【2026改定】在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定要件をわかりやすく解説
高齢化が進む中、利用する患者が年々増えてきている在宅医療。今や薬局で働いている薬剤師も、一度は在宅業務を経験したことがある方が多いと思います。
2026年度の調剤報酬改定では在宅患者訪問薬剤管理指導料に関して多くの変更が加えられました。本記事では、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定要件や2026年度改定のポイントなどについてわかりやすく解説していきます。
在宅患者訪問薬剤管理指導料とは
在宅患者訪問薬剤管理指導料とは、外来の患者とは異なり、自力での通院が難しく、在宅で療養を続けている方に対して、薬剤師が定期的に患者の自宅を訪問し、薬歴管理や服薬指導などを行ったときに算定できる薬学管理料です。
継続的な訪問薬剤管理指導が必要と認められた患者に対してのみ算定が可能なため、実施の可否については一定の条件があります。
在宅患者訪問薬剤管理指導料の2026年度調剤報酬改定における変更点
在宅患者訪問薬剤管理指導料に関しては、2026年度の調剤報酬改定において見直しが行われました。主な変更点は以下の3点です。
- 算定間隔が「中6日以上」から「週1回」に変更
- 夜間休日の連絡体制の整備を要件に追加
- 在宅患者オンライン薬剤管理指導料(59点)は廃止、服薬管理指導料4のロ(59点)に再編
変更点をふまえて算定要件を詳しく確認していきましょう。
参照:令和8年診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省
在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定要件
在宅患者訪問薬剤管理指導料の主な算定要件は、医師の指示のもと患者の自宅を訪問し、必要な薬学的管理や指導を行うことです。
詳細な実施事項については後ほど解説しますが、まず初めに対象患者や算定点数について詳しくお伝えします。
算定対象患者
在宅患者訪問薬剤管理指導料の対象となるのは、以下の3つの条件を満たす患者です。
① 独歩での定期的な通院が困難な患者一人で歩いて通院ができない患者や、家族・ヘルパー等のサポートが必要な患者は定期的な訪問薬剤管理指導の必要性があるとして、算定対象となります。
② 在宅で療養を行っている患者自宅で療養を続けている方が対象となり、この場合サービス付き高齢者向け住宅などに入所している患者の多くも対象です。
③ 患者の自宅と調剤薬局の距離が16km以内の場合基本的には、患者宅の近隣の薬局が訪問薬剤管理指導を行いますが、もし16km圏内に在宅患者訪問薬剤管理指導料の届出をしている薬局がない場合は、16km以上離れた薬局でも算定が可能です。
なお、在宅患者訪問薬剤管理指導に要した交通費は、患家の負担となります。
これらの算定要件に基づき、以下のような場合は算定対象となりません。
在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定対象外の患者
- 医師や薬剤師の配置が義務付けられている病院、診療所、施設等に入院・入所している患者
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所している患者
(末期の悪性腫瘍の患者に限り算定可能) - ほかの医療機関や薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を実施している患者
- 継続的な訪問薬剤管理指導の必要のない患者
- 自分で来局できる患者
参照:要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合 平成20年3月27日 厚生労働省告示第128号 /厚生労働省
参照:特別養護老人ホーム等における療養の給付(医療)の取扱いについて 平成18年3月31日 保医発第0331002号 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
算定点数
在宅患者訪問薬剤管理指導料は1〜3の3区分あり、単一建物の患者数によって算定点数が定められています。
| 区分 | 単一建物診療患者数 | 算定点数 |
| ① 在宅患者訪問薬剤管理指導料1 | 1人 | 650点 |
| ② 在宅患者訪問薬剤管理指導料2 | 2〜9人 | 320点 |
| ③ 在宅患者訪問薬剤管理指導料3 | 10人以上 | 290点 |
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
単一建物診療患者数とは
点数算定の際の基準となる、「単一建物診療患者数」とはどういったものでしょうか。
それは、「同じ建物に住んでいる人のうち、当該薬局が訪問薬剤管理指導を実施している患者の人数」のことです。自宅やサービス付き高齢者向け住宅など、建物ごとに何人訪問薬剤管理指導を行っているかによって算定できる区分が変わります。
基本的に、一人暮らしの患者宅に訪問する場合は全て在宅患者訪問薬剤管理指導料1を算定しますが、以下のような特殊な場合も含まれることを覚えておきましょう。
【在宅患者訪問薬剤管理指導料1を算定する特殊な場合】
- 夫婦2人に算定する場合は2人とも在宅患者訪問薬剤管理指導料1 (650点×2)
- 患者数が建築物の戸数の10%以下の場合
- 建築物の戸数が20戸未満で、患者数が2人以下の場合
※ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、ユニットごとの算定人数を単一建物診療患者の人数とみなす。
算定上限回数
在宅患者訪問薬剤管理指導料は月の算定回数に上限があるため注意が必要です。
- 月に4回まで算定可能(週1回まで)
- 以下の患者に対しては週2回、月8回まで算定可能
末期の悪性腫瘍の患者
注射による麻薬投与が必要な患者
中心静脈栄養法の患者 - 保険薬剤師1人につき週40回まで算定可能
なお、算定回数は在宅患者訪問薬剤管理指導料1から3までおよび服薬管理指導料「4のロ」をあわせた回数です。
2026年度の調剤報酬改定で在宅患者オンライン薬剤管理指導料が廃止され、服薬管理指導料4のロに再編されましたが、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定回数をカウントする上では、在宅患者にオンライン服薬指導を行った場合(服薬管理指導料「4のロ」)も含めるため注意が必要です。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
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在宅訪問薬剤管理指導料と併算定できないもの
在宅訪問薬剤管理指導料を算定した月においては、以下の点数を算定することはできません。
-
服薬管理指導料(服薬管理指導料「4のロ」及び「4のハ」は除く。)
→当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方箋によって調剤を行った場合を除く。 - 外来服薬支援料1
- 服薬情報等提供料
また、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局では、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定することができません。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
在宅患者訪問薬剤管理指導算定の流れ
ここでは、実際に在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するまでの一連の流れを確認していきます。単に患者宅を訪問し、服薬指導を行うだけでは、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定することはできませんので、以下の流れを実施するようにしましょう。
1)あらかじめ地方厚生(支)局長に届出を行う
在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するにあたって、あらかじめ別紙様式3 を用いて、地方厚生(支)局長に在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出をする必要があります。
薬局の名称、所在地、開設者の氏名を提出するのみになっていますので、医師から依頼を受けたときにいつでも訪問を開始できるよう、事前に届出を行っておきましょう。
2)医師からの指示を受け、薬学的管理指導計画書を作成する
医師から訪問薬剤管理指導の指示を受けたら、薬学的管理指導計画書を作成する必要があります。これは、処方医からの情報提供に基づいて、実際に薬局が実施していく薬学管理や指導内容、訪問回数、訪問間隔などを計画するものです。
患者宅を訪問する際には、この薬学的管理指導計画をもとに、必要な管理や指導を行っていくため、非常に重要なものになります。また、処方薬の変更や体調変化、他職種からの情報提供があった場合など、薬学的管理計画に変更が必要になった場合はその都度対応します。
少なくとも月に1回は見直し、常に患者にとって最適な薬学管理を提供できるよう計画を立てていきましょう。
3)患者宅を訪問し、薬学的管理指導を行う
患者宅を実際に訪問し、事前に立てた薬学的管理指導計画をもとに必要な服薬指導や支援を行います。また、患者の服薬状況、薬剤保管状況、残薬の確認も重要です。
患者宅に訪問し生活の様子を観察することで、健康管理に関わるあらゆる情報を得ることができるので、注意深く確認し、必要であれば他職種に報告しましょう。
※調剤を行っていない月に訪問薬剤管理指導を実施した場合は、調剤年月日及び投薬日数を調剤報酬明細書の摘要欄に記入する必要があります。
4)薬歴に必要事項を記載し、薬学管理指導計画の見直しを行う
訪問後は、訪問内容に関して薬歴に記載を行い、必要に応じて薬学管理指導計画の見直しを行いましょう。
在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定に必要な薬歴への記載事項は以下の通りです。
- 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
- 処方医から提供された情報の要点
- 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容
- 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
- 他職種との情報共有事項があればその内容
- 在宅協力薬局の保険薬剤師が訪問薬剤管理指導を行った場合は、追加で定められた内容
5)訪問結果について、医師に文書で情報提供を行う
訪問後は処方医に対して、文書で訪問結果についての情報提供を行いましょう。
決まった様式はありませんので、店舗で採用している報告書に則って作成すれば問題ありません。一般的には以下のような内容を記載している例が多いです。
- 薬局の情報
- 患者基本情報
- 訪問回数
- 服薬管理者
- 管理方法
- 調剤方式
- 併用薬
- 特記事項
- 次回訪問予定日
必要に応じて、処方医以外の医療関係職種に対しても、訪問薬剤管理指導の結果や療養上の指導に関する留意点については情報提供しましょう。
なお、在宅を担当する医師と連携する他の医師の求めにより、患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行った場合は、どちらの医師にも文書で情報提供を行うこととされています。また、連携する他の医師については、担当医に確認し、薬学的管理指導計画書等に当該医師の氏名と医療機関名を記載することが求められます。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
在宅協力薬局とは
「在宅協力薬局」とは、訪問薬剤管理指導を主に行っている保険薬局である「在宅基幹薬局」と連携する他の保険薬局のことです。
薬学的管理指導計画の内容を共有しており、緊急の場合や、やむを得ない事由がある場合には、あらかじめ患者や家族の同意を得たうえで在宅基幹薬局の薬剤師の代わりに訪問薬剤管理指導を行います。その際にも在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定することが可能です。
ただし、訪問薬剤管理指導に係る費用については、在宅基幹薬局と在宅協力薬局の合議とします。
在宅協力薬局が訪問薬剤管理指導を行った場合の記録内容
在宅協力薬局の保険薬剤師が代わりに訪問薬剤管理指導を行った場合には、薬剤服用歴等を記載し、在宅基幹薬局と内容を共有することとされています。ただし、医師や歯科医師に対する訪問結果の報告等は在宅基幹薬局が行います。
調剤報酬明細書には、当該訪問薬剤管理指導を行った在宅協力薬局名及び当該訪問薬剤管理指導を行った日付を記載します。
また、在宅協力薬局が処方箋を受け付け、調剤を行った在宅協力薬局が訪問薬剤管理指導を行った場合には、算定は次のように行います。
- 在宅基幹薬局:在宅者訪問薬剤管理指導料
- 在宅協力薬局:調剤技術料および薬剤料等
この場合、調剤報酬明細書の摘要欄には在宅協力薬局が処方箋を受け付けた旨を記載します。
休日および夜間の連絡体制の整備について【2026年度追加】
2026年度調剤報酬改定において、算定要件に「休日および夜間の連絡体制の整備」に関する内容が追加されました。
当該保険薬局又は在宅協力薬局との連携により、休日及び夜間を含む開局時間外であっても調剤及び訪問薬剤管理指導に対応できるよう、原則として初回の訪問薬剤管理指導時に(変更があった場合はその都度)、当該保険薬局の保険薬剤師と連絡がとれる連絡先電話番号及び緊急時の注意事項(在宅協力薬局との連携により、休日及び夜間を含む開局時間外に調剤及び訪問薬剤管理指導に対応できる体制を整備している保険薬局においては、在宅協力薬局の所在地、名称及び連絡先電話番号等を含む。)等について、 事前に患者又はその家族等に対して説明の上、文書(これらの事項が記載された薬袋を含む。)により交付すること。
また、やむを得ない事由により、患者又はその家族等からの電話等による問い合わせに応じることができなかった場合は、速やかに折り返しの連絡を行うこと。
在宅協力薬局との連携のもと、休日・夜間を含めて継続的に対応できる体制を整備するとともに、その内容を患者や家族等へ事前に周知しておくことが求められています。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:令和8年診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省
在宅患者訪問薬剤管理指導料と居宅療養管理指導費の違い
在宅医療を行う場合に算定できる点数には、在宅患者訪問薬剤管理指導料だけではなく、「居宅療養管理指導費」というものもあります。
基本的にどちらも患者宅を訪問し、必要な薬学的管理・指導を行うという点では、実施することは大きく変わりありませんが、重要な違いもありますので理解しておく必要があります。
