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薬剤師のバイブル!病気とくすりのキホン

更新日: 2026年4月24日 鶴島章浩

【服薬指導ガイド】脂質異常症「スタチン」の併用禁忌と腎機能別の用量

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前回までの記事では、スタチン系薬剤の特徴、スタチン以外の薬剤の使いどころについて解説しました。本記事では、脂質異常症治療薬を安全に使用するために押さえておきたい併用禁忌や相互作用、腎機能低下時の減量基準などを、実臨床の視点から整理します。

「スタチン」ほか脂質異常症治療薬はなぜ“安全確認”が重要なのか

脂質異常症治療では、LDLコレステロールを目標値まで低下させるために、安全に服用を継続できることが重要となります。

「スタチン」をはじめとする脂質異常症治療薬は比較的安全性の高い薬剤ですが、併用薬や腎機能の状態によっては副作用リスクが高まることがあります。特に横紋筋融解症や重度の肝機能障害は頻度こそ高くありませんが、発生すれば患者の生活に大きな影響を及ぼします。

実臨床では、多剤併用や高齢患者も多く、処方変更のたびに相互作用や用量の妥当性を確認する姿勢が欠かせません。

「スタチン」の相互作用とは?

脂質異常症治療薬の中でも、特に注意が必要なのが「スタチン」の薬物相互作用です。スタチンは比較的安全性の高い薬剤とされていますが、代謝経路の違いによって併用注意薬が異なります。

➀抗菌薬や抗真菌薬が追加された場合
外来でよくあるのが、スタチン内服中の患者に抗菌薬が追加される場面です。

「アトルバスタチン」や「シンバスタチン」はCYP3A4で代謝されます。そのため、同酵素を阻害する薬剤(例:「クラリスロマイシン」などのマクロライド系抗菌薬、アゾール系抗真菌薬)との併用で血中濃度が上昇する可能性があります。

血中濃度の上昇は筋障害や横紋筋融解症などのリスク増加につながるため、短期間の併用であっても注意が必要です。

➁「シクロスポリン」との併用
「シクロスポリン」はCYP3A4および薬物トランスポーター(OATP1B1)を阻害するため、スタチンの血中濃度を上昇させることが知られています。

血中濃度の上昇は筋障害リスクの増加につながる可能性があります。添付文書上、併用禁忌が設定されている「スタチン」もあり、組み合わせによっては処方変更を検討することも必要です。特に移植患者など長期併用となるケースでは、処方監査時に必ず確認したい組み合わせです。

【図表1】「スタチン」処方時に確認したい相互作用の代表例

確認場面 想定される相互作用 注意ポイント
抗菌薬・抗真菌薬追加 CYP3A4阻害による
スタチンの血中濃度上昇
スタチンの一時中止または併用
可能な代替薬への変更を検討
免疫抑制薬の併用
(例:シクロスポリン)
トランスポーター阻害・
CYP3A4阻害による
スタチンの血中濃度上昇
併用禁忌の有無を確認し、禁忌
の場合は代替可能なスタチンへ
の変更を検討
フィブラートの追加 筋障害リスク増加 併用は可能だが、高齢者・腎
機能低下例で特に注意
グレープフルーツジュースの摂取 CYP3A4阻害による
スタチンの血中濃度上昇
摂取習慣の確認と食事指導

※各スタチンの詳細な併用禁忌や相互作用については第三回の記事を参照

③脂質異常症治療薬はグレープフルーツジュースにも注意
グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害するため、CYP3A4で代謝されるスタチン(アトルバスタチンやシンバスタチン)の血中濃度を上昇させることが知られています。生活習慣の確認も重要なポイントです。

なお、相互作用はジュースで報告されることが多く、グレープフルーツの果肉のみの摂取では影響が比較的小さいとされていますが、過剰摂取は避けるように指導することが望まれます。

「スタチン」と「フィブラート」併用時の確認ポイント

中性脂肪が高値の場合、「スタチン」に「フィブラート系薬剤」が追加されることがあります。しかし、両者の併用は筋障害リスクを高める可能性があります。

特に注意すべきは…

  • 高齢者
  • 腎機能低下例
  • 多剤併用患者

併用自体が禁忌というわけではありませんが、「注意が必要な組み合わせ」であることを意識する必要があります。

特に腎排泄型のフィブラート(フェノフィブラートやベザフィブラート)では腎機能低下時に血中濃度が上昇しやすく、スタチン併用時は筋障害リスクに注意が必要です。

【図表2】フィブラート追加前の確認フロー

① TG高値を確認

② 生活習慣の確認

✓食事内容(糖質・脂質)
✓アルコールの摂取
✓体重増加
✓二次性原因(DMコントロール不良など)


③ 腎機能(Ccr・Scr)確認

④ 併用可否判断

⑤ 筋症状フォロー(CK測定を含む)
(スタチン併用時は特に注意)

腎機能低下時に見直したい脂質異常症治療各薬剤の用量設定

脂質異常症治療薬は長期投与が基本です。そのため、腎機能の変化が見逃されやすい薬剤でもあります。

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鶴島章浩
つるしまあきひろ

大学卒業後、総合病院にて現在まで15年勤務。約10年間の病棟薬剤師業務を経て2019年よりDI室に配属となる。現在は院内の感染制御や抗菌薬適正使用に関わりながら、DI部門担当として副作用事例の収集・報告や院内部門システム、医薬品マスタの整備、採用薬への対応などに従事している。「感染制御認定薬剤師」、「抗菌化学療法認定薬剤師」、「医療情報技師」の資格を取得。

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