調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年4月16日 薬剤師コラム編集部

【2024年度改定版】薬学管理料の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

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2024年(令和6年)の診療報酬改定で、薬学管理料の算定要件に関して点数の変更・新たな項目の設立がありました。今回の改定内容だけでなく、そもそも薬学管理料の細かな算定項目がわかりにくいと感じている薬剤師さんもいるかと思いますので、15項目ある薬学管理料の算定要件と点数についても詳しく解説していきます。

また、算定を拒否されてしまった場合の対応についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

薬学管理料は「対人業務」を評価

薬学管理料は、薬剤師が患者さんに対して行う業務を評価して算定する診療報酬です。算定項目が細かく分かれているので、患者さんに必要な情報やサポートに合わせた算定要項目を薬剤師が判断します。算定項目の詳しい内容については「薬学管理料に含まれる15項目 」で紹介していますのでご確認ください。

薬学管理料を算定するにあたって、調剤録に情報の提供及び指導内容の要点などを記入することが義務づけられているので、記載内容の必要事項を以下の表で確認しておきましょう。

調剤録の必要事項
1.患者の基礎情報(氏名・生年月日・性別・被保険者証の記号番号・住所)
2.処方及び調剤内容等(処方した保険医療機関名・処方医氏名・処方日・調剤日・
調剤した薬剤・処方内容に関する照会の要点等)
3. 以下の患者情報並びに当該情報等を踏まえた薬学的管理及び指導の要点
 ・患者の体質(アレルギー歴・副作用歴等)や薬学的管理に必要な患者の生活像及び
  後発医薬品の使用に関する患者の意向
 ・疾患に関する情報(既往歴・合併症及び他科受診において加療中の疾患)
 ・併用薬(要指導医薬品・一般用医薬品・医薬部外品及び健康食品)等の状況及び
  服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況
 ・服薬状況(残薬等)
 ・患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状等)及び患者又はその家族
  等からの相談事項の要点
 ・手帳活用の有無(手帳を活用しなかった場合はその理由と患者への指導の有無。
  また、複数の手帳所持し1冊にまとめなかった場合はその理由)
4. 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点
5. 指導した保険薬剤師の氏名

参考:「保険調剤の理解のために(令和6年度)」 /厚生労働省

2024年度診療報酬改定のポイント

薬学管理料に関する2024年度の診療報酬改定は、大きく分けて5つあります。
それぞれの変更点の内容についてみていきましょう。

1. 「調剤後薬剤管理指導料」「在宅移行初期管理料」の新設

薬学管理料に2つの算定項目が新設されました。
調剤後薬剤管理指導料の詳しい内容については、7)調剤後薬剤管理指導料を、在宅移行初期管理料の詳しい内容については、14)在宅移行初期管理料 の項目をご確認ください。

2.在宅関連項目の算定要件変更

在宅患者訪問薬剤管理指導料と在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の対象患者に「注射による麻薬の投与が必要な患者」への算定回数が月8回までと変更されました。算定回数と対象患者は以下の表を確認してください。

在宅患者訪問薬剤管理指導料 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
算定回数 原則月4回 原則月4回
下記の場合月8回
・末期の悪性腫瘍の患者
注射による麻薬の投与が必要な患者
・中心静脈栄養法の対象患者
下記の場合月8回
・末期の悪性腫瘍の患者
注射による麻薬の投与が必要な患者

3.服薬管理指導料・かかりつけ薬剤師指導料への「特定薬剤管理指導料3」の新設

特定薬剤管理指導料3とは、処方された医薬品について、患者さんに対して重点的な服薬指導が必要と認め、必要な説明及び指導を行ったときに算定が可能です。

4.かかりつけ薬剤師指導料に対する吸入指導加算の導入

今までは吸入指導はかかりつけ薬剤師の業務の一環とみなされており、加算の算定はできませんでした。

今回の改定より、かかりつけ薬剤師指導料を算定している患者さんに対しても、算定要件を満たすことで、吸入指導加算の算定が可能になりました。

5.かかりつけ薬剤師指導料に関連する服薬指導料の特例の見直し

以前はかかりつけ薬剤師の代わりに服薬指導できるのは、かかりつけ薬剤師と連携する薬剤師1名という条件がありましたが、常勤の薬剤師であれば複数人でも対応が可能となりました。

薬学管理料に含まれる15項目

薬学管理料でもっとも重要となる、各算定項目の内容・条件・点数について確認していきましょう。

1.調剤管理料

調剤管理料とは、患者さんの情報(投薬歴・副作用歴・アレルギー歴・服薬状況等)をもとに、処方内容についての薬学的分析と評価を行った上で、薬剤服用歴への記録や薬学的管理を行った場合に算定できる薬学管理料です。

区分 処方日数 点数
内服薬の場合
※内服用滴剤・浸煎薬・ 湯薬・頓服薬を除く
7日分以下 4点
8〜14日分 28点
15〜28日分 50点
28日分以上 60点
①以外の場合 4点

①は、隔日投与等の指示により患者が服用しない日がある場合、実際の投与日数により算定してください。
①と②は併算定することはできないので注意してください。

調剤管理料についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

2.服薬管理指導料

服薬管理指導料とは、患者さんが安全に薬を使用できるように、薬剤師が必要な情報の収集・分析・管理・記録や、薬の説明を行なった場合に算定できる薬学管理料です。

要件 点数
服薬管理指導料1 3ヶ月以内に再度処方せんを持参した患者
(お薬手帳あり)
45点
服薬管理指導料2 1以外の患者 59点
服薬管理指導料3 ショートステイ・介護医療院・介護老人保健施設の患者 45点
服薬管理指導料4 情報通信機器を用いたオンライン服薬指導を行った場合
(お薬手帳あり / なし)
45点/ 59点
特例 かかりつけ薬剤師と連携する薬剤師が対応する場合 59点

参考:「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」 /厚生労働省

3. かかりつけ薬剤師指導料

かかりつけ薬剤師指導料とは、患者さんが指名した薬剤師が医師と連携して服薬状況を一元的かつ継続的に把握した上で、服薬指導などを行った場合に算定できる薬学管理料です。

かかりつけ薬剤師指導料は以下の要件を満たすことで、どの患者さんでも算定の対象となり、1回につき76点を算定することができます。

  • 当該薬局に複数回来局している
  • 患者さんからかかりつけ薬剤師になることへの同意を取得している
  • 同一月内は同じ薬剤師について算定する

かかりつけ薬剤師指導料は、患者さんの同意を得た次の受付から算定することができます。

かかりつけ薬剤師指導料について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

4.かかりつけ薬剤師包括管理料

かかりつけ薬剤師包括管理料とは、地域包括診療加算もしくは認知症地域包括診療加算を算定している患者に対して、医師と連携して服薬状況を一元的かつ継続的に把握した上で、服薬指導などを行った場合に算定できる薬学管理料です。

かかりつけ薬剤師包括管理料の対象患者は、医療機関で「地域包括診療加算または認知症地域包括診療加算」または「地域包括診療料または認知症地域包括診療料」を算定していることが要件となり、算定点数は291点となります。

5.外来服薬支援料

外来服薬支援料は1と2の区分に分かれているので、それぞれの算定要件と点数を確認していきましょう。

区分 要件 点数
外来服薬
支援料1
服薬管理が困難な患者(または家族)や医師の
求めに応じ、持参した服薬中の薬剤
について、
薬剤を処方した医師に了解を得た上で、一包化
及び服薬カレンダー等の活用
により薬剤を整理し、
日々の服薬管理が容易になるよう支援した場合
185点
外来服薬
支援料2
薬剤の飲み忘れや飲み誤りの防止・錠剤等を直接
の被包から取り出して服用することが困難な患者
に配慮するため、医師の了解を得た上で、一包化
及び必要な指導を行い、患者の服薬管理を
支援した場合(42日分以下)
一包化を行った
投与日数が7又
はその端数を増す
ごとに34 点を加算
した点数
43日分以上 240点

外来服薬支援料についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

6.服用薬剤調整支援料

服用薬剤調整支援料は1と2の区分に分かれているので、それぞれの算定要件と点数を確認していきましょう。

区分 要件 点数
服用薬
剤調整
支援料1
内服を開始して4週間以上経過した、内服薬6種類以上
調剤している患者に対して、患者の意向を踏まえて
処方医に減薬の提案を行い、その結果処方される
内服薬が減少した場合
125点
服用薬
剤調整
支援料2
複数の保険医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方
されている患者に対して、患者かその家族等の求めに
応じて、重複投薬等の解消のために取組を行った場合
施設基準を
満たしている
かによって
110点 / 90点

服用薬剤調整支援料についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

7.調剤後薬剤管理指導料 (2024年度新設)

調剤後薬剤管理指導料とは、調剤後に電話などで使用状況・服薬中の体調の変化(副作用など)の有無等について、必要な薬学的管理指導を行うとともに、その結果を受診中の医療機関に文書により情報提供した場合に算定することができる薬学管理料です。

調剤後薬剤管理指導料は1と2の区分に分かれているので、それぞれの算定要件と点数を確認していきましょう。

区分 要件 点数
調剤後薬剤管理指導料1 糖尿病患者に対して行なった場合 60点
調剤後薬剤管理指導料2 慢性心不全患者に対して行なった場合

8.服薬情報等提供料

服薬情報等提供料は1と2と3の区分に分かれているので、それぞれの算定要件と点数を確認していきましょう。

区分 要件 点数
服薬情報等提供料1 医療機関からの求めがあった時に、患者の同意を得て
服薬状況等について文書で情報提供した場合
30点
服薬情報等提供料2 薬剤師が患者の服薬状況等について、薬学的管理に
必要な情報を文書で提供
した場合
20点
服薬情報等提供料3 医療機関の求めがあった時に、入院予定の患者が服用中
の薬剤について一元的に把握・整理を行い、対象の医療
機関に対して患者の服薬状況を文書で情報提供
した場合
50点

服薬情報提供料についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

9.在宅患者訪問薬剤管理指導料

在宅患者訪問薬剤管理指導料とは、在宅での療養を行っている患者さんに対して、患家を訪問して、薬学的管理指導を行い、当該指示を行った医師に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に算定できる薬学管理料です。

区分 要件 点数
在宅患者訪問薬剤管理指導料1 単一建物診療患者が1人の場合 650点
在宅患者訪問薬剤管理指導料2 単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合 320点
在宅患者訪問薬剤管理指導料3 単一建物診療患者が10人以上の場合 290点
在宅患者オンライン薬剤管理指導料 59点

10.在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料

在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料とは、訪問薬剤管理指導を実施している薬局にて、患者さんの急変に伴い、医師の求めにより、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、情報提供を文書で行った場合に算定できる薬学管理料です。

区分 要件 点数
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1 計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患の急変に伴うものの場合 500点
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2 計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患の急変に伴うもの以外の場合 200点
在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料 59点

11.在宅患者緊急時等共同指導料

在宅患者緊急時等共同指導料とは、在宅での療養を行っている患者さんの急変等に伴い、連携する保険医と共同でカンファレンス・計画的な訪問薬剤管理指導・患家を訪問した上で薬学的管理指導を行った場合に、1回700点を月2回に限り算定できる薬学管理料です。(訪問薬剤管理指導を実施している薬局に限ります。)

12.在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料とは、薬剤服用歴や患者さんまたは家族からの情報により、処方せん交付前の処方提案か、処方せん交付後の疑義照会を行い、処方に変更が行われた場合に算定できる薬学管理料です。

区分 要件 点数
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料1
(処方せん交付後)
残薬調整に係るもの以外 40点
残薬調整に係るもの 20点
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料2
(処方せん交付前)
残薬調整に係るもの以外 40点
残薬調整に係るもの 20点

在宅に関する算定項目についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

13.経管投薬支援料

経管投薬支援料とは、胃瘻または腸瘻による経管投薬か経鼻経管投薬を行っている患者さんに対して、簡易懸濁法による薬剤の服用に関して必要な支援を行った場合に算定できる薬学管理料です。初回に限り100点を算定することができます。

経管投薬支援料に関してさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

14.在宅移行初期管理料 (2024年度新説)

在宅移行初期管理料とは、在宅での療養に移行する患者さんに対して、訪問薬剤管理指導を実施する前に、患家を訪問して薬学的管理や指導を行うことで算定できる薬学管理料です。初回に限り230点を算定することができます。

15.退院時共同指導料

退院時共同指導料とは、入院中の患者さんに対し、医療機関と共同で退院後の在宅療養をする上で必要な薬剤に関する説明及び指導を行い、文書により情報提供した場合に600点を算定できる薬学管理料です。基本的には入院中に1回の算定ですが、厚生労働大臣が定める疾病等の患者さんについては2回算定することができます。

参考:「保険調剤の理解のために(令和6年度)」 /厚生労働省

薬学管理料の算定を迷った時の対応方法

患者さんから「薬の説明はいらない」等、薬学管理料の算定を拒否されるケースもあるかと思いますが、薬剤師の判断で足したり引いたりすることはできません。

薬剤師法28条にも「保険薬剤師は、調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない」と定められていることから、薬学的管理・服薬指導・薬歴確認などは薬剤師の「義務」となります。

安全にお薬を使えるようにするための算定であることを丁寧に伝えるとともに、「いつも同じ説明になっていないか」「患者さんに寄り添った指導内容が行えているか」ということを改めて見直してみてください。どうしても理解が得られない場合は、先程説明した法律上の義務であることを説明してみてはいかがでしょうか。

また、患者さんが医師・薬剤師の場合にも算定可能か迷ってしまうことがあるかと思いますが、専門外の場合は一般の患者さんと同様に算定可能です。しかし、保険請求の客観性を担保するという観点から、取り扱いには注意してください。

参考:「薬剤師法」/e-Gov

薬学管理料を正しく理解し、対人業務で力を発揮していきましょう

今回は薬学管理料に関する内容を詳しく解説いたしました。薬剤師さんにとって身近とも言える薬学管理料ですが、細かく分類された算定項目は複雑で判断しにくいことも多いかと思います。2024年の改定で新設された項目もあるので、算定時の参考にしていただけると幸いです。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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