薬剤師からの処方提案、コツは「患者さん」
4師会が協力体制にある茨城県薬剤師会。信頼が生まれたエピソード
茨城県薬剤師会の会長 根本清美氏のインタビュー第2回。医師と強い信頼関係を築いたエピソードや、処方提案のコツなどを、調剤薬局勤務レポーターが伺いました。
前回の記事はこちら「困ったら、一番に薬剤師を思い浮かべてほしい」
住宅地図を広げて開業医に集患アドバイス。感謝が「信頼」に
──第29回茨城県薬剤師会学術大会において、4師会が一堂に会するのは、非常に珍しいことと感じましたが。
茨城県は、人口当たり医師数が47都道府県中ワースト2位で、医師不足が深刻です。そのため茨城県では、医師会、歯科医師会、薬剤師会の3師会の協力関係は以前からありましたが、そこに看護協会を加えた4師会が相互に協力する体制ができており、信頼関係を築いてきました。
──具体的に4師の連携ではどのようなことができるのでしょうか。
例えば日常業務においても、薬剤師の在宅訪問時、口腔衛生の保たれていない患者を確認すると、歯科医を受診勧奨するという連携が行われています。
また、地域に密着している薬局だからこそ可能なアドバイスもしてきました。以前、薬局の近くに、眼科医院が開業しました。プールの季節など流行り病の時は混雑するものの、それ以外の季節は常に集患に苦戦しているようでした。そこで薬局が持つ地域情報を生かして、住宅地図にピンを立てながら、地域のどこにクリニックの看板を出す必要があるか、どんな疾患の診療を周知することが集患に有効かを眼科医院の院長に伝えたのです。院長には非常に喜んでいただき、今では年間を通じて、安定した集患ができるようになりました。
医師と相談。薬剤師が文献を探して症状改善
薬学的な知見を活かす場面でも薬剤師ができることは多いと思います。
腎機能の安定しない患者さんについて、医師と相談し、文献を探してきたことがありました。球形吸着炭製剤先発品のクレメジンとジェネリックにおいて、吸着能に違いがあったとして、2009年ジェネリック医薬品品質情報検討会が結論付けたもの※でした。文献をもとに、クレメジンで調剤するようになり、患者さんの腎機能は安定するようになりました。
医師が見つけることが難しかった文献を、薬剤師の知識を生かして探し出し、患者さんの症状改善に成功しました。
病院と連携しプロトコールが行われている地域があることも、長年、地域で信頼関係が構築されてきたからだと思います。
こうした活動を通じて日頃から多職種連携ができているからこそ、処方提案にも真摯に対応してくれるようになりました。
薬剤師による処方提案。成功率をアップさせるコツ。

平成14年より茨城県薬剤師会会長を務めている 根本先生
──今では医師から厚い信頼が寄せられているということですが、最初から処方提案が受け入れられていたわけではなかったと思います。何か、処方提案のコツなどありましたら、伝授いただけないでしょうか。