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薬剤師が知っておきたい!内科疾患の事例検討

更新日: 2019年7月9日 近畿国立病院生涯教育センター

シリーズ5

腎機能障害時の用法用量への理解

治療、副作用マネジメント、チーム医療での薬剤師の関わりについて、様々な疾患を検討する連載コラムです。示された患者情報から後に続くQuestionを考えてみましょう。

患者の腎機能(eCCr、eGFR<30ml/min)に対する処方の妥当性を検討してください。どのように処方提案するかも考えてみましょう。

A.

【 各薬剤の腎機能別薬剤投与量 】

薬剤名 常用量 GFRまたはCcr(ml/min)
>80 70 60 50 40 30 20 10>  
                                 
中等度腎障害 重度腎障害 末期腎不全
エディロール 1日1回 0.75µg 減量の必要はないが、高Ca血症による腎機能悪化に注意する。
ロキソプロ
フェンNa
120~180mg 分3食後 高齢者、高血圧、糖尿病、心不全、利尿剤を併用されている症例など腎障害のリスクが高い患者に漠然と投与しない 腎障害を悪化させるおそれがあるため重篤な腎障害には禁忌
レバミビド 1回100mg 1日3回 直接胃粘膜に作用して効果を発揮するため減量はしないが、腎不全では血中濃度が上昇するため注意
リリカ 神経障害性疼痛:初期量150mg分2/日。その後 1週間以上かけて300mg/日まで漸増。最大600mg/日。 初期量:75mg分1~3 維持量:150~300mg分1~2 初期量:20~50mg分1~2 維持量:75~150mg分1~2 添付文書では初期量:25mg分1
ボルタレンサポ 1回25~50mgを1日1~2回 高齢者、高血圧、糖尿病、心不全、利尿剤を併用されている症例など腎障害のリスクが高い患者に漠然と投与しない 腎障害を悪化させるおそれがあるため重篤な腎障害には禁忌
ヒューマログ注 1日2~20単位を毎食直前に皮下注 75%に減量。ただし、血糖値に応じて投与量を決定する。 50%に減量。ただし、血糖値に応じて投与量を決定する。
ランタス注 1日1回4~20単位 75%に減量。ただし、血糖値に応じて投与量を決定する。 50%に減量。ただし、血糖値に応じて投与量を決定する。
ピクトーザ 0.3mg/日から開始し、0.9mgを1日1回皮下注 腎機能正常者と同じ
オルメテック 10~40mg 分1 腎機能正常者と同量を慎重投与(低容量から開始)
アロプリノール 200mg~300mg 分2~3 100mg分1。ただし、この容量では適正な尿酸値にコントロールできない場合が多い。 50mg分1。ただし、この容量では適正な尿酸値にコントロールできない場合が多い。
マグミット 0.2~2g分割投与 腎障害ではMgの排泄障害があるため慎重投与

日本腎臓病薬物療法学会監修 腎機能別薬剤投与量一覧より

No. 処方 腎機能に対する処方の妥当性について
1 エディロールカプセル0.75µg
1C 分1朝食後
投与前の補正Ca値:9.5 mEq/Lと基準値内。血清Ca値のモニタリングを継続し、高Ca血症による腎機能悪化に注意する。
2 ロキソプロフェンNa錠60㎎
3錠 分3毎食後
疼痛コントロール:NSAIDsはCOX阻害を介して血管拡張物質であるPGの産出を抑制するため、腎血流低下による腎機能悪化を引き起こすリスクがあり、重度腎障害には禁忌となっている。NSAIDsが末梢のPG産出抑制により腎障害を引き起こすのに対し、アセトアミノフェンは中枢神経系に作用し、末梢にはほとんど作用しないためNSAIDsに比べ腎障害のリスクが少ない。
NSAIDsの使用をできる限り避けるため、ロキソプロフェンの定期内服からアセトアミノフェンへ変更、ボルタレン坐剤は痛みの状況に合わせて屯用での使用を推奨する。リリカは腎排泄型薬剤であるが、腎機能に対し適正用量であり問題なし。
3 レバミピド錠100㎎
3錠 分3毎食後
4 リリカカプセル75㎎
2C 分2朝・夕食後
5 ボルタレンサポ50㎎
1個 疼痛時
6 ヒューマログ注
毎食直前 朝8 昼8 夕6
血糖コントロール:腎機能低下の進行に伴いインスリンの分解・排泄が低下し低血糖を生じやすくなるため血糖変動に注意する。
7 ランタス注
寝る前26単位
8 ビクトーザ皮下注
朝前0.9㎎
9 オルメテック錠20㎎
1錠 分1朝食後
本症例では、オルメテックは入院前から服用されており、血清K値も基準値内であるため投与継続で問題ないと考えられる。
RAS阻害薬は、糸球体輸出動脈拡張による腎保護作用をもつが、腎機能低下が進行している場合、糸球体内圧が低下し更なる腎機能悪化を招く可能性があるため、初回投与時は低用量から開始し、血清Cr値、K値の変動に注意する必要がある。
10 アロプリノール錠100㎎
3錠 分3毎食後
尿酸コントロール:アロプリノールは腎排泄型薬剤であり、腎機能に対し 50㎎/日が適正用量だが、この用量では適正な尿酸値にコントロールできない場合が多いため、フェブリクへの変更について検討する。
11 マグミット錠330㎎
4錠 分2朝・夕食後便の状態で調節
便通コントロール:腎障害のある患者に酸化Mgを長期連用すると、Mgの排泄障害により高Mg血症を起こすリスクがあるため、血中Mg濃度モニタリング、またはアミティーザなど他剤への変更について検討する。

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