外来がん治療認定薬剤師やぎざいしと読む!抗がん剤ゼローダの大腸がんでの使い方
普段あまり触れないし、勉強の敷居が高そうでちょっと難しい。そんなイメージが持たれやすい抗がん剤のDI情報を日々がん治療に関わるやぎざいしが一緒にコラム形式で読み解いていきます。ネット上の同僚と一緒にDI情報を読んでいるつもりで、ぜひ一緒に確認していきましょう。
1.ゼローダの適応
手術不能又は再発乳がん
結腸・直腸がん(=大腸がん)
胃がん
2.ゼローダの用法用量
添付文書には「結腸・直腸がんにおける補助化学療法にはB法を使用し、オキサリプラチンと併用する場合にはC法を使用する。治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんには他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法又はE法を使用する。直腸がんにおける補助化学療法で放射線照射と併用する場合にはD法を使用する。」と書いてあります。
ただ、このままだと少しわかりづらいので、簡潔にまとめてみます。
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大腸がんの術後補助化学療法
ゼローダのみ・・・B法
ゼローダ+オキサリプラチン(CAPOX)・・・C法 -
進行再発の大腸がんに対する薬物治療
ゼローダ+オキサリプラチン±分子標的薬 (CAPOX±α)・・・C法
ゼローダ+イリノテカン±分子標的薬 (CAPIRI±α)・・・E法 -
直腸がんの術前補助化学放射線療法
ゼローダ+放射線治療・・・D法
B法:1250mg/m2/回
C法:1000mg/m2/回
E法:800mg/m2/回
・・・1日2回、14日間連日内服し、その後7日間休薬。これを1コースとして繰り返す。
D法:825mg/m2/回
・・・1日2回、5日間連日内服し、その後2日間休薬。これを1コースとして繰り返す。
3.ゼローダの相互作用
併用禁忌
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)
早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後7日以内は本剤を投与しないこと。
いやいや、同じ種類の抗がん剤を併用することなんてないでしょ!と思うかもしれませんが、このパターンが稀にあります。それは、副作用など何らかの理由でSOX療法からCAPOX療法に切り替えとなるときです。切り替え時には、記載の通り休薬期間が空いているかどうかを確認しなければいけませんね。
併用注意
- ワルファリンカリウム
併用開始数日後から本剤投与中止後1ヶ月以内の期間に血液凝固能検査値異常、出血の発現が報告されている。定期的に血液凝固能検査(プロトロンビン時間、INR等)を行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。
- フェニトイン
フェニトインの血中濃度が上昇したとの報告があるので、フェニトインの血中濃度の変化に注意すること。
ゼローダの効果が落ちてしまい次の治療であるロンサーフに切り替えとなる場合には、休薬期間の有無を確認する必要があります。フェニトインとワルファリンは、CYP2C9の代謝に影響を与えることが原因と考えられています。
4.ゼローダの副作用
手足症候群、下痢、悪心嘔吐、肝障害、食欲不振、骨髄抑制など
ゼローダはなんといっても、手足症候群のコントロールが治療の予後に関わります。
現状では対症療法が主となっていますが、手足のスキンケアを徹底することで重症化を防ぐことが出来るというデータがでています。また、Grade1以上の症状が現れた場合には適宜ステロイド外用薬を保湿剤と併用することで改善がみられることも分かっています。1日2回前後の保湿が重要です。
参考)
ゼローダ 適正使用ガイド 結腸・直腸がん
https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/xel/tab/guide-cl/doc/xel_guide_cl.pdf