ジェネリック医薬品、確保できている?
調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。
ジェネリック医薬品メーカーにおける製造上の不正発覚により、製薬メーカーに対する行政の査察や各社の自主点検など、不正をチェックする取り組みが強化されています。
一方で、各地のメーカーが業務停止命令の処分を受けた影響から、全国の薬局や医療機関では医薬品の供給不足が続いている状況です。
そこでm3.com薬剤師会員の皆さんにジェネリック医薬品の確保状況についてうかがったところ、「以前より入手が難しくなっている」83%と回答。
またここ1年ほどの処方薬変更に関しては「後発薬から一部を先発薬に変更した」79%となり、ジェネリック医薬品の問題を受け、薬局での対応に追われている様子が分かりました。
さらに政府が掲げる2023年度末までに後発薬の使用割合を全都道府県で80%にするという目標に関して「目標通り進めるべき」15%、「後発薬の安定供給に支障があり、変更すべき」67%となり、前向きな見解が少ないのが現状です。
その他ジェネリック医薬品について、困ったことや良かったことなど日頃の薬局での対応を含め、貴重な意見が寄せられています。
Q1:ジェネリック医薬品の確保状況はいかがですか。
ベン:
入手が難しい状況が続いているようだね
Q2:ジェネリック医薬品の問題を受け、ここ1年で処方箋を変更したことがありますか。
ゼン:
対応に追われて大変だぜ
Q3:2023年までの政府が掲げている後発医薬品の使用割合全都道府県80%以上についてどう思いますか?
カン:
目標に賛同する意見は少ないようね
Q4:ジェネリック医薬品について、ご意見をお聞かせください。
ジェネリック医薬品の現状
- 患者さんが他から流れてきても納入実績がないと卸から購入できない
- ジェネリック医薬品の供給が不安定な事もあり、複数のメーカーで使用量を確保している薬品がある。患者さんに前回がどのメーカーで渡しているかなど確認する事項が多くインシデントを起こす要因が増加した
- ジェネリック医薬品へ変えて効果が無い、減弱したと言う患者さんのクレームが多く、その責任をなぜだか薬剤師がとらなければいけない状況にある。さらにその患者さんの為に先発品も取り置かねばならず、在庫が増えてしまう
- 皮膚科門前ではヒルドイドローション等外用薬の変更不可が、変更割合を下げるだけでなくカットオフ値を引き下げている。医師側の変更不可について、何らかの対応をしてほしい
- メーカーによって、錠剤の形や大きさ、ヒートの色などがかなり違っていたりするため、別メーカーのものに替えた際、患者さんに説明しても違う薬だと思われたりする事がある
- ジェネリック医薬品が安定しないことにより、分包機に使用していた指定メーカーを変更せざるを得ない事態となり、一包化調剤に支障が生じている。錠剤の色や剤形がメーカーにより異なるので一包化する場合はPC入力の変更など手間がかかる
- 卸にある程度情報が先にくるため薬局には回らない情報もあるため追いつかない。買い占めなども考えられるため致し方ないがやりにくい
- 処方変更、疑義照会に時間がかかる
- 今はジェネリック医薬品のMRより後発メーカーMRの方が来てくれることがあります。そのため、担当MR経由で欠品の手配など直接依頼が出来るので助かっている
業界に対する不満・意見
- メーカーだけでなく、卸にも問題あり
- ジェネリック医薬品の推進の仕方が急過ぎる。薬価を下げすぎてメーカーも疲弊している。ジェネリック医薬品メーカーの研究、開発、品質管理の力も養われなければならない。医療費全体に占める、ジェネリック医薬品変更による削減の割合というのは、そこまで大きくないと考えられるし、機械的に削られるべきものでもない
- 安いのはよいが今回の不祥事を見ると品質には疑問がある
- 業界全体で後発品の安定供給をしてもらわないとお先真っ暗と言う感じ
- 駄菓子の定番「うまい棒」が12円になった。ジェネリック医薬品は税込み1錠5.2円と駄菓子以下の扱い。安定供給を求めるならば駄菓子並みの価格に最低薬価を引き上げるべき
- 不足しているにもかかわらず、新しいジェネリック医薬品が市場に出てくるのは納得がいかない。もう少し利益だけではなく、患者さんの気持ちになってメーカーは対応するべき
- 現在入手困難となっているが、地域差や担当の卸会社さんによって入手状況が異なるようなので、全国的な問題のため厚労省などから均等に配分されるよう仕組みを作ってもらいたい
- ジェネリック医薬品の安全性にも供給の安定性にも疑問がでてきた。医療費を薬価でとにかく下げるというやり方のせいもあると思う
- 医師指定の後発品の手配はもう不可能であることを医師が理解してほしい
- 医療費削減に進むような施策に期待したい。そもそも保険医療で、薬を出し過ぎるのが問題に感じている。OTCで対応できる幅をもっと増やすべきと考える
- そもそも制度そのものが海外と大きく異なるのに、都合のいい部分だけ海外の実績を参考に推し進めるのは無理がある。医療制度そのものの見直しか、国内の状況、供給体制等をふまえて設定して貰えない限りどこかで無理がくる
- 医療費を下げたいのであればまずは不正受給を一掃した上で、高所得者の負担率を上げる、先発希望であればジェネリック医薬品との価格差を全額負担等にする等やり方はいろいろあるだろう
患者さんへの影響
- 患者さんの信頼性が揺らいできている
- 貼り薬は先発に戻す人が多い
- ジェネリック医薬品の推進を薬局任せにしないで、国全体で取り組んでいることをもっと国民に知らせてほしい。薬局の利益になるから、ジェネリック医薬品で調剤されると思っている患者さんは多数いる
- メーカー指定する患者さんには困る
- 先発品もジェネリック医薬品も入手できなくて、治療に支障が出ている。その場合は、こちらこら医師に謝罪して、別薬剤に変更してもらっているが、患者さんにとってはそのせいで病状が安定せず、腹立たしく思っている
- 安定供給できない状況の中、患者さんの服薬コンプライアンスが悪化したことある
- 先発薬とジェネリック医薬品の供給バランスが乱れ、同一患者で来局ごとにジェネリック医薬品→先発薬→ジェネリック医薬品が投薬されることある
- 患者さんに薬が滞りなく届くようにと思い、メーカー違ってもいいのであちこち問屋さんに頭を下げてお願いして調達したのに、患者さんにはいつもと違う薬だと怒られ、落胆した。上からはジェネリック医薬品率を上げるように促され、先発品に変えられず板挟み状態
ベン:
何とかしたいという気持ちがあっても難しい状況もあるね
ゼン:
患者さんへの説明も大変だぜ
カン:
服薬コンプライアンスの低下は避けたいところね
ベンゼン三兄弟
ベン・ゼン・カンの三兄弟。調剤室で生まれ、日々がんばる薬剤師を見て育ってきた。薬剤師に元気を届けながら、自分たちもいつか薬剤師になる日を夢見ている。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘中♪
《 ベン 》
正義感の強い三兄弟のリーダー。勉強熱心でいろいろなことに興味津々。
熱中するとまわりが見えなくなりがち。
《 ゼン 》
明るくてポジティブな三兄弟のムードメーカー。
調子にのりやすく失敗もするが、立ち直りも早い。
《 カン 》
優しくて気配りのできる三兄弟の癒やし系。控えめだけど実はしっかり者。
なぜかゼンへのツッコミは厳しい。
ベンゼン三兄弟のLINEスタンプ販売中
ベンゼン三兄弟のLINEスタンプ販売中
スタンプ購入はこちら