抗がん剤のオンラインDI室”オシメルチニブ”について外乱がん治療認定薬剤師やぎざいしが解説
前回は、ゼローダについて解説しました。手術不能または再発乳がん、結腸・直腸(大腸がん)、胃がんと主に3つの癌種に適応のある抗がん剤でしたね。今回は、オシメルチニブについて解説していきます。
1.オシメルチニブの適応
- EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん
- EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法
また、術後補助療法にも適応となり、その売上高は全医薬品中第5位。いま肺癌領域では、最も使用されているEGFR-TKIとなっています。
2.オシメルチニブの用法用量
通常、成人にはオシメルチニブとして80mgを1日1回経口投与する。ただし、術後補助療法の場合は、投与期間は36カ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
※他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
※副作用がみられた場合は、症状、重症度等に応じて、既定の基準を考慮して、本剤を休薬、減量又は中止すること。本剤を減量する場合には、40mgを1日1回投与すること。
●間質性肺疾患/肺臓炎
本剤の投与を中止する。
●QT間隔延長
500msecを超えるQTc値が認められる場合:
481msec未満又はベースラインに回復するまで本剤を休薬する。481msec未満又はベースラインに回復した後、本剤を減量し、投与を再開する。3週間以内に回復しない場合は本剤の投与を中止すること。
重篤な不整脈の症状/兆候を伴うQT間隔延長の場合:
本剤の投与を中止する。
●その他の副作用
Grade3以上:
Grade2以下に改善するまで本剤を休薬する。Grade2以下に回復した後、必要に応じて本剤の減量を考慮し、投与を再開する。3週間以内にGrade2以下に回復しない場合は本剤の投与を中止すること。
3.オシメルチニブの相互作用
併用注意
- CYP3A誘導剤:フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシンなど
- P-gpの基質となる薬剤:フェキソフェナジン、ジゴキシン、ダビガトランエテキシラートなど
- BCRPの基質となる薬剤:ロスバスタチン、サラゾスルファピリジンなど
- QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤:プロカインアミド、クラリスロマイシン等
4.オシメルチニブの副作用
ざ瘡用皮疹、口内炎、爪囲炎、下痢、QT間隔延長など
オシメルチニブでまず大切なのは「皮疹、爪囲炎、口内炎」のコントロールです。約30-40%の頻度で発現することが分かっています。皮疹は内服開始から約1か月前後、爪囲炎は1-2か月後から現れ始めることが多く、 QOL を低下させる要因にもなりかねません。僕たち薬剤師がフォローアップすべき重要な確認項目ですね。
また「下痢」が頻繁に起こっていないかの確認も必要です。こちらも約40%の頻度で起こるとされています。基本的な下痢の対処方法は適切な水分補給と整腸薬や止瀉薬の使用です。もし症状がある場合は、どのくらいの頻度でどのような排便があるかは、評価しておきましょう。
参考)
IQVIA トップライン市場データ
https://www.iqvia.com/-/media/iqvia/pdfs/japan/topline-market-data/2021/toplinedata_cy_2021.pdf
タグリッソ 添付文書、適正使用ガイド、患者さん向け資材
https://med2.astrazeneca.co.jp/safety/download/TAG01.pdf