調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年1月13日 薬剤師コラム編集部

【2024年度版】特定薬剤管理指導加算2とは?算定要件とポイントをわかりやすく解説!

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特定薬剤管理指導加算2は、抗悪性腫瘍剤を注射した患者さんに対する薬局での取り組みを評価する目的で、2020年の診療報酬改定で新設されました。薬剤師の業務が対物から対人へとシフトする中で、専門的な領域で薬剤師が役割を果たしていくことが求められています。本記事では、特定薬剤管理指導加算2の算定要件や各種点数との併算定の可否、薬局薬剤師がどのように外来がん化学療法に関わっていくべきなのかについて解説をしてきます。

特定薬剤管理指導加算2とは

特定薬剤管理指導加算2は、抗悪性腫瘍剤を注射した患者さんに対して、薬局の薬剤師が内服の抗悪性腫瘍剤等の服薬管理やサポート、体調管理を行うことを評価したものです。薬局薬剤師もレジメンを把握した上で治療をサポートしていくことで、外来がん化学療法の質を向上していくことが期待されています。

特定薬剤管理指導加算2の点数と算定要件

特定薬剤管理指導加算2は、服薬管理指導料またはかかりつけ薬剤師指導料にかかるものです。以下の条件を満たした時に、1回100点を加算することができます。

  • 抗悪性腫瘍剤又は制吐剤等の支持療法に係る薬剤を調剤する
  • レジメンを把握した上での薬学的管理、服薬指導
  • 患者の服用状況、健康状態を確認し医療機関へのフィードバックを行う

算定対象患者

算定対象となるのは以下2点の条件をどちらも満たした患者です。

  • 抗悪性腫瘍剤を「注射」された悪性腫瘍の患者
  • 連携充実加算を届出している医療機関から抗悪性腫瘍剤や制吐剤などの支持療法の処方を受けている患者

参照:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

算定上限回数と算定タイミング

定められている算定の回数とタイミングは以下の通りです。
算定上限回数:月1回
算定タイミング:医療機関への情報提供後に当該患者の処方箋を受け付けた時

※患者一人につき、同一月に医療機関への情報提供を複数回行った場合でも、算定は月に1回までです。
※算定タイミングで持参した処方箋の医療機関に指定はありません。情報提供を行った医療機関ではない場合でも特定薬剤管理指導加算2を算定することが可能です。
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日|厚生労働省

特定薬剤管理指導加算2算定のために実施すること

本加算の算定要件を満たすために、薬剤師は薬局にて以下の3点を実施する必要があります。

1) レジメンを把握した上での薬学的管理・指導

患者が受けている化学療法のレジメンを確認しましょう。レジメンとは、薬剤の用量や用法、治療期間を明記した治療計画のことです。連携充実加算を届け出ている医療機関は、化学療法のレジメンをホームページなどで公開しています。患者さんが薬局にレジメンを持参していない場合でも、ホームページで確認することが可能です。

参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

2) 電話による服用状況・副作用の確認

抗悪性腫瘍剤や制吐剤等を投薬後、患者や家族に対して服用状況や副作用の確認を行うことが必須です。この際、電話もしくはテレビ電話を利用してリアルタイムの音声通話によって行うよう定められています。メールやチャットなどを補助的に活用すること自体は問題ありませんが、それらのみでの確認による算定は認められていません。

参照:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日|厚生労働省

3) 医療機関への文書による情報提供

電話等で得た服用状況・副作用に関する情報を、患者の同意を得た上で医師へ文書による情報提供を行う必要があります。病院では処方後の患者の服用状況や体調変化については知る機会が少ないため、薬剤師による治療中の経過報告は、安全に化学療法を進める上で有益な情報となります。

参考:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日|厚生労働省

医療機関への報告書の書き方

特定薬剤管理指導加算2を算定する上での報告書の様式に決まりはありませんが、施設によっては独自のフォーマットを用意しているところもあります。あらかじめ医療機関のホームページなどからフォーマットの有無を確認するとよいでしょう。
報告書には、主に以下のような情報を記載します。

  • 患者氏名、医療機関での患者ID
  • 薬局の名称、所在地、電話番号、FAX番号
  • 薬剤師名
  • 処方内容
  • 服用状況
  • 副作用状況
  • 薬学的管理に基づく医師への提案
  • その他

特定薬剤管理指導加算2の施設基準

特定薬剤管理指導加算2を算定するにあたり定められている施設基準は以下の通りです。

  1. 保険薬剤師としての勤務経験を5年以上有する薬剤師が勤務していること
    ※薬剤師の勤務経験については、医療機関の薬剤師として勤務経験が1年以上ある場合、1年を上限として勤務経験に含めることができる
  2. 会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーションで区切られた独立したカウンターを有するなど、プライバシーに配慮していること
  3. 麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができる体制が整備されていること
  4. 医療機関が実施する抗悪性腫瘍剤の化学療法に係る研修会に、薬局に勤務する薬剤師の少なくとも1名が年1回以上参加していること

参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

年1回の「研修会参加」の数え方

医療機関が実施する研修会の参加実績については、同一の研修会に複数の薬剤師が参加した場合であっても出席回数は1回と数えなければなりません。連携充実加算を算定する医療機関は、外来化学療法に関わる職員や地域の薬局に勤務する薬剤師などを対象とした研修会を年1回以上実施します。医療機関のホームページで研修会実施に関しても告知がされているので、確認するとよいでしょう。

参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

緊急時の体制整備も重要

強く副作用が出ている、体調の変化が大きいなどの緊急時にすぐに適切な対応をすることが大切です。あらかじめ医療機関と緊急時の対応方法や連絡先を共有するなど、連携が取れるような体制を整えておくとよいでしょう。

参照:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

施設基準に係る届出の必要あり

特定薬剤管理指導加算2の算定にあたっては、上記の施設基準を満たす旨の届出が必要です。管轄している地方厚生局のホームページなどにある指定様式に記載し届出ましょう。

特定薬剤管理指導加算2を実際に算定する流れについてはこちらの記事をご確認ください。

特定薬剤管理指導加算1・3との違い

特定薬剤管理指導加算は2以外に1と3もあります。リスクが高い薬や丁寧な説明が必要な薬を処方されている患者に対しての薬学的管理の評価という点では特定薬剤管理指導加算2と共通していると言えますが、それぞれ算定要件が異なりますので、以下で違いを見ていきましょう。

特定薬剤管理指導加算1とは

特定薬剤管理指導加算1はいわゆるハイリスク薬と呼ばれる薬を対象とした加算です。抗悪性腫瘍剤や免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤など厚生労働省が定める「特に安全管理が必要な医薬品」について、薬剤の管理や指導などを行った場合に算定できます。

対象患者 ハイリスク薬が処方された患者
対象薬剤 ハイリスク薬
点数 新たに処方 10点
指導の必要 5点
算定頻度 処方箋受付ごとに1回
医師への情報提供 なし
患者の同意 なし
特定薬剤管理指導加算2の併算定 条件を満たせば可能

参照:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日|厚生労働省

特定薬剤管理指導加算3とは

特定薬剤管理指導加算3は副作用等のリスクに対してや、選定療養等に関する説明を実施する必要がある場合を対象として指導が必要となる場合を評価した加算です。

対象患者 イ 処方内容に対してRMPを用いた指導を受けた患者
  新たに発出されたイエローレターやブルーレターに関して指導を受けた患者
ロ 選定療養の説明や流通不安定のため変更の必要性がある旨の説明を受けた患者
対象薬剤 イ 患者向けRMPがある薬剤
ロ 選定療養の対象となる先発医薬品流通不安定の薬剤
点数 5点
算定頻度 当該医薬品に関して最初に処方された1回
医師への情報提供 なし
患者の同意 なし
特定薬剤管理指導加算2
との併算定
条件を満たせば可能

特定薬剤管理指導加算2が算定できないケース

特定薬剤管理指導加算2が算定できない場合がありますので詳しく説明していきます。

各種点数との併算定が不可の場合

特定薬剤管理指導加算2は、服薬管理指導料及びかかりつけ薬剤師指導料に設けられた加算のため、以下の薬学管理料を算定している場合は算定不可です。

〈同時算定不可のもの〉

  • かかりつけ薬剤師包括管理料
  • 服薬管理指導料の特例(手帳減算に該当する場合)

〈同一月内の算定が原則不可のもの〉

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • 服薬情報等提供料1・2・3

※在宅患者訪問薬剤管理指導料は、訪問薬剤管理指導の薬学的管理指導計画の疾患と異なる疾患または負傷に係る臨時処方については算定可能。
※服薬情報等提供料は、ほかの医療機関や診療科で処方されている薬剤の情報を得た場合は、抗悪性腫瘍剤などを処方している医療機関以外の医療機関へ情報提供した時は併算定可能。
参照:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

他薬局にて調剤の抗悪性腫瘍薬の相談を受けた場合

特定薬剤管理指導加算2は、抗悪性腫瘍剤などの「調剤を行った」薬局が算定することとされているため、他の薬局で調剤を行っている抗悪性腫瘍薬に関する相談を受け、医療機関に情報提供を行ったとしても算定はできません。

参照:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日|厚生労働省

対象外の保険医療機関へ情報提供を行った場合

特別調剤基本料Aを算定している薬局、つまり医療機関の敷地内にある薬局の場合、同敷地内にある医療機関に情報提供を行ったとしても特定薬剤管理指導加算2は算定できません。

特定薬剤管理指導加算2に関する疑義解釈

特定薬剤管理指導加算2を算定した患者に対して、当該算定に係る抗悪性腫瘍剤及び制吐剤等の支持療法に係る薬剤を対象として、特定薬剤管理指導加算1を算定することは可能か。


答え:特定薬剤管理指導加算2と同一月内での算定は不可。なお、特定薬剤管理指導加算2の算定に係る抗悪性腫瘍剤及び制吐剤等の支持療法に係る薬剤以外の薬剤を対象として、特定薬剤管理指導加算1に係る業務を行い、算定要件を満たせば算定可。

出典: 疑義解釈資料の送付について(その 18) 厚生労働省 令和4年7月13日

薬局薬剤師として外来がん化学療法への貢献を目指して

特定薬剤管理指導加算2は、薬局薬剤師が外来で化学療法を受ける患者の服用状況や体調の変化を継続的に確認し、安心して治療を受けられる環境を提供することを目的としています。患者が日常生活を維持しながら外来でがん化学療法を継続できるよう、精神的な支えとなっていくことも期待されています。薬剤師はレジメンを確認し、より専門的かつ適切な薬学的管理を行うことで、患者の治療に貢献していきましょう

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薬剤師コラム編集部

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