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薬剤師のバイブル!病気とくすりのキホン

更新日: 2025年9月10日 杏 優花

糖尿病患者に使用禁忌の薬剤とは?併用で起こる副作用って?

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前回の記事では糖尿病治療薬でまれにみられる重篤な副作用についてお伝えしました。前々回に引き続き、糖尿病治療薬の副作用に焦点を当てて解説してきましたが、副作用モニタリングにおいて重要な点として、薬物間相互作用による副作用の増強が挙げられます。

糖尿病治療薬と他の疾患の治療薬は併用されるケースが多いため、糖尿病の服薬指導において、薬物間相互作用について理解しておくことは非常に重要です。今回は、糖尿病治療薬と糖尿病治療薬以外の薬剤との薬物間相互作用について、副作用を増強する可能性のある併用例を中心に解説します。

糖尿病患者に使用禁忌の薬剤とは?

糖尿病患者さんの禁忌薬といえば、どんな薬剤を思い浮かべるでしょうか。糖尿病治療薬の薬物間相互作用について解説する前に、まずは、糖尿病の患者さんには使用を控えるべき薬剤について整理しましょう。

添付文書上、糖尿病患者に禁忌とされている主な薬剤を以下にお示しします。

①非定型抗精神病薬(MARTA):オランザピン、クエチアピン

これらの薬剤は、服用中に高血糖があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡などの重大な副作用が発現する可能性があるため、糖尿病の患者および糖尿病の既往歴のある患者には禁忌です。

②β遮断薬:プロプラノロール、ピンドロール、アテノロール

これらの薬剤は、アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがあるため、糖尿病性ケトアシドーシスの患者には禁忌です。また、コントロール不十分な糖尿病の患者では、低血糖症状を起こしやすく、かつ低血糖症状をマスクしやすいため、慎重投与となっています。

③抗アルドステロン薬:エプレレノン

高カリウム血症を誘発するおそれがあるため、微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者には禁忌です。

④レニン阻害薬:アリスキレン

非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症と低血圧のリスク増加が報告されているため、ACE阻害薬またはARB、サクビトリルバルサルタンナトリウムを投与中の糖尿病患者には禁忌です。

⑤女性ホルモン薬:レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール、ドロスピレノン・エチニルエストラジオールなど

血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告があるため、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等の血管病変を伴う糖尿病患者には禁忌です。

糖尿病患者さんへの服薬指導では、これらの薬剤が処方されていないかを確認し、禁忌に該当する場合は疑義照会する必要があります。

副作用を増強する可能性のある併用例とは?

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杏 優花
きょう ゆたか

薬科大学大学院修士課程修了後、病院薬剤師としてさまざまな診療科を経験。緩和ケアチーム発足時、専任薬剤師として活動したことをきっかけに、緩和医療の世界へ。約11年間緩和医療に従事し「心にも身体にも優しい医療」を実践。現在は3歳の娘の育児に奮闘中の母。長年の臨床経験で培われたリサーチ力、共感力をベースに、読者が今日(杏)も心豊か(優花)に過ごせるよう、正確かつ心に寄り添う文章の執筆をこころがけています。

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