初期抗菌薬選択への理解
治療、副作用マネジメント、チーム医療での薬剤師の関わりについて、様々な疾患を検討する連載コラムです。示された患者情報から後に続くQuestionを考えてみましょう。
更新日: 2019年8月27日 近畿国立病院生涯教育センター
治療、副作用マネジメント、チーム医療での薬剤師の関わりについて、様々な疾患を検討する連載コラムです。示された患者情報から後に続くQuestionを考えてみましょう。
A.感染臓器を考え、起炎菌を予想して抗菌薬を選択する。
本症例では、尿路感染であることから、E.coli、Enterococcus属、Klebsiella、P.aeruginosa などが考えられる。更に、グラム染色でグラム陰性菌と判明しているため、Empiric therapyとしてEnterococcus属を除く3菌種をカバーできる抗菌薬を選択する。
ここで問題となるのは、P.aeruginosaをカバーするか否か、カバーする場合はその感受性、そして、ESBL産生菌の有無である。患者背景や施設ごとの分離頻度、感受性率を考慮した上で抗菌薬を選択する必要がある。
P.aeruginosaは入院患者や直近に入院歴がある患者、compromised host等の場合はカバーしておくのが望ましい。 Empiric therapyを行う際に有用となるものが、アンチバイオグラムである。施設の感受性情報を確認し、極力狭域の抗菌薬を選択する。
本症例は入院患者であることから、MEPMの選択は妥当かもしれないが、アンチバイオグラムの情報によっては、CAZの選択も可能となるかもしれない。