高血圧薬とグレープフルーツはなぜNG?注意すべき理由とは

薬剤師においては、高血圧治療薬と食品の相互作用に対する理解も欠かせません。特に、CYP3A4阻害に起因するCa拮抗薬と柑橘類の併用には注意が必要です。本記事では、フラノクマリン類を中心に、高血圧薬との併用に注意が必要な食品や、摂取してしまった場合の対応についてわかりやすく解説します。
前回は肺高血圧症の新薬「ユバンシ配合錠」 についてお伝えしました。今回は高血圧薬と食品の併用の注意点について焦点を当て、解説します。
一部の高血圧薬は、食品と併用することで代謝に影響を受けることがあります。特に有名なのがフラノクマリン類のCYP3A4阻害に起因する「Ca拮抗薬とグレープフルーツジュースの併用注意」です。しかし、注意すべき食品はグレープフルーツだけではありません。
そこで本記事では、フラノクマリン類を中心に、高血圧薬との併用に注意が必要な食品や、摂取してしまった場合の対応について解説します。
フラノクマリン類との相互作用に注意すべき降圧薬の薬効分類
フラノクマリン類とは、小腸に存在するCYP3A4(チトクロムP450 3A4)を不可逆的に阻害する化合物です。1)CYP3A4で代謝される薬と併用すると血中濃度が上昇し、作用の増強や副作用の発現リスクが高まることがあります。
高血圧治療薬の中にもCYP3A4で代謝される薬剤があり、例外ではありません。以下に、注意が必要な高血圧薬をまとめました。2)
<柑橘類と併用注意の高血圧薬まとめ>
薬効分類 | 代表薬 | 補足 |
カルシウム拮抗薬 | ● フェロジピン ● ニカルジピン3) |
CYP3A4の影響を受けやすく、 グレープフルーツジュースは 併用注意に該当している4)5) |
一部のβ遮断薬 | ● ビソプロロールフマル酸塩 ● カルベジロール |
併用注意とはなっていない ものの、一部CYP3A4に代謝 されると報告あり6)7) |
直接レニン阻害薬 | ● アリスキレンフマル酸塩 | 代謝にCYP3A4が関与すると 報告あり8) |
一部のMR拮抗薬 | ● エプレレノン | 主にCYP3A4で代謝され CYP3A4阻害薬は併用注意に 指定されている9) |
特に上記に該当する薬剤を服用されている患者には、フラノクマリン類が含まれた食品類を日頃から摂取していないか確認が必要です。
グレープフルーツなど柑橘類とフラノクマリン類の含有量をみよう
フラノクマリン類はグレープフルーツに代表される成分ですが、含まれている柑橘類は他にもあります。
特に以下の柑橘類にもフラノクマリン類が含まれているため、CYP3A4(チトクロムP450 3A4)で代謝される高血圧薬との併用に注意が必要です。10)