更新日: 2019年9月25日
近畿国立病院生涯教育センター
治療、副作用マネジメント、チーム医療での薬剤師の関わりについて、様々な疾患を検討する連載コラムです。示された患者情報から後に続くQuestionを考えてみましょう。
体重減少及び食事摂取量の低下により、
①目標摂取カロリーは?
②不足分をどのように補うか?(医薬品で)
A.
①160cmの患者の理想体重(BMI22):56.3kg
56.3kg×30kcal/kg=1689(≒約1700kcal)
②約700kcal不足とすると・・・
例1) |
ビーフリード® |
210kcal/500mL/袋 |
1日2袋 |
= 420kcal |
|
エンシュア® |
250kcal/缶 |
1日1缶 |
= 250kcal |
計670kcal |
例2) |
エンシュア® |
250kcal/缶 |
1日1缶 |
= 250kcal |
|
エンシュアH® |
375kcal/缶 |
1日1缶 |
= 375kcal |
計625kcal |
- 必要エネルギー量(1日必要カロリー(kcal/day))は・・・
基礎エネルギー消費量×活動係数×ストレス係数で求めることが可能である。
しかし・・・
- 基礎エネルギー消費量(Harris-Benedict)は、
男性:66.5+(13.75×体重kg)+(5.0×身長cm)-(6.76×年齢)
女性:655.1+(9.56×体重kg)+(1.85×身長cm)-(4.68×年齢)
- 活動係数
寝たきり:1.0~1.1 、ベッド上安静:1.2 、ベッド外活動あり:1.3~1.4 、
一般職業従事者:1.5~1.7
- ストレス係数
飢餓状態:0.6~0.9 、手術(軽度:1.1 、中等度:1.3~1.4 、高度:1.5~1.8)など
これらを使用することで、必要エネルギー量を算出することは可能であるが、ベッドサイドで瞬時に算出ことは難しいため、簡易的な算出方法として、標準体重(身長m×身長m×22)に25あるいは30* を乗じたA.の計算式を用いることで簡易的ではあるが、必要エネルギー量を容易に算出可能となる。
*:施設によって「25」あるいは「30」を乗じている
- A.はあくまで例であるが・・・
「腸」が使える状態であれば、経腸栄養を第1選択することが重要である。
「腸」が使用出来ない場合や患者自身の経腸栄養の摂取に限界がある場合は、輸液使用も考慮するべきである。
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