調剤後管理料2に対応!ファンタスティック・フォーとGDMT活用法
ARNI(サクビトリル/バルサルタン)、β遮断薬(ビソプロロール、カルベジロール)、MRA(スピロノラクトン、エプレレノン)、SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)、ACE阻害薬、ARB、利尿薬、NSAIDs
令和6年度の診療報酬・調剤報酬改定では、「調剤後薬剤管理指導料2」の対象に、複数の作用機序の異なる循環器疾患治療薬が処方された慢性心不全患者が追加されました。
特に退院後間もないvulnerable phase(脆弱期)は再増悪リスクが高く、薬剤師による継続的なフォローアップが求められています。
近年、HFrEFでは予後改善を目的とした4系統の薬剤「ファンタスティック・フォー(Fantastic Four)」が治療の基本となっています。今回は、ファンタスティック・フォーの意義とGDMTスコアを活用した薬剤師の実践について解説します。
心不全治療を変えた「ファンタスティック・フォー(Fantastic Four)」とは?早期導入が進む背景
「ファンタスティック・フォー(Fantastic Four)」とは、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)において、生命予後の改善や心不全再入院の抑制効果が確立されている4系統の基本治療薬の総称です。具体的には、①ARNI、②β遮断薬、③MRA、④SGLT2阻害薬を指します。3)4)
従来は薬剤が段階的に導入される例も見られましたが、近年では4系統を早期に導入し、その後、忍容性を確認しながら目標用量へ増量する戦略がとられています。
そのため、治療初期には各薬剤を低用量で開始し、患者さんの状態を慎重に評価しながら、同時または短期間で順次導入することが推奨されています。1)
なお、導入順序に一律の決まりはなく、血圧や腎機能、心拍数など、それぞれの患者さんの臨床状況に応じて判断されています。
「ファンタスティック・フォー(Fantastic Four)」の特徴
「ファンタスティック・フォー」である、①ARNI②β遮断薬③MRA④SGLT2阻害薬をおさらいしましょう。
①ARNI(サクビトリル/バルサルタン)
バルサルタンとネプリライシン阻害薬であるサクビトリルの複合体です。レニンアンジオテンシン系の抑制と心房ナトリウム利尿ペプチドの分解抑制という2つの作用を併せ持ち、強力な血管拡張・利尿・心保護作用を発揮します。従来のACE阻害薬を上回る生命予後改善効果が証明されています。
②β遮断薬(ビソプロロール、カルベジロール)
交感神経の過剰亢進を抑え、全重症度のHFrEFで生命予後を改善します。心拍数減少による心筋エネルギー消費の抑制、拡張期特性の改善、抗不整脈作用などにより心保護をもたらします。
③MRA(スピロノラクトン、エプレレノン)
アルドステロンの作用を抑えることで、心肥大や線維化などの心臓リモデリング(構造変化)を抑制します。ナトリウムを排泄しつつカリウムを保持するため、他の利尿薬による低カリウム血症を防ぐ役割も果たします。
④SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)
糖尿病の有無にかかわらず、心不全悪化や心血管死のリスクを低下させます。糖・Na排泄による利尿作用に加え、心筋のエネルギー代謝改善や腎保護作用など、多面的なメカニズムで心不全を改善します。
「Simple GDMTスコア」の活用方法
心不全の患者さんの処方箋を受け取ったら、「必要な薬が入っているか」「十分な用量か」を確認することは薬剤師の重要な役割です。その際に参考となる指標の一つが、「Simple GDMTスコア」5)です。