調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年6月1日 薬剤師コラム編集部

【2024年度改定版】調剤技術料の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

【2024年度改定版】調剤技術料の算定要件や改定内容をわかりやすく解説のメイン画像

2024年(令和6年)の診療報酬改定で、調剤技術料の点数の変更・加算項目の新設・算定要件の変更等がおこなわれました。身近な調剤基本料ですが、算定要件や加算項目が多いため、改定内容まで把握するのが難しいと感じている薬剤師さんもいるかと思います。
そこで今回は、調剤技術料の改定ポイントのまとめだけでなく、調剤技術料の内容についても詳しく解説しています。

調剤技術料とは

調剤技術料とは、薬局における調剤の体制整備と薬剤師の対物業務を評価した調剤報酬で、「調剤基本料+薬剤調製料」で計算されます。

調剤基本料とは、医薬品の備蓄(廃棄・摩耗等)を整えるといった薬局の体制を評価したもので、集中率や処方せんの受付回数・会社の規模などで算定点数の区分が異なります。
一方薬剤調整料とは、薬剤の調整や監査といった薬剤師の業務を評価する項目で、医薬品の種類によって算定点数が異なります。

詳しい算定要件や点数については後ほど解説しています。

調剤技術料に関する2024年度診療報酬改定のポイント

2024年度の診療報酬改定の変更ポイントは大きく分けて3つあります。

  1. 調剤基本料の点数増減
  2. 調剤基本料2の対象範囲拡大特別調剤基本料の細分化
  3. 調剤基本料の加算項目の新設

まずは、調剤基本料の点数増減と、算定要件の変更内容を確認していきましょう。

区分 改定前 改定後 算定要件の変更内容
調剤基本料1 42点 45点
調剤基本料2 26点 29点 月の処方せん受付回数が4,000回を超え、
上位3位の医療機関の調剤が7割を超える
薬局も対象
調剤基本料3
(イ)
21点 24点
調剤基本料3
(ロ)
16点 19点
調剤基本料3
(ハ)
32点 35点
特別調剤基本料A 7点 5点 敷地内薬局
特別調剤基本料B 3点 基本料の届出がない薬局

特別調剤基本料(病院の敷地内にある調剤薬局が対象)では、薬局としての独立性が確保されないという課題が残るため減点となっています。

次に調剤基本料の加算項目に関して、「在宅薬学総合体制加算」「医療DX推進体制整備加算」が新設されました。

新設区分 算定要件 点数
在宅薬学総合
体制加算
在宅患者の多種多様なニーズに応えるために、
薬学的管理・指導を行うための必要な体制を評価
15点or
50点
医療DX推進体制
整備加算
オンライン資格確認による診療情報・薬剤情報を診療に
活用できる体制の整備と、電子処方せん及び電子カルテ
情報共有サービスの導入
による、医療DXに対応する
体制を確保していることを評価
4点or
6点or
7点

各項目の詳細については、次の項目以降で解説していますのでご確認ください。

調剤基本料:「薬局の体制整備」を評価

調剤基本料とは、医薬品の備蓄(廃棄・摩耗等)等の体制整備を評価したもので、算定要件の区分が細かく分類されているので確認していきましょう。

調剤基本料1・2・3

調剤基本料の算定要件は3つの区分に分かれており、処方せんの受付回数等によって算定点数が異なります。

区分 処方せん受付回数(集中率) 点数
調剤基本料1 調剤基本料2・3、特別調剤基本料A・B以外の薬局 45点
調剤基本料2 ・ 月1,800回超〜2000回(95%超)
・月2,000回超〜4000回(85%超)
月4,000回超(上位3位医療機関の集中率70%超)
・ 特定医療機関から月4,000回超(ー)
29点
調剤基本料3(イ) ・月3.5万回超~4万回以下(95%超)
・月4万回超~40万回以下(85%超)
・月3.5万回超&特定医療機関と不動産の賃貸借取り引き(ー)
24点
調剤基本料3(ロ) 月40万回超または、300店舗以上&特定医療機関と
不動産の賃貸借取り引きのどちらか一方を満たす
場合(85%超)
19点
調剤基本料3(ハ) 月40万回超または、300店舗以上のどちらか一方を
満たす場合(85%以下)
35点

参考:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 / 厚生労働省

特別調剤基本料A・B

次に、医療機関の敷地内に開設された薬局に適用される、特別調剤基本料A・Bについては以下のとおりです。

区分 施設基準 点数
特別調剤基本料A
(同一敷地内薬局)
保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を
有している薬局で、当該保険医療機関からの処方せん
による調剤の割合が50%を超えること
5点
特別調剤基本料B
(基本料の届出が
ない薬局)
調剤基本料1・2・3及び特別調剤基本料Aのいずれかに
適合しており、地方厚生局長等に届け出た薬局以外で
あること
3点

参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 / 厚生労働省

分割調剤

分割調剤とは、医師が処方した薬を最大3回まで複数回に分けて調剤・提供する方法です。これにより、患者の経済的負担軽減や、薬の効果・副作用をみながら調整することが可能です。

分割調剤が対象となるケース 点数
1 長期投与で薬剤の保存
が困難
である場合
1回目は通常の調剤基本料
2回目以降は5点
2 ジェネリック医薬品を
試用
する場合
1回目は通常の調剤基本料
2回目のみ5点
3 医師の指示で実施
した場合
調剤基本料・薬剤調整料・薬学管理料とそれぞれ
の加算を合算し、分割回数で割った点数を算定
(服薬情報等提供料を除く)

参照:調剤報酬点数表 / 厚生労働省

調剤基本料に係る加算

先程解説した調剤基本料に加算できる項目が5つあります。
2024年度に新設された項目もあるので、加算項目の算定要件や点数について確認していきましょう。

地域支援体制加算1・2・3・4

地域支援体制加算とは、地域医療に貢献している薬局を評価する加算となります。

区分 点数
地域支援体制加算1 32点
地域支援体制加算2 40点
地域支援体制加算3 10点
地域支援体制加算4 32点

参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 / 厚生労働省

特別調剤基本料Aを算定している薬局では、地域支援体制加算の所定点数を100分の10にし、小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定します。
特別調剤基本料Bを算定している薬局は算定できないので注意してください。

地域支援体制加算の算定要件についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

連携強化加算

連携強化加算とは、感染・災害発生時に対応できる体制を整備する薬局を評価するものです。
以前は、地域支援体制加算にかかるものでしたが、今回の改定で調剤基本料の加算となりました。さらに加算点数も引き上げられ「5点」となっています。

連携強化加算の算定要件についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

後発医薬品調剤体制加算1・2・3と後発医薬品減算

後発医薬品調剤体制加算とは、後発医薬品の使用促進に取り組む薬局を評価するものです。ジェネリック医薬品の使用率が高いと点数が高くなり、使用が低いと減算となっています。

区分 後発医薬品の調剤数量割合 点数
後発医薬品調剤体制加算1 80%以上 21点
後発医薬品調剤体制加算2 85%以上 28点
後発医薬品調剤体制加算3 90%以上 30点
後発医薬品減算 50%以下(処方せん受付回数が
月600回以下の場合を除く)
-5点

参照:調剤報酬点数表 / 厚生労働省

特別調剤基本料Aを算定している薬局では、後発医薬品調剤体制加算の点数を100分の10にし、小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定.します。
特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は算定できません。

在宅薬学総合体制加算1・2【2024年新設】

在宅患者の多種多様なニーズに応えるために、在宅訪問を十分に行うための体制を整備する薬局を評価するものです。
以前は「在宅患者調剤加算」として薬剤調製料にかかるものでしたが、今回の改定で名称も変わり、調剤基本料への加算項目となりました。

区分 要件 点数
在宅薬学総合
体制加算1
1. 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出
2. 在宅薬剤管理の実績が24回以上/年
3. 開局時間外における在宅業務対応
 (在宅協力薬局との連携含む)
4. 在宅業務実施体制に係る地域への周知
5. 在宅業務に関する研修(認知症・緩和
 医療・ターミナルケア)及び学会等への参加
6. 医療材料及び衛生材料の供給体制
7. 麻薬小売業者の免許の取得
15点
在宅薬学総合
体制加算2
1. 加算1の施設基準を全て満たしていること
2. 開局時間の調剤応需体制(2名以上の薬剤師が勤務)
3. かかりつけ薬剤師指導料等の算定回数の
  合計が24回以上/年
4. 高度管理医療機器販売業の許可
5. アまたはイの要件への適合
 (ア)がん末期などターミナルケア患者に対する体制
  ①医療用麻薬の備蓄・取扱
   (注射剤1品目以上を含む6品目以上)
  ②無菌室、クリーンベンチ又は安全キャビネットの整備
 (イ)小児在宅患者に対する体制(在宅訪問薬剤
   管理指導等に係る小児特定加算及び乳幼児加算
   の算定回数の合計6回以上/年)
50点

参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 / 厚生労働省

基準を満たした薬局において、在宅患者の処方せん1枚につき加算することができます。

医療DX推進体制整備加算1・2・3【2024年新設】

オンライン資格確認による診療情報・薬剤情報を診療に活用できる体制の整備と、電子処方せん及び電子カルテ情報共有サービスの導入による、医療DXに対応する体制を確保していることを評価するものです。

区分 要件 点数
医療DX推進体制
整備加算1
・マイナンバーカードの健康保険証利用について、
 十分な実績を有していること
・マイナポータルの医療情報等に基づき、患者から
 の健康管理に係る相談に応じること
7点
医療DX推進体制
整備加算2
・マイナンバーカードの健康保険証利用について、
 必要な実績を有していること
・マイナポータルの医療情報等に基づき、患者から
 の健康管理に係る相談に応じること
6点
医療DX推進体制
整備加算3
マイナンバーカードの健康保険証利用について、
実績を有していること
4点

参考:医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて / 厚生労働省

薬剤調製料:「薬剤師の対物業務」を評価

薬剤調整料とは、薬剤の調整や監査といった薬剤師の業務を評価する項目で、医薬品の種類によって算定点数が異なります。

医薬品の種類 算定要件 点数
内服薬 1調剤につき3剤分まで 24点
頓服薬 処方せん受付1回につき 21点
浸煎薬 1調剤につき3調剤分まで 190点
湯薬 1調剤につき3調剤分まで 7日分以下:190点
8〜28日分:190点+1日分につき10点
29日分以上:400点
注射薬 処方せん受付1回につき 26点
外用薬 1調剤につき3調剤分まで 10点
内服用滴剤 1調剤につき 10点

参照:調剤報酬点数表 /厚生労働省

薬剤調製料に係る加算項目6つを全部解説

先程解説した薬剤調剤料には加算できる項目が6つあるので、加算項目の算定要件や点数について確認していきましょう。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

薬剤師コラム編集部の画像

薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

キーワード一覧

調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

この記事の関連記事

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

災害対策・災害医療 調剤報酬改定 服薬指導 プロブレム 医療クイズ 処方箋 診療報酬改定 SOAP 薬歴 ebm