後発品供給の不安定、影響は?
調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。
m3.com薬剤師会員の皆さんに、後発医薬品の納品が滞ることでの調剤業務についてうかがったところ、「かなり影響がある」71%と回答。また薬局での対処方法として、「他メーカーの後発医薬品に変更」81%、「先発医薬品に変更」71%という結果が得られました。(複数回答)
また後発医薬品の供給状況や影響により、患者さんへの対応に苦慮している様子や新しい情報の入手方法に関する情報など、貴重な意見が寄せられています。
Q1:後発医薬品の納品が滞ることで、調剤業務に影響が出ていますか?
ベン:
皆さんが受けている影響が大きいことがわかるね
Q2:後発医薬品の納品が滞った場合の対処方法をお選びください。(複数回答)
ゼン:
変更せざるお得ない状況だぜ
Q3その他を選択された方は、具体的に教えてください。
- 納品ができないため対応がない
- 同じ銘柄の他メーカーを選ぶ。最高4つのメーカーを使用した
- 医師に提案ではなく、病院としてどう対応するかを決める。ルール外が乗じた場合には、都度相談し院内ルールとするかを病院が判断する
- 滞ることがあってもその前に手を打つ。在庫がなくなってからでは遅いので月使用料から必要量を卸に何とかしてもらう。基幹病院前なのでなくすわけにはいかない
- 規格変更にて対応できるものは規格変更にて錠数調整して、お渡しする
- 先発に戻す
- あらゆる手段を講じているが、二進も三進もいかない状態
- 医薬品の供給ができてない状況を厚労省はどうにかしようといているのか疑問
- 卸の担当の人に問い合わせる
- 倍の用量のものを半割する
- グループ店の不動薬を集める。
- 1.他の後発に変更、2.先発に変更、3.同効薬へ変更の順
Q4:納品が滞った場合の患者さんの反応を教えてください。
カン:
不安に思う患者さんが多い状況のようね
Q5:その他を選択された方は、具体的に教えてください。
患者さんの不安や不満
- 入手可能な製品に変更する事で、度々薬が変更になる事が有り不安に思われるケースがある
- 先発品への変更で負担金額が増えることに不満を言われた
- ジェネリック医薬品に対する不安が増えた
患者さんの反応
- 経済大国と言われて久しい日本国において処方された医薬品が入手できないという現実を患者さんに信じてもらえない
- 医師の許可なく、薬局で勝手に変更してよいのかと質問があった
- 全て先発に戻したいと相談された
- 薬が減るので良かったと話されていた
- 私の薬は切れないように入荷しておいてと言われた
- 後発品の流通不良がおきており、同じ商品が入荷できない現状を説明。さらに後発品のメーカーが変更になり、先発品に戻る事で「〇〇円料金が変わってしまい、申し訳ございません」と先に謝り「仕方ないね」と納得してもらえた
- メーカーが変わったら苦みを感じ飲みにくくなったとクレームを受けたが、変更できるメーカーが他になく、患者さんには申し訳なく感じたが説明して納得頂けた
その他の意見や現状
- ジェネリック医薬品が今こんな状況であるとは患者さんは全く知らないので、もっとニュースなどで大々的に取り上げて周知して欲しい
- 日ごろから製造中止での変更や採用薬のジェネリック医薬品への変更が多く、メーカー変更になっても「また変わったのね」といった感じで受けてくださるので、特に今のところは問題ない
- 門前医の力でビタミンD3製剤を潤沢に持っている他の薬局に20枚くらい処方箋が流れた
- エディロールの供給不安定のため、中止されたが継続を希望すると院内薬局に問い合わせて来られた。かかりつけ薬局に連絡し在庫の有無を確認の上、医師に継続依頼を行った
- 医師からのクレームがある
Q6:後発医薬品の在庫、出荷調整の情報の入手方法をお聞かせください。
情報の入手方法
- インターネットで検索
- MR、m3などのニュースサイトから入手している。毎日のように新たな供給不可情報があり、対応が大変。また医師からのお叱りをうけ、ジェネリック医薬品の新規採用を控えている
- 製薬会社のホームページから情報収集しているほとんどの病院・医院は従来通りの処方で継続中の為、開局薬局では毎日薬剤手配に追われている。後発医薬品が安定供給できなくなり、先発メーカー品やジェネリック医薬品も従来通り入荷されない状況
- タイムリーな情報がない。メーカーも日本ジェネリック協会も全く機能していないと言える。卸に確認しながら発注をしている状況
- 問屋の担当者からの情報入手
- 後発品メーカーは積極的に出荷情報、出荷調整情報を提供すべき
- TwitterなどのSNSが早い。その後各卸に確認を取る
- M3や医薬品医療機器総合機構(PMDA)からのメール、卸から情報を得ている
- 卸から毎日FAXで情報をもらう
薬局での対応
- 医師への処方提案
- 後発率が下がり薬局の収益は減るため多数在庫を抱えなければならず、在庫確保のために翻弄され経営が圧迫されている
- とにかく入る薬をどんどん入れて、後から返品で対応
- 管理薬剤師の方がメーカーさんや問屋さんに問い合わせて入りそうなメーカーを入れている
現状に関する意見
- 診療報酬のしわ寄せをすべて薬価引き下げていると、いずれ医療は崩壊する
- 保険診療を維持するためには、超高額医療の自由診療化や一般薬のあるものは保険外とするなど、抜本的な改革が必要と思われる
- 当院はほとんど先発品しか採用していないが、今年度に入って特許の切れた先発品など出荷停止や出荷調整になる採用医薬品を沢山抱えている。
昨日は全員の患者さんに「次回は在庫があるかどうかわかりませんよ」とお伝えした。
毎日卸や製薬メーカーと長電話、通常業務やコロナ対策もあり、今年度に入ってからコロナ対策より欠品対策の方がしんどいですね。後発品ばかり騒がれていますが多くの先発品も出荷調整されていることも取り上げてくださればと思う - 今般の出荷調整の要因がさまざまで、理解に苦しむ。
臨床上問題の無い製剤まで自主回収となり、現場が混乱している状況をただ俯瞰されている現状に困惑している - 申請承認メーカー数を絞るべき
- MSやMRから連絡を受ける。広域からの処方箋を受けることもあるので、3か月で履歴がなくなり発注できなくなるのは困る。出荷調整にならないように、普段からきちんとしてもらいたい
- これを機に医師が処方薬の数を絞ってほしい
- 政府は真剣に対策を考えてほしい
- 今まで、製造業者に対する行政の指導、監督はどうなっていたのでしょうか
- オンライン発注後に、日をまたいで遅延の連絡がくるので即対応すべき。1年以上毎回遅延があり、増産の見込みがないなどあれば薬価削除してほしい。そのほうがまだ患者さんに説明できる
- 最近は供給停止が多すぎて酷いと思う。一つ滞ると他社製品もドミノ倒しに同じ状況に陥るので、何かしらの影響を常に受けている
- 処方を変えてもらうしかない
- 出荷調整が入るメーカーは、安定供給の責任があるのだから、出荷調整前に情報を早く提示し自社の責任を持って、他のメーカーへ出荷量を増やすお願い等をして対応すべきと思う
- メーカーからの情報はかなり遅く、自身でネットを通して確認しないとその製品が市場にあるのか、出荷中止なのか、出荷調整中なのかわからない。
殆どが人為的なものの様に感じるが、メーカーに罰を与えることでそれが引き金になり、益々状況が悪くなる現状を国はどう対処するのか - 出荷調整で既存先を優先するから新規や増量はできないとメーカーは言うが、既存先にも入らないって作った薬はどこに消えているのだろう?
- 情報は問屋からいただいている。メーカーは「出せるものはすべて出して分配は問屋に任せている」としか言わない
- そもそも治療に欠かせない薬剤が後発薬になった時の薬価が低すぎる。生産するメーカーのクオリティが下がったのは薬価設定が適正でないためだと考える。この混乱はなるべくして必然に起こったのではないか
- 次から次へと後発品の供給が滞ると現場は大変。最終困るのは患者さん
ベン:
皆さんの困惑している現状がわかったね
ゼン:
1日でも早い状況の改善を願いたいぜ
カン:
情報の入手先や対応方法を知ることができたね
ベンゼン三兄弟
ベン・ゼン・カンの三兄弟。調剤室で生まれ、日々がんばる薬剤師を見て育ってきた。薬剤師に元気を届けながら、自分たちもいつか薬剤師になる日を夢見ている。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘中♪
《 ベン 》
正義感の強い三兄弟のリーダー。勉強熱心でいろいろなことに興味津々。
熱中するとまわりが見えなくなりがち。
《 ゼン 》
明るくてポジティブな三兄弟のムードメーカー。
調子にのりやすく失敗もするが、立ち直りも早い。
《 カン 》
優しくて気配りのできる三兄弟の癒やし系。控えめだけど実はしっかり者。
なぜかゼンへのツッコミは厳しい。
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