囲・量・質どのように定め且つ担保するかの法的な取り決めやガイドラインがまだなく、社会的認知も進んでいないため、薬剤師との差別化ができず、生じた結果に付随する責任の所在がまったく曖昧になってしまうこと。
  • 人手不足だからと言って業務範囲を曖昧にしてしまうと重大な過誤につながるリスクも。監査はもちろん散剤の一包化など後から過誤が判別しづらいものなどの絶対的な線引きは厳格に守っていく必要がある。

疑義照会のタイミングが遅れる

  • 薬剤師が調剤・鑑査で処方箋の疑義案件が発見できる機会が少なくなる。
  • 薬理学的観点でのチェックがどうしても鑑査の時になってしまうため、疑義照会などのタイミングが遅れることがある。

医薬品を取り扱うことへの教育が必須

  • ミスは薬剤師でも起こりうるが、ピッキングミスを指摘したときの反応が軽すぎる。薬剤師でないとはいえ、命に関わる仕事をしているという教育は必要なのかと思う。
  • 基礎指導しないでやらせてしまうと危険だと思うから。経営者が薬剤師の数を減らす目的のみだと大きな事故につながる可能性がある。導入は急ぐべきではない。
  • 薬剤師の給料が下がらないようなシステムの確立、業界団体の理解、テクニシャンの教育とキャリアパスの指針など環境の整備が早く進んで欲しいです。

薬剤師のマネージメント力への懸念

  • 一般論でいえば、テクニシャンの能力がどこまであるか、つまり仕事の限界を、どこまで任せられるかがコントールできないことがあると思う。多くの薬剤師は、こうした能力が十分であるとは言えないかもしれない。そもそも、薬剤師自身が自分の専門性に対して無自覚である場合も多く、どこが境界かを理解しているケースも少ないのではと感じる。
  • テクニシャンへの研修を行うコスト。薬剤師の方にマネージメント能力がなければ、テクニシャンは下働きという意識が抜けないので、いずれあつれきが生まれる。経営も、モチベーションを維持できるような配慮が必要。

薬剤師は減っていくのでは?

  • 薬剤師の必要数は確実に減る。また院内で調剤に専念する薬剤師と対人業務に専念する薬剤師に別れた場合に収入格差が生じる可能性がある。対人業務に関わるためには大学院やレジデント(卒後研修期間)を経る必要性が出てくる可能性があり、今後薬剤師教育の改革が求められるかもしれない。
  • 登録販売者とテクニシャン両方持てば、今の薬剤師の業務の過半をこなせる。経営者は極力薬剤師を雇わなくなる。6年かけて薬学部に行く学生が減る。

まとめ
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ベン:
調剤業務をサポートしてもらえることについては好意的な意見がほとんどだったね。

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カン:
対物業務から解放された薬剤師の活躍がますます楽しみね!

ベンゼン三兄弟の画像

ベンゼン三兄弟

ベン・ゼン・カンの三兄弟。調剤室で生まれ、日々がんばる薬剤師を見て育ってきた。薬剤師に元気を届けながら、自分たちもいつか薬剤師になる日を夢見ている。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘中♪

ベン画像

《 ベン 》
正義感の強い三兄弟のリーダー。勉強熱心でいろいろなことに興味津々。
熱中するとまわりが見えなくなりがち。

ゼンの画像

《 ゼン 》
明るくてポジティブな三兄弟のムードメーカー。
調子にのりやすく失敗もするが、立ち直りも早い。

カンの画像

《 カン 》
優しくて気配りのできる三兄弟の癒やし系。控えめだけど実はしっかり者。
なぜかゼンへのツッコミは厳しい。

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薬剤師コラム編集部

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