【2026改定版】特定薬剤管理指導加算3の算定要件をわかりやすく解説
特定薬剤管理指導加算3は、2024年度の調剤報酬改定において新設され、RMPを用いた指導や、長期収載品の選定療養・流通不安定な医薬品に関する説明といった新たな評価基準が設けられました。
2026年度の調剤報酬改定では、さらに「バイオ医薬品」に関する説明も要件に追加されています。
本記事では、特定薬剤管理指導加算3の算定要件や改定のポイントを解説します。
特定薬剤管理指導加算3とは
特定薬剤管理指導加算3は、服薬管理指導料にかかるものであり、特に丁寧な説明が必要となる薬剤が処方されている患者への適切な指導を評価するものです。
2026年度の調剤報酬改定では、従来の算定要件に追加して「バイオ後続品の選択に係る患者への説明」によっても特定薬剤管理指導加算3-ロが算定可能となりました。
本加算には以下の通りイとロの2区分があります。
| 特定薬剤管理 指導加算3-イ |
「患者向けRMP資材」を用いて指導した初回に算定。 |
| 特定薬剤管理 指導加算3-ロ |
調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に対して 必要な指導等を行った初回に算定(長期収載品の選定療養、 流通不安定な薬の銘柄変更、バイオ医薬品)。 |
算定要件の解説に入る前に、特定薬剤管理指導加算3を算定するために理解しておくべき言葉の意味を確認しておきましょう。
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 |厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
RMP(医薬品リスク管理計画)とは
RMP(RMP資材)とは、Risk Management Planの略で、製薬会社が医薬品ごとに作成する「医薬品リスク管理計画」の書類のことです。
承認前から市販後までに収集された副作用リスクを整理し、今後のリスク管理計画についてまとめられています。
特定薬剤管理指導加算3を算定するためには、患者向けRMP資材を使用して患者への指導を行うことが定められています。
RMP資材に関しては以下のPMDAのホームページからダウンロードが可能なため、必ずRMP提出品目及び資材の最新情報を確認した上で指導を行いましょう。
RMP提出品目一覧|独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)
ただし、RMP提出品目のリストに名前があっても患者向け資材がない医薬品の場合は特定薬剤管理指導加算3が算定できないため注意が必要です。
参照:医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan) |医薬品医療機器総合機構(PDMA)
参照:今日からできる!How to RMP ~RMPってなに?編~ |医薬品医療機器総合機構(PDMA)
RMP資材の目的や入手方法、具体的な活用法を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
選定療養とは
選定療養とは、患者が保険適応外の治療を希望する際に、追加でかかる費用を患者が負担することにより、保険適用の治療と併せて対象の医療サービスを受けることができるというものです。
2024年度より、後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)を患者希望で使用する場合は選定療養の対象となり、その差額の一部を患者自身で負担することになりました。
選定療養の対象となる先発医薬品については、厚生労働省のホームページで一覧が公表されていますので確認をしましょう。
参照:後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について |厚生労働省
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バイオ医薬品とは
バイオ医薬品とは、遺伝子組換え技術や細胞培養技術を用いて製造したタンパク質を有効成分とする医薬品です。
抗体製剤やホルモン製剤など、薬局でも幅広く取り扱いがあるでしょう。
低分子医薬品でいうところの後発医薬品に当たるのが、バイオ医薬品にとっての「バイオ後続品」です。先行バイオ医薬品と同等、同質の品質・有効性・安全性を有するものであり、「バイオシミラー」と呼ばれることもあります。
バイオ後続品の薬価は原則として、特許が切れた先行バイオ医薬品の70%と設定されているため、安価で使用できるのが特徴です。
参照:バイオ後続品 /厚生労働省
特定薬剤管理指導加算3に係る2026年度改定のポイント
2026年度の調剤報酬改定における特定薬剤管理指導加算3の変更点としては、主に2つのポイントを理解しておく必要があります。
- 長期収載品の選定療養の患者負担額の見直し
- 「バイオ後続品の選択に係る患者への説明」が算定対象に追加
それぞれについて詳しくみていきましょう。
長期収載品の選定療養に係る患者負担額の見直し
2026年度改定において、患者希望での長期収載品を調剤する際の計算方法は以下のように定められました。
【長期収載品の選定療養の患者負担額】
後発医薬品のある先発医薬品の薬価から当該先発医薬品の後 発医薬品の薬価を控除して得た価格に二分の一を乗じて得た価格を用いて診療報酬の算定方法の例により算定した点数に 十円を乗じて得た額
参照:令和8年診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省
これまでは、長期収載品と後発品の価格差の「4分の1」を自己負担としていましたが、今回の改定で「2分の1」に変更になりました。
バイオ後続品使用促進に係る服薬指導の評価
バイオ後続品(バイオシミラー)は、低分子医薬品の後発医薬品と比べて普及が十分に進んでいるとはいえません。
そうした背景を踏まえ、2026年度の診療報酬改定では、バイオ後続品の使用促進に向けた見直しが行われました。
その一環として、バイオ医薬品の一般名処方が解禁になっており、今後は一般名で記載されたバイオ医薬品の処方箋が増えることが想定されます。
一般名処方では、薬局で先行バイオ医薬品またはバイオ後続品を選択する機会が生じるため、薬剤師には患者に対して、バイオ後続品の品質・有効性・安全性について適切に説明する役割が求められます。
こうした患者説明の重要性を踏まえ、2026年度診療報酬改定では、バイオ後続品を選択する際の説明が「特定薬剤管理指導加算3-ロ」の対象として評価されるようになりました。
参照:バイオ後続品(バイオシミラー)に係る政府方針等 /厚生労働省
特定薬剤管理指導加算3の算定要件
特定薬剤管理指導加算3は、服薬管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて、処方された医薬品について、保険薬剤師が患者に重点的な服薬指導が必要と認め、必要な説明及び指導を行った場合に算定が可能です。
イとロの2区分に分かれており、それぞれ対象となる患者や薬剤が異なります。患者1人につき当該品目に関して最初に処方された1回に限りイは5点、ロは10点を算定します
イ.RMPに基づく指導を行った初回:5点
以下のいずれかの条件を満たす場合に算定可能です。
患者向けRMPのある医薬品が新たに処方され、RMPに基づいて患者又はその家族等に対し、副作用、併用禁忌等の情報提供や指導をした場合
※患者向けRMP資材がないもの、RMPの策定・実施が解除された医薬品は算定不可
緊急安全性情報(イエローレター)、安全性速報(ブルーレター)が新たに発出された際に、安全性に関する情報提供と指導をした場合
ロ.調剤前に医薬品の選択に係る情報に関する指導等を行った初回:10点
以下のいずれかに関して、調剤前に説明・指導をした場合に算定が可能です。
・長期収載品の選定療養に関する説明をした場合
※説明した結果、後発医薬品を選択した場合も算定可能
参照:疑義解釈資料の送付について(その1) 厚生労働省 令和6年3月28日
・医薬品供給不安定を理由に、前回と異なる銘柄で調剤・交付する必要があることを説明した場合
・バイオ医薬品の一般名処方による処方箋の交付を受けた患者又はバイオ後続品の銘柄名処方による処方箋の交付を受けた患者に対して、バイオ後続品の品質、有効性、 安全性等について説明を行った場合【2026年新設】
特定薬剤管理指導加算3の算定の流れを図解で確認したい方は以下の記事をご覧ください。
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算定対象患者
特定薬剤管理指導加算3の算定対象となる患者はそれぞれイ・ロで示されている説明や指導を受けた患者です。患者本人以外の家族や代理人が説明・指導を受けた場合も算定可能です。
ただし、服薬管理指導料4のロまたはハを算定する患者の場合は、特定薬剤管理指導加算3を算定することはできません。
ロの条件での算定可否について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
算定上限回数とタイミング
患者一人につき当該医薬品に関して最初に処方された1回に限り算定が可能です。
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
特定薬剤管理指導加算3算定時の注意点
ここでは、特定薬剤管理指導加算3を算定する上での注意点や覚えておくべき実施事項に関して解説をしていきます。
イとロは同時算定が可能である
イとロのどちらの条件も満たす場合は、同時に算定が可能です。
また、1回の処方で「イ」に該当する薬と「ロ」に該当する薬が同時に処方されている場合も、それぞれの要件を満たしていればどちらも算定が可能です。
ただし、対象となる区分が同じ医薬品が複数処方されている場合は、処方箋受付1回につきそれぞれ1回に限り算定します。
また、複数の項目に該当する場合であっても、重複して算定することはできません。
参照:疑義解釈資料の送付について(その1) 厚生労働省 令和6年3月28日
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
自家製剤加算との算定可否に関して知りたい方は以下の記事をご覧ください。
薬剤服用歴・レセプトへの必要事項を記載する
特定薬剤管理指導加算3を算定した場合は、薬剤服用歴等に対象となる医薬品が分かるように記載しましょう。
また、医薬品の供給の状況を踏まえ説明を行った場合(ロ:銘柄変更)には、調剤報酬明細書の摘要欄に調剤に必要な数量が確保できなかった薬剤名もあわせて記載する必要があります。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 特定薬剤管理指導加算3の算定対象外となる医薬品がある
患者向けRMP資材がない医薬品や、薬機法の再審査が終了してRMP資材の策定・実施が解除された医薬品については、特定薬剤管理指導加算3を算定できません。
特定薬剤管理指導加算3のイを算定する場合、RMPが作られている医薬品や資材については、医薬品医療機器総合機構のホームページで最新情報を確認する必要があります。
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)令和6年3月28日 |厚生労働省
参照:RMP提出品目一覧 |医薬品医療機器総合機構(PDMA)
特定薬剤管理指導加算3のよくある質問に関しては以下の記事をご覧ください。
特定薬剤管理指導加算1・2との違い
特定薬剤管理指導料は1-3があり、それぞれ安全管理が必要な薬が処方となった際の管理や指導に対して評価した加算です。
特定薬剤管理指導加算1とは、いわゆるハイリスク薬と呼ばれる薬を対象とした加算であり、抗悪性腫瘍剤や免疫抑制剤など、厚生労働省が定める「特に安全管理が必要な医薬品」について、薬剤の管理や指導などを行った場合に算定できます。
特定薬剤管理指導加算2は、悪性腫瘍の治療を行う患者の服薬サポートを行うことを評価する加算です。レジメンを把握した上で体調変化や副作用などのチェックを行い、医師に対して文書を用いた情報提供が求められます。
それぞれの違いや特徴については以下に示す通りです。
