調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年3月1日 薬剤師コラム編集部

【2024年度改定版】医療情報取得加算とは?算定要件をわかりやすく解説

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マイナ保険証への移行に伴い、2024年(令和6年)12月1日より医療情報取得加算の算定点数と算定頻度が変更となりました。この記事では、医療情報取得加算の変更点と詳しい内容について解説しています。

医療情報取得加算と同時に変更となる医療DX推進体制整備加算との違いや、マイナ保険証の読み取り時のトラブルに関する対処法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

医療情報取得加算とは

2024年(令和6年)12月1日から適用となる『医療情報取得加算』は、オンライン資格確認(オンラインで患者さんの医療保険の資格を確認するシステム)を導入している保険医療機関において、患者さんの薬剤情報や診療情報を活用して診療を実施することを評価する加算です。

この背景には、現在の健康保険証の発行が終了し、マイナ保険証へと移行することを踏まえています。マイナ保険証の利用の有無に着目した加算の見直しや、マイナ保険証を通じて取得した医療情報から、質の高い医療へ繋げるための評価の見直しが背景となっています。

令和6年12月からは以下の点数に変更となります。

医療情報取得加算 算定頻度
初診時 1点
再診時 1点 3ヵ月に1回
調剤時 1点 12ヵ月に1回

参考:「医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて 」/厚生労働省保健局医療課

調剤時の算定頻度は6ヵ月に1回でしたが、2024年(令和6年)12月からは12ヵ月に1回に変更となるので注意してください。

医療DX推進体制整備加算との違い

医療DX推進体制整備加算とは、オンライン資格確認システムの導入や電子カルテ情報共有サービスの活用など、医療DXを推進するための体制を整備したことを評価する加算です。

つまり、『医療DX推進体制整備加算』は、情報通信技術(ICT)の活用を促進して、医療の質の向上や業務の効率化を図るシステムの導入に対する加算となり、『医療情報取得加算』は、オンライン資格確認を通じて薬剤情報や診療情報を取得・活用することを評価する加算となります。

医療DX推進体制整備加算の具体的な点数は以下のとおりです。

医療DX推進体制整備加算1 医療DX推進体制整備加算2 医療DX推進体制整備加算3
11点/月1回 10点/月1回 8点/月1回
・マイナ保険証の利用について、
十分な実績(利用率15%)
を有していること。
・マイナポータルの医療情報等に
基づき、患者からの健康管理に
係る相談に応じること。
・マイナ保険証の利用について、
十分な実績(利用率10%)
を有していること。
・マイナポータルの医療情報等に
基づき、患者からの健康管理に
係る相談に応じること。
マイナ保険証の利用について、
十分な実績(利用率5%)
を有していること。

参考:「医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて 」/厚生労働省保健局医療課

医療DX推進体制整備加算の改正は2024年(令和6年)10月1日から適用となり、医療情報取得加算とは適用日が異なるので注意してください。

医療情報取得加算の算定要件と点数

医療情報取得加算の算定要件は、患者さんのマイナ保険証の利用の有無にかかわらず、施設基準等を満たす場合には、患者一人につき12ヵ月に1回ごとに1点を算定することができます。
ただし、同一の患者さんが複数の医療機関の処方箋を持参した場合は、医療機関ごとの算定はできないので注意してください。

医療情報取得加算の施設基準

医療情報取得加算を算定するには、3つの施設基準が設けられています。

  1. 電子情報処理組織(電子レセプト)を使用した診療報酬請求を行っていること
  2. オンライン資格確認を行う体制を有していること
  3. 次に掲げる事項について、薬局の見やすい場所及びウェブサイト等に掲示していること
    ・オンライン資格確認を行う体制を有していること
    ・当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと

医療情報取得加算については必要な届出はありません。

参考:「医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて 」/厚生労働省保健局医療課

オンライン資格確認とは

冒頭でも紹介したとおり、オンライン資格確認とは、オンラインで患者さんの医療保険の資格を確認するシステムです。なぜオンライン資格確認を推進しようとしているのか、そのメリットと資格確認ができなかった場合のトラブルの対処法について紹介していきます。

オンライン資格確認のメリットは多くある

オンライン資格確認には以下のメリットが考えられます。

  • 資格過誤によるレセプト返戻の作業が削減できる
  • 保険証の入力の手間が削減できる
  • 来院・来局前に保険資格の有無や保険情報の変更を確認できる
  • 患者さんからの申請がなくても限度額情報を取得でき、限度額以上の窓口負担がなくなる
  • 診療情報・薬剤情報や特定健診などの情報を把握できる
  • 災害時に診療情報・薬剤情報や特定健診などの情報を確認できる
  • 重複投薬などを発見できる
  • 電子版お薬手帳と連携できる

参考:「オンライン資格確認の導入で事務コストの削減とより良い医療の提供を~データヘ ルスの基盤として~ 」/厚生労働省

オンライン資格確認は、患者さんにも薬剤師にもメリットが多くあります。しかし、マイナ保険証への移行に「不安を感じる」人もいますので、オンライン資格確認のメリットを患者さんに伝えながら、安心して利用してもらえるよう声かけを行なってみてください。

資格確認ができない場合の対処法

オンライン資格確認ができないケースは2パターン考えられるので、それぞれどのような対処法を行うべきか確認しておきましょう。

〈パターン1〉「資格(無効)」「資格情報なし」と表示される場合

「資格(無効)」「資格情報なし」と表示される場合は、転職や退職等で保険者が変更されているケースがあります。このような場合はマイナポータルで有効な資格情報を確認することができないので、以下の方法で対処してみてください。

  • 患者さん自身がスマホなどでマイナポータルにアクセスし、被保険者資格情報の画面を提示してもらう
  • 健康保険証を提示してもらう

上記でも資格確認ができない場合は、保険者資格申立書に以下の内容を記載してもらいます。

  • 連絡先
  • マイナンバーカードの情報(氏名・生年月日・性別・住所)
  • 保険者等に関する事項(加入医療保険種別・保険者等名称・事業所名)

ただし、過去の受診歴から資格情報が変わっていないことが口頭で確認できる場合は、保険者資格申込書の提出は不要です。

〈パターン2〉機器不良などのシステムトラブル

資格確認ができないシステムトラブルでは以下のケースが考えられます。

  • 顔認証付きカードリーダーや資格確認端末の故障
  • 停電
  • 施設の通信障害
  • 広範囲のネットワーク障害
  • マイナンバーカードが使用不可(券面汚損・ICチップの破損・利用者証明用電子証明書の有効期限切れ)など

通信障害の場合は、オンライン資格確認等システムの『緊急時医療情報・資格確認機能』を立ち上げ、「氏名」「生年月日」「性別」「住所又は保険者名」で照会すると、停電の復旧等によりオンライン資格確認等システムにアクセス可能になった後、資格確認を行うことができます。

また、何らかの事情で顔認証が上手く機能しない場合には、カードに搭載された利用者証明用電子証明書の暗証番号の入力と、オンライン資格確認の目視モードを立ち上げ、職員が患者さんのマイナンバーカードの券面の写真を目視することによる本人確認を行うことも可能です。

参考:「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について 」/厚生労働省

医療情報取得加算に関する疑義解釈

厚生労働省による、医療情報取得加算に関する疑義解釈を紹介します。

医療情報取得加算について、情報通信機器を用いた診療を行う場合であっても算定できるのか。
居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムを活用することで、当該加算を算定できる。なお、情報通信機器を用いた診療において、オンライン資格確認を行うに際しては、事前準備として、次の点について留意すること。
・あらかじめ、保険医療機関又は保険薬局において、オンライン資格確認等システムにおいて「マイナ在宅受付 Web」の URL 又は二次元コードを生成・取得すること等が必要であること。
・ 患者において、自らのモバイル端末等を用いて二次元コード等から「マイナ在宅受付 Web」へアクセスし、マイナンバーカードによる本人確認を行うことで、オンライン資格確認が可能となり、薬剤情報等の提供について、同意を登録することが可能となること。

引用元:「疑義解釈資料の送付について(その1) 」/厚生労働省

まとめ

今回は医療情報取得加算に関する内容を詳しく解説いたしました。
マイナ保険証の移行により業務の負担を減らし、患者さんに質の高い医療を提供するための診療報酬改定ですが、システムの変更により一時的に業務が滞ってしまう可能性も考えられます。できるだけスムーズに移行できるように、どのような対応をすべきなのか薬局内で話し合ってみてはいかがでしょうか。

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薬剤師コラム編集部

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