ケアマネと作る「服薬管理のしくみ」
薬局に伝わらない在宅の課題。「古河モデル」で仕組みを構築【茨城県薬剤師学術大会レポート】

『薬剤師とケアマネージャーの連携による継続性のある服薬管理の仕組みづくり』発表者:高橋真吾氏(古河中央薬局日赤前)
現役・薬剤師レポーターがお届けする「茨城県薬剤師会学術大会(2018年11月18日開催)」の最終回です。今回のレポートは、薬剤師 高橋 真吾氏(古河中央薬局日赤前)による口頭発表『薬剤師とケアマネージャーの連携による継続性のある服薬管理の仕組みづくり』です。
茨城県古河(こが)市において、 ケアマネージャー(以下、ケアマネ)の気づきを起点とした地域連携の仕組み「古河モデル」が、2018年10月より開始。開始にあたり、在宅療養者の服薬管理状況実態調査を行った結果が報告されました。
ケアマネの「気づき」を活用した服薬アセスメント
高橋氏は、「在宅療養者の服薬管理など薬の問題に対して、アセスメントが十分に行われているとは言いにくい」と、在宅療養者を取り巻く課題、「古河モデル」構築に至った経緯を述べた。
古河薬剤師会と茨城県ケアマネージャー協会古河地区会が連携して在宅療養者の服薬管理やアセスメントを行う「古河モデル」は、2018年10月よりスタートした。
「在宅療養者のさまざまな情報・状況を知るケアマネ。このケアマネの「気づき」を、服薬アセスメントに生かす方法が、古河モデルの特徴だ。継続的に取り組むことができるよう、ケアマネとの連携体制・仕組みを構築した。事業開始にあたり、古河市内の居宅介護事業所の協力を得て、在宅療養者の服薬管理の状況を調査したので報告したい。」と本発表の主旨を述べた。
実態調査で判明。薬局に伝わらない在宅療養者の服薬問題

『薬剤師とケアマネージャーの連携による継続性のある服薬管理の仕組みづくり』発表者:高橋真吾氏(古河中央薬局日赤前)
市内6ヶ所の居宅介護支援事業所で働くケアマネを対象に、「在宅服薬気づきシート」(=スクリーニングシート)を使って調査を実施した。シートはマークシート形式で、【ケアマネの気づき】【利用者の状況】【薬剤師に期待するサポート】や、家族構成、薬の管理者、要支援や要介護の等級等を確認した。
調査結果は以下の通り:
- 828例データ回収
- 顕在化した問題が見られる事例21.4%
(例:明らかな残薬、飲み忘れ・飲み間違い、薬に対する不安や疑問、理解不足) - 顕在化した問題があるとは言えないが、薬学的なアセスメントを必要とする事例43.8%
(例:複数医療機関の受診、複数の薬局からの調剤、市販薬・サプリメント服用) - 顕在化した問題が見られる117事例のうち、薬剤師の支援「当面不要」と回答42.6%
- 顕在化した問題があるとは言えないが、薬学的なアセスメントを必要とする228例中のうち、薬剤師の支援「当面不要」と回答93.4%