第106回薬剤師国試問題
< 問274~275 >
薬剤師の後発医薬品に関する説明内容として、適切なのはどれ?
56 歳女性。10 年前に高血圧と糖尿病と診断され、本日、以下の処方が記載された処方箋を薬局に持参した。
(処方1) アダラートCR 錠(注1)20mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 30日分
(処方2) メトグルコ錠(注2)500mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 30日分
注1:ニフェジピン塩酸塩徐放錠 注2:メトホルミン塩酸塩錠
患者から、医療費の負担をなるべく小さくしたいので、後発医薬品に変更できないか薬剤師に相談があった。しかし、処方箋の「変更不可」欄には両処方ともチェック( )が記載されていた。処方医に相談したところ、後発医薬品が先発医薬品と同等の有効性と安全性及び品質を有している根拠を説明することになった。
< 問274 >
薬剤師の後発医薬品に関する説明内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
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動物を用いた薬力学的試験が実施されています。
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溶出試験や含量均一性試験が実施されています。
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ヒトを被験者とする相対的バイオアベイラビリティが測定されています。
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ヒトでの第Ⅰ~第Ⅲ相試験が実施されています。
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市販後調査が実施されています。
回答・解説
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2. 溶出試験や含量均一性試験が実施されています。
3. ヒトを被験者とする相対的バイオアベイラビリティが測定されています。
一般的な後発医薬品(バイオ後続品を除く。)の承認申請に必要な資料として、「製造方法並びに規格及び試験方法に関する資料」、「安定性に関する資料(加速試験)」、「吸収、分布、代謝、排泄に関する資料(生物学的同等性に関する資料)」がある。
1 不適切。薬力学的(Pharmacodynamic)試験では、薬物の薬理学的又は臨床的効果を調べる。後発医薬品(バイオ後続品を除く。)は、先発医薬品と有効成分が同一であるため、その効果は、通常、生物学的同等性試験でバイオアベイラビリティの比較により評価する。よって、後発医薬品の説明として薬力学的試験が実施されているとはいえない。
2 適切。含量均一性試験は規格及び試験方法に関する資料に、溶出試験は生物学的同等性に関する資料の作成のために後発医薬品でも行われる試験である。
3 適切。生物学的同等性に関する資料では、経口製剤においては、溶出試験及び生物学的同等性試験が行われる。生物学的同等性試験は、通常、先発医薬品と後発医薬品の相対的バイオアベイラビリティを比較する。
4 不適切。ヒトでの第Ⅰ~第Ⅲ相試験は、主に先発医薬品を対象とし、後発医薬品では実施を必要としない。
5 不適切。市販後調査(現在の製造販売後調査等)は、再審査又は再評価のために行われる調査及び試験をいう。再審査は新医薬品等を、再評価は厚生労働大臣が指示した医薬品を対象とすることから、後発医薬品の説明として、実施しているとはいい切れない。なお、PMS としての市販後調査は、製造販売業者等が製造販売後に行う全ての安全対策をさし、後発医薬品でも実施している。
< 問275 >
この処方医に説明するときに提示する、後発医薬品と先発医薬品の生物学的同等性を規定する薬物動態パラメーターはどれか。2つ選べ。
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分布容積
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最高血中濃度
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消失半減期
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平均滞留時間
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血中濃度時間曲線下面積
回答・解説
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2. 最高血中濃度
5. 血中濃度時間曲線下面積
先発医薬品と後発医薬品は、生物学的に同等である必要がある。生物学的に同等とは、2つの製剤の量的バイオアベイラビリティと速度的バイオアベイラビリティがともに同等であることをいう。量的バイオアベイラビリティは、投与量に対して体循環に流入する薬物量の割合であり、指標として血中濃度時間曲線化面積(AUC)が用いられる。速度的バイオアベイラビリティは薬物が体循環に流入する速度であり、最高血中濃度(Cmax)などが指標となる。
※問題・解答・解説は、薬剤師国家試験対策予備校の薬学ゼミナールより提供しています。
本クイズの内容は2021年10月作成時点のものであり,ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。