3分で解説。薬剤師のための心不全治療のキホン:LVEF分類と薬剤

心不全はLVEFを基にHFrEF(ヘフレフ)、HFpEF(ヘフペフ)、HFmrEF(ヘフエムレフ)、HFimpEFの4分類に分かれ、治療薬選択や投与戦略が異なります。本記事では各分類の特徴と最新エビデンス・ガイドライン推奨のGDMT、SGLT2阻害薬などの薬剤を詳解し、服薬指導や薬歴管理に役立つ実践的知識を提供します。
心不全の分類と治療の方向性とは?
心不全は、左心室駆出率(LVEF:Left Ventricular Ejection Fraction)によって大きく以下の4つに分類され、それぞれで治療薬の選択や治療戦略が異なります。
①HFrEF(LVEFが40%以下)
左室駆出率が低下した心不全で、基礎疾患として、虚血性心疾患や不整脈、弁膜症等を有する患者さんに起こりやすい心不全です。
HFrEFには、予後改善や再入院予防に効果がある薬剤が複数存在し、GDMT(Guideline-Directed Medical Therapy:診療ガイドラインに基づいた標準治療)が重要となります。
- β遮断薬:心拍数を下げ、心臓の負担を軽減します。
- ACE阻害薬/ARB:血管を拡張し、血圧を下げ、心臓の負担を軽減します。
- ARNI:ACE阻害薬/ARBの作用に加え、ナトリウム利尿作用により、心臓の負担を軽減します。
- MRA:心筋繊維化の予防、ナトリウム排泄等により心血管系に保護的に働きます。
- SGLT2阻害薬:血糖降下作用に加え、利尿作用や心保護作用があります。
これらは予後を改善する薬剤として強く推奨され、重症度を問わずHFrEFに対する基本治療薬とされています。できるだけ早く導入し,忍容性があるかぎり目標量まで増量することが重要とされています。
②HFpEF(LVEFが50%以上)
左室駆出率が保たれた心不全で、高齢の女性に多く、高血圧や糖尿病などの併存症を多く有するという特徴があります。