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調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年2月22日 薬剤師コラム編集部

服用薬剤調整支援料2の算定要件をわかりやすく解説

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近年、高齢者のポリファーマシーを改善していくことが医療における課題の一つとして挙げられる中、薬局でも似た作用の薬が複数処方されているケースを目にすることは少なくありません。こうした重複投薬の解消に向けた取り組みを評価する「服用薬剤調整支援料2」について正しく理解し、算定できているでしょうか?この記事では、服用薬剤調整支援料2の算定要件や、服用薬剤調整支援料1、重複投薬・相互作用防止加算の違い等について詳しく解説していきます。

服用薬剤調整支援料2とは?

服用薬剤調整支援料2は、重複投薬の改善を目的としたものであり、対人業務を評価する薬学管理料の項目の一つです。多剤併用患者に対し、薬局薬剤師が重複投薬の解消に向けた取り組みをおこなった際に算定することができます。この取り組みは患者の意向を尊重し、深い信頼関係を基盤に実施されるもので、薬剤師の対人業務の中でも今後さらに重要性を増していくことになるでしょう。

服用薬剤調整支援料2の算定要件

服用薬剤調整支援料2は、「複数の保険医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方されている患者に対して、患者若しくはその家族等の求めに応じて、保険薬局の保険薬剤師が、重複投薬等の解消のために以下の取組を全て行った場合に算定する。」と規定されており、以下の取り組みをおこなった場合に算定が可能です。

  1. 服用薬の一元的管理
  2. 重複投薬等の恐れがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案を検討
  3. 処方内容の見直し状況について患者の次回以降の来局時に確認

参照:調剤報酬点数表に関する事項/厚生労働省

算定点数と上限回数

服用薬剤調整支援料2は2区分あり、施設基準を満たしているか否かで算定できる点数が変わります。どちらの区分においても、3ヶ月に1回に限り算定が可能です。施設基準に関しては後ほど詳しく説明します。

イ 施設基準を満たす薬局の場合 100点
ロ イ以外の場合         90点

参照:調剤報酬点数表/厚生労働省

※区分番号00に掲げる特別調剤基本料Aを算定する保険薬局において、別に厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は算定できません。

算定対象患者

服用薬剤調整支援料2算定の対象となるのは、複数の保険医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方されている患者です。ただし、6種類以上の内服薬について、少なくとも1種類は当該保険薬局で調剤されている必要があるます。

服用薬剤調整支援料2の施設基準

前述した通り、一定の施設基準を満たしているか否かで算定できる点数が異なります。服用薬剤調整支援料2について110点(イ)を算定するためには、過去1年間に1回以上、服用薬剤調整支援料1を算定した実績が必要となります。
服用薬剤調整支援料1の算定要件は以下の通りであり、多剤服用患者に対するポリファーマシーの解消への取り組みを評価するものです。

【服用薬剤調整支援料1の算定要件】

服用を開始して4週間以上経過した内服薬6種類以上を自薬局で調剤している患者について、処方医へ減薬の提案をした結果、自薬局で調剤している内服薬の種類数が2種類以上減少した状態が、4週間以上継続する

上記施設基準に関しての届出の必要はなく、 基準を満たさない場合は90点(ロ)を算定します。

また、服用薬剤調整支援料1を算定していない場合においても、重複投薬等の解消に係る提案及び実績について、薬剤服用歴への記録の記載は必要です。なお、提案の記録については、提案に係る文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法でも問題ありません。

参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて/厚生労働省

実績判定期間

施設基準である、服用薬剤調整支援料1の実績判定期間は以下の通りです。
前年5月1日から当年4月30日までの重複投薬等の解消に係る実績をもって該当性を判断し、適用期間は、当年6月1日から翌年5月31日まで。
ただし、前年5月1日から当年3月末日までに新規指定された保険薬局の場合は、指定された日に属する月の翌月から、当年5月末までの実績をもって該当性を判断する。」

服用薬剤調整支援料2算定における留意事項

服用薬剤調整支援料2を算定する上で実施していくべき内容を確認していきましょう。

内服薬の種類の数え方

服用薬剤調整支援料2の算定対象となるのは、「複数の医療機関から6種類以上の内服薬を処方されている患者」ですが、ここでは内服薬の種類の数え方について確認していきます。
錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算します。また、以下の薬剤は当該内服薬の種類数に含めないため注意が必要です。

  • 屯服薬
  • 浸煎薬、湯薬
  • 内服薬の服用を開始して4週間以内の薬剤
  • 調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤や内服薬以外の薬剤への変更を保険薬剤師が提案したことで減少した場合は、減少した種類数に含めない。

参照:疑義解釈資料の送付について(その1) 平成30年3月30日/厚生労働省

一元的な患者情報の管理

患者の服用薬については、手帳の確認、患者への聞き取り又は他の保険薬局若しくは保険医療機関への聞き取り等により、一元的に把握することとされています。なお、同種・同効薬が処方されている場合は、必要に応じて処方の背景を処方医又は患者若しくはその家族等に確認しましょう。

定められている報告書への記載内容

算定要件において、重複投薬等の恐れがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案を検討することが求められています。「重複投薬等の解消に係る提案」とは、重複投薬の状況や副作用の可能性を踏まえ、患者に処方される薬剤の種類数の減少に係る提案のことです。この時、患者の希望、かかりつけ医の有無及び処方開始日等について十分な聞き取りを行った上で、処方内容の見直しを依頼する報告書を処方医に対して送付します。

報告書の様式として、厚生労働省より別紙様式3が提示されているので、そちらに準じて作成すると良いでしょう。
報告書への記載内容として以下の項目が含まれています。

  • 受診中の保険医療機関、診療科等に関する情報
  • 服用中の薬剤の一覧
  • 重複投薬等に関する状況
  • 副作用のおそれがある患者の症状及び関連する薬剤
  • その他(残薬、その他患者への聞き取り状況等)

参照:(別添様式3)患者の重複投薬等に係る報告書/厚生労働省

提出した報告書は、薬剤服用歴等に添付するといった方法で保存しなければなりません。

服用薬剤調整支援料2が算定できない場合

服用薬剤調整支援料2を算定している場合、以下の点数は算定できません。

  • かかりつけ薬剤師包括管理料
  • 特別調剤基本料B
  • 服薬情報等提供料
    ※ 服用薬剤調整支援料2の算定に係る医療機関へ情報提供した場合
  • 特別調剤基本料A
    ※ 不動産取引等その他特別な関係のある医療機関へ情報提供した場合

服用薬剤調整支援料1との違い

服用薬剤調整支援料1・2はいずれも多剤服用患者に対する取り組みを評価するものですが、それぞれ評価基準には違いがあります。服用薬剤調整支援料1は主に「ポリファーマシーの解消」を目的とし、減薬の提案を行い、実際に減薬が実現することが算定要件となっています。一方、服用薬剤調整支援料2は「重複投薬の解消」に重点を置き、類似薬の重複解消により多剤併用の状況を改善することを目指したものです。

服用薬剤調整支援料1 服用薬剤調整支援料2
算定対象患者 服用開始後4週間以上経過した内服薬6種類以上を薬局で調剤している患者 複数の医療機関から内服薬を6種類以上処方されている患者
算定点数 125点(月1回) イ 110点
ロ 90点
(3ヶ月に1回)
算定要件 当該保険薬局で調剤している当該内服薬の種類数が2種類以上(うち少なくとも1種類は当該保険薬局の保険薬剤師が提案したものとする。)減少し、その状態が4週間以上継続した場合 重複投薬解消のための取り組みをおこなった場合
患者の意向 確認の必要あり 確認の必要あり
減薬の必要性 あり なし

※服用薬剤調整支援料2を算定した後に、服用薬剤調整支援料1の要件を満たした場合でも、服用薬剤調整支援料1は算定できない。
※特別調剤基本料Aの薬局は敷地内の医療機関に対しての情報提供は算定不可。特別調剤基本料Bの薬局は算定不可。

服用薬剤調整支援料1・2の違いについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

重複投薬・相互作用等防止加算との違い

次に調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算との違いをみていきましょう。
どちらも重複投薬解消の取り組みを評価される項目ですが、以下のような違いがあります。

  • 重複投薬・相互作用等防止加算
    →処方を受け付けた段階で、明らかに解消すべき重複がある、もしくは残薬調整の必要があるといった場合。疑義照会をして処方が変更になれば算定可能。
  • 服用薬剤調整支援料2
    →併用自体は可能ではあるが、減薬を目指す上で中止の検討が可能な薬剤を服用している場合(複数種類の胃薬、睡眠薬等)。 重複投薬等の解消に係る提案について医師に文書で提案した場合に算定可能。

重複投薬・相互作用等防止加算についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

服用薬剤調整支援料2の算定処方例

服用薬剤調整支援料2の目的は重複投薬およびポリファーマシーの改善であり、具体的にどのような処方内容であれば医師へ減薬の提案が可能かみていきましょう。

処方例1

〈内科〉
アムロジピン錠 5mg 1錠 分1 朝食後
アトルバスタチン錠 10mg 1錠 分1 夕食後
メトホルミン錠 500mg 2錠 分2 朝・夕食後
ファモチジン錠 20mg 1錠 分1 就寝前

〈整形外科〉
ロキソプロフェンナトリウム錠60mg  3錠 分3 毎食後
レバミピド錠100mg 3錠 分3 毎食後

【ポイント】
この処方は「複数の医療機関」から「内服薬が合計6種類以上処方」されています。

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薬剤師コラム編集部

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