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調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年6月1日 薬剤師コラム編集部

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【2024年度改定版】病棟薬剤業務実施加算の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

病棟業務の中で、薬剤師の役割がますます重要視されてきています。病棟薬剤業務実施加算は、医療従事者の負担削減や患者ケアの質向上に貢献する病院薬剤師の専門性を評価したものです。

今回は、病棟薬剤業務実施加算の算定要件や施設基準、2024年の改定で新設された病棟薬剤業務実施加算1への加算項目である薬剤業務向上加算について解説していきます。

病棟薬剤業務実施加算とは

病棟薬剤業務実施加算とは、医療機関が診療報酬を請求する際、入院基本料や特定入院料に加算できる点数です。病院薬剤師が入院患者さんに対して適切な薬剤管理業務を行うことで、医療従事者の負担削減や患者さんの安全な薬物治療がさらに強化されることを目的としています。

病棟薬剤業務実施加算の算定要件

薬剤師が病棟において病院勤務医等の負担軽減及び薬物療法の有効性、安全性の向上に資する薬剤関連業務(病棟薬剤業務)を実施している場合に算定できます。

病棟薬剤業務実施加算には1と2があり、次のような違いがあります。

算定点数

区分 算定点数
病棟薬剤業務実施加算1 120点(週1回)
病棟薬剤業務実施加算2 100点(1日につき)

病棟薬剤業務実施加算1と2の違い

病棟薬剤業務実施加算1とは一般病棟入院料、療養病棟入院料等を算定する病棟が対象となり、病棟薬剤業務実施加算2とは、救命救急入院料、特定集中室管理料等を算定する高度急性期医療に係る治療室が対象となります。

ただし、すべての場合において加算できるものではなく、以下の入院基本料または特定入院料を算定している患者さんが対象となります。

【病棟薬剤業務実施加算1の算定対象】

  • A100:一般病棟入院基本料
  • A101:療養病棟入院基本料
  • A102:結核病棟入院基本料
  • A103:精神病棟入院基本料
  • A104:特定機能病院入院基本料
  • A105:専門病院入院基本料
  • A304:地域包括医療病棟入院料
  • A307:小児入院医療管理料

【病棟薬剤業務実施加算2】

  • A300:救命救急入院料
  • A301:特定集中治療室管理料
  • A301-2:ハイケアユニット入院医療管理料
  • A301-3:脳卒中ケアユニット入院医療管理料
  • A301-4:小児特定集中治療室管理料
  • A302:新生児特定集中治療室管理料
  • A302-2:新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料
  • A303:総合周産期特定集中治療室管理料

また、A101療養病棟入院基本料、A103精神病棟入院基本料、A104特定機能病院入院基本料(精神病棟に限る)を算定する患者さんについては、入院した日から起算して8週間を限度とします。

参照元:別表第一医科診療報酬点数表 /厚生労働厚生労働省

病棟薬剤師に関わるその他の評価項目について知りたい方は以下の記事をご覧ください。

病棟薬剤業務実施加算を算定するために実施するべきこと

病棟薬剤業務実施加算を算定するために実施するべきことは主に以下の通りです。

1)患者さんに関する情報収集と処方設計・提案
2)他職種へ重要な医薬品情報を提供
3)必要な薬学的管理

ひとつずつ確認していきましょう。

1)患者さんに関する情報収集と処方設計・提案

患者さん又はご家族から、過去の投薬・注射・副作用発生の状況等を聞き取り、持参薬も確認した上で、処方設計・提案をすることがまず必要な業務となります。

2)他職種へ重要な医薬品情報を提供

医薬品緊急安全情報や医薬品・医療機器等の回収に関する情報など、最新の医薬品情報を外部から入手し、医療従事者へ周知することも重要です。

さらに、当該医療機関において投与される医薬品について、以下の情報を入手した際には、当該患者さんの診察を担当する医師に文書にて情報提供しなくてはいけません。

  • 緊急安全性情報
  • 医薬品・医療機器等安全性情報
  • 医薬品・医療機器等の回収等

3)必要な薬学的管理

2種以上(注射薬及び内服薬を各1種以上含む)の薬剤を同時に投与する場合における投与前の相互作用の確認、ハイリスク薬等に係る投与前の詳細な説明、流量又は投与量の計算、退院時の薬学的管理指導の実施も病棟薬剤業務を行う上で必要な薬学的管理となります。

参照元:薬剤師の病棟業務の進め方(Ver.1.2)/日本病院薬剤師会
https://www.jshp.or.jp/activity/guideline/20160609-2.pdf
参照元:退院証明書 /厚生労働省

病棟薬剤業務実施加算と薬剤管理指導料の違い

病棟専任薬剤師が病棟で行う業務は、一般的に薬剤の投与前と投与後で区分されます。

病棟薬剤業務は主に投薬前における患者さんに対する業務、医薬品の情報及び管理に関する業務、医療スタッフとのコミュニケーションです。

薬剤管理指導業務は主に投薬後における患者さんに対する業務であり、薬歴の確認や処方内容の再確認、退院時指導、薬学管理指導記録簿の作成などがあります。

参照元:薬剤師の病棟業務の進め方(Ver.1.2)/日本病院薬剤師会
https://www.jshp.or.jp/activity/guideline/20160609-2.pdf

「薬剤業務向上加算」は病棟薬剤業務実施加算1に対する加算

薬剤業務向上加算は、2024年の診療報酬改定で新しく算定可能となった加算であり、病棟薬剤業務実施加算1を算定している医療機関が対象です。週1回100点を加算できます。

免許取得直後の薬剤師に対して総合的な研修を実施したり、都道府県との協力のもと、薬剤師が別の医療機関において地域医療に係る業務等を実践的に修得したりする体制を整備することが必要です。

参照元:令和6年度診療報酬改定の概要 【個別改定事項(Ⅱ)】 /厚生労働省保険局医療課

病棟薬剤業務実施加算1の施設基準

病棟薬剤業務実施加算1の施設基準は以下の通りです。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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