1. 薬剤師トップ
  2. 薬剤師コラム・特集
  3. 地域の取り組み最前線
  4. ケアマネと作る「服薬管理のしくみ」【茨城県古河市】

地域の取り組み最前線

更新日: 2019年1月30日 薬剤師コラム編集部

ケアマネと作る「服薬管理のしくみ」

薬局に伝わらない在宅の課題。「古河モデル」で仕組みを構築【茨城県薬剤師学術大会レポート】

ケアマネと作る「服薬管理のしくみ」の画像
『薬剤師とケアマネージャーの連携による継続性のある服薬管理の仕組みづくり』発表者:高橋真吾氏(古河中央薬局日赤前)

現役・薬剤師レポーターがお届けする「茨城県薬剤師会学術大会(2018年11月18日開催)」の最終回です。今回のレポートは、薬剤師 高橋 真吾氏(古河中央薬局日赤前)による口頭発表『薬剤師とケアマネージャーの連携による継続性のある服薬管理の仕組みづくり』です。

茨城県古河(こが)市において、 ケアマネージャー(以下、ケアマネ)の気づきを起点とした地域連携の仕組み「古河モデル」が、2018年10月より開始。開始にあたり、在宅療養者の服薬管理状況実態調査を行った結果が報告されました。

ケアマネの「気づき」を活用した服薬アセスメント

高橋氏は、「在宅療養者の服薬管理など薬の問題に対して、アセスメントが十分に行われているとは言いにくい」と、在宅療養者を取り巻く課題、「古河モデル」構築に至った経緯を述べた。

古河薬剤師会と茨城県ケアマネージャー協会古河地区会が連携して在宅療養者の服薬管理やアセスメントを行う「古河モデル」は、2018年10月よりスタートした。

「在宅療養者のさまざまな情報・状況を知るケアマネ。このケアマネの「気づき」を、服薬アセスメントに生かす方法が、古河モデルの特徴だ。継続的に取り組むことができるよう、ケアマネとの連携体制・仕組みを構築した。事業開始にあたり、古河市内の居宅介護事業所の協力を得て、在宅療養者の服薬管理の状況を調査したので報告したい。」と本発表の主旨を述べた。

実態調査で判明。薬局に伝わらない在宅療養者の服薬問題

実態調査で判明。薬局に伝わらない在宅療養者の服薬問題の画像
『薬剤師とケアマネージャーの連携による継続性のある服薬管理の仕組みづくり』発表者:高橋真吾氏(古河中央薬局日赤前)

市内6ヶ所の居宅介護支援事業所で働くケアマネを対象に、「在宅服薬気づきシート」(=スクリーニングシート)を使って調査を実施した。シートはマークシート形式で、【ケアマネの気づき】【利用者の状況】【薬剤師に期待するサポート】や、家族構成、薬の管理者、要支援や要介護の等級等を確認した。

調査結果は以下の通り:

  • 828例データ回収
  • 顕在化した問題が見られる事例21.4%
    (例:明らかな残薬、飲み忘れ・飲み間違い、薬に対する不安や疑問、理解不足)
  • 顕在化した問題があるとは言えないが、薬学的なアセスメントを必要とする事例43.8%
    (例:複数医療機関の受診、複数の薬局からの調剤、市販薬・サプリメント服用)
  • 顕在化した問題が見られる117事例のうち、薬剤師の支援「当面不要」と回答42.6%
  • 顕在化した問題があるとは言えないが、薬学的なアセスメントを必要とする228例中のうち、薬剤師の支援「当面不要」と回答93.4%

ケアマネとの連携が、問題解決の処方箋に

高橋氏は、「現状では、顕在化した問題がなければ、薬剤師のサポートは不要との考え方が多いようです。」と、地域の中で、情報が薬剤師にフィードバックされておらず、薬剤師の役割が十分機能していない現状を伝えた。

一方、「在宅療養者の服薬アセスメントに有用な情報を、ケアマネが把握できることが改めて確認されました。」と述べ、「古河モデルで仕組み化した、ケアマネによる基礎的な服薬スクリーニング、スクリーニングシートを使った薬局へのフィードバック、それをもとに薬剤師とケアマネが連携して服薬アセスメントを行う一連の流れは、問題解決する一つの処方箋だと言えます。」と前向きである。

取材レポーターO の視点

自分自身も、在宅訪問業務に従事する際には、利用者さんの状況を最もよく把握しているのはケアマネだと感じています。情報共有が促進するよう、スクリーニングシートを使って仕組み化した「古河モデル」構築の意義は大きいと感じ、今後の広がりに期待します。
本調査の回答からは、そもそもポリファーマシーが問題であることや、それに対し薬剤師がサポートできる認識が、共有されていない可能性も考えられます。
まずは顕在化している薬の問題を、薬剤師のサポートによって解決する実績を積み重ねていくことが大切だと思いました。その先に、顕在化した問題はないが薬学的アセスメントが必要な場面で、薬剤師に任せていこうという環境、信頼関係ができていくのではないでしょうか。

レポーターO
製薬企業、CROの勤務を経て、薬局勤務7年目の管理薬剤師。エビデンスをもとに、ポリファーマシー問題に対応したいと思っている。

シリーズ 地域の取り組み最前線
新たな地域医療「地域包括ケアシステム」で重要な役割を期待される薬剤師。すでに様々な団体が地域・多職種連携を強める活動を行っています。
薬剤師コラム「地域の取り組み最前線」では各種団体・地域のユニークな取り組みを紹介します。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

薬剤師コラム編集部の画像

薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

キーワード一覧

地域の取り組み最前線

この記事の関連記事

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

キャリア 医薬品情報・DI 薬物療法・作用機序 服薬指導 ライフ・雑学 年収・待遇 ファーマスタイル 医療クイズ 疾患・病態 転職