薬剤師のバイブル!病気とくすりのキホン

更新日: 2024年12月7日 杏 優花

糖尿病薬一覧付】糖尿病の薬①分類と特徴について

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「患者さんに『糖尿病の薬が変更になったけれど、以前使っていた薬とどう違うの?』と質問されたけれどうまく答えられなかった」、「糖尿病の薬って、種類が多くてなかなか覚えられない」。そんな経験はありませんか?

糖尿病の患者は予備軍も含めると約2,000万人いるといわれており1)、糖尿病の薬について理解することは臨床現場において非常に重要です。

経口で用いられる糖尿病の薬は9系統存在し、作用の違いから考えると大きく3種類に分類できます。今回は、糖尿病の薬について、分類ごとに特徴や注意点をわかりやすく解説。ぜひ、糖尿病の薬に関する知識の整理にお役立てください。

糖尿病治療薬は大きく3つに分類される

経口で用いられる糖尿病の薬は作用の違いから大きく以下の3種類に分類することができます2)3)4)5)6)

薬効分類名 薬剤名 作用機序 効果
インスリン分泌促進薬 スルホニルウレア(SU薬) グリベンクラミド(オイグルコン®)、グリメピリド(アマリール®)など 膵β細胞に存在するKATPチャネルに作用し、インスリン分泌を促進する。 膵臓に働きかけインスリンを出させる
速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) ミチグリニド(グルファスト®)、レパグリニド(シュアポスト®)など 膵β細胞に存在するKATPチャネルに作用し、インスリン分泌を促進する。
SU薬に比してKATPチャネルとの結合力が弱く、解離が早いため、作用は速効性かつ短時間である。
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬 セマグルチド(リベルサス®) 食事摂取に伴って消化管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌を刺激する
ホルモンをインクレチンといい、GLP-1やGIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)
が知られている。GLP-1受容体作動薬は、GLP-1受容体と選択的に結合し血糖依存的に
インスリン分泌促進作用、グルカゴン分泌抑制作用を発揮する。
DPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害薬 シタグリプチン(ジャヌビア®、グラクティブ®)、リナグリプチン
(トラゼンタ®)、テネリグリプチン(テネリア®)、トレラグリプチン
(ザファテック®)など
インクレチンの分解酵素であるDPP-4の活性を選択的に阻害し、活性型GLP-1濃度
および活性型GIP濃度を高め、血糖依存的にインスリン分泌促進作用、グルカゴン分泌抑制作用を発揮する。
グリミン系薬 イメグリミン(ツイミーグ®) ミトコンドリア作用を介して2つの方法で血糖を下げる。
・膵β細胞に働いてグルコースによるインスリン分泌を促進する(膵作用)
・肝臓での糖新生を抑制し骨格筋での糖取り込みを増加させる(膵外作用)
インスリン抵抗性改善薬  


 
 
インスリンを効きやすくする
ビグアナイド薬(BG薬) メトホルミン(メトグルコ®) 主に肝臓での糖新生を抑制する。 消化管からの糖吸収抑制作用、末梢組織での
インスリン感受性改善作用なども有する。

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杏 優花
きょう ゆたか

薬科大学大学院修士課程修了後、病院薬剤師としてさまざまな診療科を経験。緩和ケアチーム発足時、専任薬剤師として活動したことをきっかけに、緩和医療の世界へ。約11年間緩和医療に従事し「心にも身体にも優しい医療」を実践。現在は3歳の娘の育児に奮闘中の母。長年の臨床経験で培われたリサーチ力、共感力をベースに、読者が今日(杏)も心豊か(優花)に過ごせるよう、正確かつ心に寄り添う文章の執筆をこころがけています。

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