フローチャート付き!脂質異常症とはどんな疾患?薬剤師が知るべき基本知識
厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」の令和5年(2023年)調査によると、脂質異常症で治療を受けている総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は458万7,000人(男性152万7,000人、女性306万1,000人)と報告されています。前回(令和2年)の401万人(男性124万9,000人、女性276万2,000人)から57万7,000人の増加となり、脂質異常症患者は年々増加傾向にあります。
現在、日本人の約3人に1人が脂質異常症に該当するといわれ、動脈硬化性疾患の主要な危険因子として、その管理の重要性が一層高まっています。
本記事では、脂質異常症の基本的な病態、治療方針、薬物療法のポイントについて整理し、日常業務に活かせる知識を解説します。
「脂質異常症」とはどんな疾患?
脂質異常症は代表的な生活習慣病の一つで、血液中のコレステロールや中性脂肪の値が異常になった状態を指します。
脂質異常症とは、生活習慣や遺伝などの要因によって脂質の代謝に異常が生じ、血液中のコレステロールや中性脂肪の値が正常範囲を外れた状態を指します。
従来は「高脂血症」と呼ばれていましたが、HDL(善玉)コレステロールの低下も問題視されるようになったことから、2007年に「脂質異常症」と改称されました。脂質異常症に関連する代表的な用語について簡単に解説します。
脂質異常症の関連用語
コレステロール:
細胞膜の主要な構成成分で、脳や神経組織にも多く含まれる生命維持に不可欠な物質です。肝臓で合成されたコレステロールは水に溶けにくいため、リポたんぱくと結合し、水に溶けやすい形となって全身の細胞へ運ばれていきます。
LDL(低比重リポたんぱく):
コレステロールを全身に運ぶ働きがあります。LDLコレステロールが過剰になると血管内に沈着し、動脈硬化を引き起こすため「悪玉コレステロール」と呼ばれます。
HDL(高比重リポたんぱく):
血管壁にたまった余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す働きがあり、「善玉コレステロール」と呼ばれます。
non-HDLコレステロール:
総コレステロールからHDLコレステロールを指し引いた値です。LDLコレステロールだけでなく動脈硬化の原因となるVLDL(超低比重リポたんぱく)やIDL(中間比重リポたんぱく)などを総合的に評価することが出来ます。
中性脂肪(トリグリセライド):
食事で摂取した脂質や肝臓で合成された脂質をもとに作られる主要なエネルギー源です。エネルギーとして使われなかった中性脂肪は内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられます。