高血圧薬の副作用と服薬指導/高血圧薬のキホン③
前回の記事では、高血圧薬の選び方をお伝えしましたが、副作用が出た際の服薬指導で頭を抱える薬剤師も多いかもしれません。
今回は、高血圧薬の服用でよくみられる副作用とアプローチ方法について解説します。
高血圧治療薬でよくみられる副作用について
高血圧薬は正常値まで血圧を下げる効果がある一方、副作用があらわれる可能性も否定できません。ここでは、高血圧症治療薬にてよくみられる代表的な副作用について詳しく解説します。
①血圧の急激な低下(低血圧)
多くの高血圧治療薬に共通して起こりうる副作用が「血圧の急降下」です。
血管を拡張させる作用により、薬の作用が強過ぎると急激に低下する場合があります。めまいやふらつき、場合によっては立ち眩みや失神のような症状があらわれる可能性も否定できません。
特に高所で作業する職業に従事している患者さんは、転倒に注意が必要です。
②浮腫(むくみ)
血管拡張による血管透過性の亢進により、手足の浮腫が生じる可能性があります。特にCa拮抗薬の服用で浮腫の報告があるため、注意が必要です。1)
③高カリウム血症(ARB、ACE阻害薬の場合)
特にARBやACE阻害薬の服用にて、高カリウム血症が起こる恐れがあります。
「レニン-アンギオテンシン系」は、ナトリウムを保持し、カリウムを排泄するホルモン「アルドステロン」の分泌を促します。2)
ARBやACE阻害薬がレニン-アンギオテンシン系を阻害すると、アルドステロンの分泌が減り、カリウム排泄量が減少する可能性があります。3)その結果、高カリウム血症のリスクが高まる恐れがあります。
高カリウム血症が軽度の場合は無症状ですが、重症化すると以下のような症状があらわれる可能性があるため、注意が必要です4)。