薬剤師のバイブル!病気とくすりのキホン

更新日: 2026年2月25日 鶴島章浩

【薬剤比較表付】脂質異常症スタチン系薬剤の使い分けと服薬指導の要点解説

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脂質異常症は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患の原因となります。その予防・治療では、食事・運動療法に加えて薬物療法が重要な役割を担います。

前回の記事では、脂質異常症の一次予防として食事療法および生活指導について解説しました。これらの介入で十分な改善が得られない場合や、心血管疾患の既往がある二次予防では、薬物療法が行われます。

脂質異常症治療薬の中でも、スタチン系薬剤はLDLコレステロール低下作用と確立したエビデンスを有し、第一選択薬として位置づけられています1)。本記事では、スタチン系薬剤の作用機序、種類、使い分け、相互作用および服薬指導のポイントについて解説します。

脂質異常症治療薬・スタチン系薬剤について

スタチン系薬剤は、HMG-CoA還元酵素を阻害することでLDLコレステロールの産生を抑制し、あわせて肝臓での取り込みを促進することで血中LDLコレステロールを低下させます。

薬効の強さにより、スタチン系薬剤はストロングスタチンとスタンダードスタチンに大別されます。

動脈硬化性心血管疾患の既往がある二次予防症例や、糖尿病・慢性腎臓病などを合併しLDLコレステロールをより厳格に管理する必要がある高リスク症例では、強力なLDLコレステロール低下作用を有するストロングスタチンが選択されます。

一方、一次予防目的で軽度から中等度の脂質異常症に対して治療を行う場合や、高齢者・多剤併用患者など副作用や相互作用への配慮が必要な症例では、忍容性に優れるスタンダードスタチンが用いられることが多いです。

①ストロングスタチン(ロスバスタチン、ピタバスタチン、アトルバスタチン)

・「ロスバスタチン(クレストール®)」

水溶性のストロングスタチンで、CYPによる代謝の影響を受けにくく、相互作用が少ない点が特徴です。

一方で、スタチンの中で唯一、添付文書上で腎機能に応じた明確な用量制限が規定されており、Ccr30mL/min/1.73m2未満では上限が5mg/日となる点に注意が必要です。

・「ピタバスタチン(リバロ®)」

脂溶性のストロングスタチンで、小児の家族性高コレステロール血症にも適応があるのが特徴です。

主にCYP2C9が関与しますが、相互作用は比較的限定的とされています。一方で、「シクロスポリン」は併用禁忌であり、処方監査時には注意が必要です。

・「アトルバスタチン(リピトール®)」

脂溶性のストロングスタチンで、主にCYP3A4により代謝されるため、相互作用が比較的多く、併用薬の確認が特に重要なスタチンです。

「シクロスポリン」との併用は禁忌ではありませんが血中濃度への影響が大きいため4)、慎重な投与が必要です。

【図表】ストロングスタチン3剤の比較

薬剤名 ロスバスタチン (クレストール®) ピタバスタチン (リバロ®) アトルバスタチン (リピトール®)
溶解性 水溶性 脂溶性 脂溶性
主な代謝経路 CYPの影響を受けにくい 一部CYP2C9 CYP3A4(相互作用に注意)
併用禁忌 シクロスポリン シクロスポリン マヴィレット配合錠
腎機能による制限 あり(30 mL/min未満で上限5mg) なし なし
肝障害時の注意 肝疾患のある患者には禁忌もしくは慎重投与 重篤な肝障害のある患者には禁忌 活動性肝疾患の患者には禁忌
配合剤の例 ロスーゼット®、エゼロス® リバゼブ® アトーゼット®、カデュエット®
その他備考 2.5~20mgまで幅広く調節可 小児家族性高コレステロール血症に適応 グレープフルーツジュースに注意

②スタンダードスタチン(フルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン)

・「フルバスタチン(ローコール®)」

脂溶性のスタンダードスタチンで主にCYP2C9で代謝されますが、併用禁忌はありません。
スタチン系薬剤は「シクロスポリン」併用時に血中濃度が上昇する傾向にあり、併用禁忌の有無にかかわらず注意が必要です。

その中でも「フルバスタチン」はシクロスポリン併用時の血中濃度上昇が少なく、現在まで有害事象の報告が比較的少ない点が特徴です4)

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鶴島章浩
つるしまあきひろ

大学卒業後、総合病院にて現在まで15年勤務。約10年間の病棟薬剤師業務を経て2019年よりDI室に配属となる。現在は院内の感染制御や抗菌薬適正使用に関わりながら、DI部門担当として副作用事例の収集・報告や院内部門システム、医薬品マスタの整備、採用薬への対応などに従事している。「感染制御認定薬剤師」、「抗菌化学療法認定薬剤師」、「医療情報技師」の資格を取得。

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