【2024年度改定版】特別調剤基本料A・Bの算定要件や改定内容をわかりやすく解説

2024年(令和6年)の診療報酬改定では、特別調剤基本料がAとBに細分化され、さらに減算されました。主に医療機関の敷地内にある薬局が算定する特別調剤基本料ですが、細分化された区分によって算定点数や要件の違い、加算できない項目等がありますので、詳しく解説していきます。
特別調剤基本料とは
特別調剤基本料とは、敷地内薬局などが算定できる調剤基本料です。2024年度の診療報酬改定において、特別調剤基本料は「特別調剤基本料A」と「特別調剤基本料B」に細分化されました。また、敷地内薬局では、薬局としての独立性が確保されないという課題が残るため、2022年度の改定よりも減点となっています。
特敷地内薬局とは
特別調剤基本料を算定する敷地内薬局とは、医療機関と同一の敷地内にある薬局のことです。ここでは、敷地内薬局の現状や、メリット・デメリットについて紹介していきます。
敷地内薬局の現状
厚生労働省の発表によると、敷地内薬局は2021年4月時点で196薬局(診療所敷地内薬局を含めると351薬局)あり、そのうちの約半数が超大型薬局グループが占めています。
しかし、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し、患者さんに安全な薬物療法を提供する医療分業に反するとして、敷地内薬局は厳しい目が向けられているのが現状です。
薬局の役割が、対物業務から対人業務へシフトされている今だからこそ、今回の減算に繋がったと考えられます。
参考元:病院の敷地内に所在する薬局に関する調査について /厚生労働省
敷地内薬局のメリット
敷地内薬局の3つのメリットを確認しておきましょう。
-
患者さんの利便性の高さ
病院から薬局までの移動時間を短縮できる。 -
医療費の軽減
敷地内薬局はそれ以外の薬局に比べて調剤報酬点数が低い。 -
医療機関とのコミュニケーションが図りやすい
患者さんの情報や治療方針を共有しやすい。
このように、敷地内薬局にはいくつかのメリットがあり、特に患者さんにとって利便性の高い薬局となっています。
敷地内薬局のデメリット
次に、敷地内薬局は、調剤基本料が低いことが最大のデメリットといえます。敷地内薬局以外の薬局では調剤基本料が19~45点に設定されていますが、敷地内薬局では5点です。
さらに、地域支援体制加算・後発医薬品調剤体制加算等はそれぞれの点数の100分の10に相当する点数の加算となり、薬局と不動産取引等の特別な関係を有している医療機関へ情報提供を行った場合は、服薬情報等提供料等の薬学管理料は算定できないといった厳しい条件があります。
敷地内薬局に関する調剤報酬改定(2024年度)の内容を詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
特別調剤基本料Aの算定要件と点数
特別調剤基本料Aとは、以下の施設基準を満たす薬局が算定する調剤基本料(5点)です。
- 保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している
- 処方箋集中率が50%超(当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く)
- 別添2の様式84 を用いて届出をおこなっている
敷地内薬局以外の薬局とは加算の点数や要件が異なるので、以下の表で確認しておきましょう。
区分 | 要件 |
・地域支援体制加算 ・後発医薬品調剤体制加算 ・在宅薬学総合体制加算 |
それぞれの点数の100分の10に相当する点数を算定 |
連携強化加算 | 厚生労働大臣が定める医療機関が、外来感染対策向上加算又は感染対策向上加算の届出を行っている場合は算定不可 |
・特定薬剤管理指導加算2 ・吸入薬指導加算 ・服用薬剤調整支援料2 ・外来服薬支援料1 ・調剤後薬剤管理指導料 |
厚生労働大臣が定める医療機関への情報提供を行った場合は算定不可 |
使用薬剤料 | 処方につき7種類以上の内服薬の調剤を行った場合、所定点数の100分の90に相当する点数を算定 |
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省
調剤基本料の算定要件に関して詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
医療機関との「不動産取引」とは
特別調剤基本料Aの施設基準にも含まれる「保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局」とは、以下のいずれかに該当する場合です。
① 医療機関と不動産の賃貸借取引関係にある
② 医療機関が譲り渡した不動産を利用して開局している
③ 薬局が所有する会議室その他設備を医療機関に貸与している
④ 医療機関による開局時期の指定を受けて開局した
参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 /厚生労働省
不動産は土地及び建物を指し、医療機関及び薬局の事業用に提供されるものに限ります。
賃貸借契約の名義人として、医療機関及び薬局の開設者の近親者または法人の場合は、法人の役員がなっている場合も含みます。
このような条件に該当する薬局はいわゆる敷地内薬局と言われ、必要な届出をしている場合は特別調剤基本料Aを算定可能です。
特別調剤基本料Bの算定要件と点数
特別調剤基本料Bとは、調剤基本料および特別調剤基本料Aの届出を行なっていない薬局が算定する調剤基本料です。(3点)
特別調剤基本料Bは、算定・加算できない項目が多いので以下の表で確認しておきましょう。