医療機関の個人情報、扱いは？

調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい！と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。

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患者の個人情報をＵＳＢメモリ等の外部記憶装置に保存することが可能な状態になっていますか？
院外から、病院の電子カルテにアクセスできる仕組みになっていますか？
患者の個人情報管理について、お考えをお寄せください。

個人情報取扱事業者である薬局は、薬歴や処方箋の保管など個人情報の漏洩防止のために、安全管理の措置を講じる必要があります（「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」）。

そのため薬局では、処方箋や調剤録、薬歴、レセプトの運用管理だけでなく、患者への服薬指導、薬剤の情報提供の際にも個人情報の漏洩、滅失、棄損などの問題が生じないよう努めることが重要です。

また薬剤師には守秘義務が課せられていることから、個人情報の適正な取得、個人データの第3者提供など、利用目的の範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないとされています（例外を除く）。

m3.com薬剤師会員の皆さんに、患者の個人情報をUSBメモリ等の外部記憶装置に保存することが可能な状態になっているかうかがったところ「一切保存できない」37％、「必要な場合のみ、許可を得て保存できる」31％と回答。
また院外から病院の電子カルテへのアクセスについては「できない」76％という結果でした。
しかし10％の薬局においては院外からアクセスできる状況であることが分かりました。その他、個人情報漏洩防止に向けた情報管理対策の取り組みや現状の課題を含め、さまざまな意見が寄せられています。

Q1：患者の個人情報をＵＳＢメモリ等の外部記憶装置に保存することが可能な状態になっていますか？

ベン:
制限なく保存できるところもあるみたいだね

Q2：院外から、病院の電子カルテにアクセスできる仕組みになっていますか？

ゼン:
個人情報の漏洩が心配だぜ

Q3：患者の個人情報管理について、お考えをお寄せください。

薬局の現状

リスクは大きく厳密な管理が必要なものであると考えるが、小規模の薬局では対応が難しい
個人情報という認識が甘い薬剤師が多く、お薬手帳や薬歴等の管理ができていない。再度きちんと管理方法を見直すべきだと思う
裏紙を使用するのもいかがなものか。ある店舗では投薬時に裏紙に印刷した薬歴を窓口まで持っていく人もいて、他の患者さんの情報が丸見えのこともあった
私の会社は個人情報漏洩の保険に加入していません。TVのニュースなどで患者の情報が入ったUSBをなくしたなどと聞くと情報漏洩したときの責任の大きさに恐怖を覚える
USB等に個人情報は保存しないように努めている。保存しているUSBは原則社内に保管している
紙に印刷して持ちだし、専用バッグなどを大学や病院側が用意し記録して持ち出せるようにしないと家で論文や研究整理ができない
院内ネットワークを外部から切り離すのは常識。学会発表でグラフを貼り付けると裏側に元のエクセルが隠れていたりするので基本的な教育が欠かせない。危機管理としてICT的なサポートができる人材確保が必須になっている
個人情報の安全管理のため、職員不在時の夜間はルーター以下の電源を落とし、インターネット回線自体を切断している
自分の会社では勝手に情報を持ち出すことは就業規則でも規制しており、それを犯すなら懲戒処分ということを職員に理解してもらっているが、情報を扱う意識が低いのだろうと思う

個人情報漏洩防止のための対策・意見

万全のセキュリティなど存在しない。流出しても悪用を防ぐ仕組みを作ることが一番大事
理由はどうであれ、病院外に持ち出して良いものではない。持ち出す人の認識も問題。パフォーマンスが良くなるとも考え難い。病院側もなぜ当事者がデータを持ち出さなければならない状況が生じたのか精査すべきだろう
患者は自分の個人情報はあくまでかかった医療機関にあるという認識なので、外部に持ち出せる仕組みはよくない
基本的な情報は医療関係者であれば所属医療機関に限定せず確認できる状態が望ましい

まとめ

ベン：
損害賠償請求や罰金が課せられることは避けたいね

ゼン：
運用管理と従業員への周知が重要だぜ