処方箋が一番わかりにくいのは〇〇科!
調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。
m3.com薬剤師会員の皆さんに「処方箋がわかりにくい診療科目」についてアンケートを実施。どの診療科の処方箋がわかりにくいのか調査しました。また、診療科目別にわかりにくさから起きたエピソードも紹介します。
薬剤師の重要な業務であり、悩みの種でもある疑義照会。医師から処方される処方箋の「意図」が明確ならば疑義照会が楽になるのに…という声も聞こえてきます。
そこで、m3.com薬剤師会員の皆さんに「処方箋がわかりにくい診療科目」についてアンケートを実施しました。どの診療科の処方箋がわかりにくいと感じているのかを発表。さらに、わかりにくさから起きたエピソードを診療科目別に紹介します。
Q1:処方箋の意図がわかりにくいと感じた経験はありますか?
ベン:
ほとんどの人が「わかりにくい」って思っているんだね!
Q2:意図がわかりにくい処方箋はどの「診療科目」から出されることが多いですか?(複数回答可)
ゼン:
回答率が高かった診療科目を紹介するよ!
一般内科 39.0%/精神科 38.1%/循環器内科 15.7%/皮膚科 15.2%/脳神経外科 11.0%/消化器内科、神経内科、整形外科、産婦人科・婦人科 各10%
Q3:応需の経験が少ないから意図がわかりづらいのか、応需の経験が多いが意図がわかりづらいのか、どちらですか?
カン:
応需経験が多くても処方箋のわかりにくさに困っているんだね!
Q.4:具体的にわかりづらかった事例を教えてください。
一般内科
- 抗生物質なしのエンテロノンRやビオフェルミンRの処方(一般内科・小児科)
- 1回/日の降圧薬を分2で処方される(一般内科)
- チラーヂンの適応外使用(一般内科)
- リクシアナOD錠60mg四分の一の処方。一包化で15mgでは?と疑義照会したら粉砕でと指示された(一般内科)
精神科
- 診察時に患者に口頭しているなど、処方箋の情報から読み取れないケースや、デパス、セルシン、ユーロジン、ベンザリンの併用(精神科)
- 薬だけで統合失調症なのか双極性障害なのか判断が難しい事例があった(精神科)
- 多剤大量処方で何が効いているのかわからない(精神科)
- 個々の患者さんに応じて処方設計されているため、パターンがつかみづらい。過去の治療歴、処方歴をさかのぼる必要もあり意図がわかりづらい(精神科)
- ベンゾジアゼピン作動薬の長期的な大量投与。抗うつ薬の不十分な使用量。作用機序が同じものの上乗せ(精神科)
- 目に見える症状ではないため、添付文書の効能に沿った処方なのか、また診断の鑑別がつきづらい(精神科)
- 第二世代向精神薬の新規処方開始の際、必ず抗パーキンソン病薬がついている。処方内容から病名が推測しにくい(精神科)
- 極端に使用量が少ない薬剤があったため疑義紹介をしたら、プラセボ目的と言われたことがありました(精神科)
循環器内科
- 心不全患者で、トラゼンタ錠からトラディアンス配合錠APへ処方変更(循環器内科)
- 循環器でかかった糖尿病患者で、sglt2阻害薬が出た時。血糖コントロール不十分なのか心不全で使ったのかデータ見ても微妙だった(循環器内科)
- 同じ系統の成分違いのものに変更している処方。降圧剤や糖尿病用薬で変更しているとき、何の意図で変更なのかわかりづらいです(循環器内科)
- 適応の違いで投与量が異なる薬剤や、適応で腎機能による調節が必要な薬剤の場合(循環器内科/脳神経外科)
- 同一診療科で診ることのある複数適応のある医薬品が処方されたとき(高血圧と心不全等)にレジメンが不明(循環器内科・消化器外科)
皮膚科
- 保湿剤が複数処方、同じ個所に同じタイミングで処方。その際の塗布順番がわかりにくい(皮膚科)
- モイゼルトとコレクチムを大量に両方処方すること(皮膚科)
- 外用のミックスもあり、一概に添付文書通りの症状とならない(皮膚科)
- ベーチェット病、全身性エリテマトーデスなど皮膚科でも診るような膠原病の処方意図はわかりにくかったです(皮膚科)
- 皮膚科のステロイドと抗真菌薬のミックス(皮膚科)
- 患部によって外用剤が異なったり、軟膏の混合指示や混合不可の指示が同一処方内で指示が異なるため、処方の備考欄、コメント欄が長文記載となっていることがある(皮膚科)
消化器内科
- 胃痛にロキソニンや同効薬、類似薬の多剤併用(消化器内科)
- 造影剤等が内服薬として処方されている(消化器内科)
整形外科
- 整形のサインバルタは痛みの訴えで処方と思われるが、患者さんの性格によっては鬱々している状況も見受けられ、どのように伝えるべきなのか、どう説明されているのか悩ましいことがある(整形外科)
- 一般的な痛み止めの処方で、自身で調節しても良いケースと指示通りにしっかり飲む必要があるケースがわかりにくい。あるときはこちらから患者に対して痛みに応じて調節して良いと伝えると処方通りに何故ちゃんと飲ませないんだと怒られるし、逆にきっちり飲んだほうが良いと伝えるとなぜこちらの意図と違う事を言うんだと怒られる(整形外科)
その他
- 前立腺肥大で抗コリンが出る場合のパターン(情報)がわかりづらく、疑義すべきか否か悩む(泌尿器科)
- 外科などの先生は、科のDrに比べ薬物療法に長けていない方もいらっしゃり、用法用量の逸脱が見受けられる(消化器外科)
- 軟便に乳酸カルシウムのみ処方されていた。カルシウムが便を固くすることからと考えればわかるが、ぱっと見でわからない。小児科の門前だが、別の地域の小児科からの処方箋でわかりづらかった(小児科)
- 美容外科のどう見ても適応外処方のシナール・トランサミン(美容外科・美容皮膚科)
- 漠然としたビタミン剤や貼付剤の処方。安易な安定剤や睡眠導入剤などの処方(神経内科/整形外科/美容外科・美容皮膚科)
- 認知症の診断で治療薬をコロコロ変えて、挙句の果てに認知症じゃないとの事で治療薬が中止になった(総合診療科)
- 婦人科におけるホルモン製剤。そもそも患者さんにインタビューしにくい(産婦人科・婦人科)
ベン:
診療科目でわかりやすさに差が出るんだね
ゼン:
多剤処方されるとわかりにくいっていう声もあるな
カン:
医師とのスムーズな連携で疑義照会の負担が軽くなるといいね
ベンゼン三兄弟
ベン・ゼン・カンの三兄弟。調剤室で生まれ、日々がんばる薬剤師を見て育ってきた。薬剤師に元気を届けながら、自分たちもいつか薬剤師になる日を夢見ている。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘中♪
《 ベン 》
正義感の強い三兄弟のリーダー。勉強熱心でいろいろなことに興味津々。
熱中するとまわりが見えなくなりがち。
《 ゼン 》
明るくてポジティブな三兄弟のムードメーカー。
調子にのりやすく失敗もするが、立ち直りも早い。
《 カン 》
優しくて気配りのできる三兄弟の癒やし系。控えめだけど実はしっかり者。
なぜかゼンへのツッコミは厳しい。
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