調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年6月1日 薬剤師コラム編集部

【2024年度改定版】かかりつけ薬剤師指導料とは?算定要件をわかりやすく解説

【2024年度改定版】かかりつけ薬剤師指導料とは?算定要件をわかりやすく解説のメイン画像

2024年(令和6年)6月1日より診療報酬改定が施行されました。変更内容がわかりにくいと感じている薬剤師さんもいるかと思いますので、この記事では「かかりつけ薬剤師指導料」の改訂内容について詳しく解説していきます。
算定条件や施設基準についても紹介していますので、かかりつけ薬剤師指導料の算定が自店舗でも可能かどうか判断してみてください。

かかりつけ薬剤師指導料とは?

かかりつけ薬剤師指導料とは 、患者さんが指名した薬剤師が医師と連携して服薬状況を一元的かつ継続的に把握した上で、服薬指導などを行った場合に算定できる指導料です。

ここでわかりにくいのが「服薬管理指導料」との違いではないでしょうか? どちらも併用薬や残薬のチェック、服薬指導という点では同じ業務内容のように感じますが以下のような違いがあります。

服薬管理指導料 かかりつけ薬剤師指導料
服薬状況の把握 併用薬や残薬の確認に努める 全ての併用薬や残薬の一元的な管理・把握を行う
服薬期間中の指導 電話で問い合わせがあった時のみ対応 主体的に行う
点数 45点 or 59点 76点

服薬管理指導料とかかりつけ薬剤師指導料は併用できないので、かかりつけ薬剤師指導料に切り替える際は患者さんへの同意が必要となります。薬の情報を1箇所で継続的に管理・サポートできるメリットや、薬局が開いていない時間にも薬の相談ができることなどを伝えて、かかりつけ薬剤師を持つことのメリットを伝えてみてはいかがでしょうか。

2024年度改正における変更内容

2024年度診療報酬改定における、かかりつけ薬剤師指導料の変更内容を詳しく解説していきます。

休日・夜間は薬局単位での対応が可能に

かかりつけ薬剤師になった場合、薬局が開いていない時間でも患者さんからの問い合わせに対応するため、時間外の連絡先を伝えるように定められていますが、やむを得ない理由で対応できない場合は薬局単位での対応が可能となりました。

ただし、かかりつけ薬剤師以外が調剤・服薬指導を行なった場合は、かかりつけ薬剤師指導料ではなく、服薬管理指導料の算定となります。

複数人での対応による特例算定が可能に

以前はかかりつけ薬剤師の代わりに服薬指導できるのは、かかりつけ薬剤師と連携する薬剤師1名という条件がありましたが、常勤の薬剤師であれば複数人でも対応が可能となりました。

この場合もかかりつけ薬剤師指導料ではなく、服薬管理指導料の算定となります。

かかりつけ薬剤師管理指導料に係る各種加算・指導料の見直し

2024年度の改定では吸入薬指導加算・特定薬剤管理指導加算1の評価の見直しと、調剤後薬剤管理指導料(糖尿病・慢性心不全患者対象)が変更となっています。

まずは吸入薬指導加算についてですが、喘息または慢性閉塞性肺疾患の吸入薬の情報提供と、練習用吸入器などを用いた薬学的管理および指導は、かかりつけ薬剤師指導料を算定している患者さんにおいても、「吸入薬指導加算(30点/3ヵ月に1回)」が算定できるようになりました。

次に特定薬剤管理指導加算1の評価見直しについてですが、算定内容を明確化するため「イ」と「ロ」の2つに区分されました。各区分の内容は以下のとおりです。
〈特定薬剤管理指導加算1〉

  • イ…特に安全管理が必要な医薬品が新たに処方された患者に対して必要な指導を行なった場合(10点)
  • ロ…特に安全管理が必要な医薬品に係る用法または用量の変更、患者の副作用の発現状況等に基づき薬剤師が必要と認めて指導を行なった場合(5点)

イとロのどちらにも該当する指導を行なったとしても、どちらかしか算定できません。

指導料の見直しでは、調剤後薬剤管理指導加算が廃止され「調剤後薬剤管理指導料」が新設されました。糖尿病患者と慢性心不全患者に対して調剤後に電話等でフォローアップを行なった場合に、かかりつけ薬剤師指導料と併算定することが可能です。(60点/月1回)

かかりつけ薬剤師指導料の算定要件

算定点数

かかりつけ薬剤師指導料の算定点数は76点なので、3割負担の患者さんの場合は約230円となります。

算定対象患者

かかりつけ薬剤師指導料の対象患者は以下の要件を満たすことで誰でも算定することができます。

  • 当該薬局に複数回来局している
  • 患者さんからかかりつけ薬剤師になることへの同意を取得している
  • 同一月内は同じ薬剤師について算定する

かかりつけ薬剤師指導料は、患者さんの同意を得た次の処方箋受付の時に算定することができます。

十分な説明と患者の同意が必須

かかりつけ薬剤師指導料を算定するには、患者さんの同意書への記載が必要となり、以下の説明をしっかりと行う必要があります。

  • かかりつけ薬剤師の業務内容
  • かかりつけ薬剤師を持つことの意義、役割等
  • かかりつけ薬剤師指導料の費用
  • かかりつけ薬剤師が必要と判断した理由

患者さんにとっては費用が発生することなので、安心・納得して同意してもらえるように丁寧に説明するよう心がけましょう。

かかりつけ薬剤師が実施するべきこと

かかりつけ薬剤師になった場合、具体的にどのような業務を実施しておくべきなのでしょうか?患者さんとの信頼関係が築けるように具体的に解説していきます。

丁寧な薬学管理・指導・記録

かかりつけ薬剤師は、患者さんの服薬情報を一元的かつ継続的に把握して服薬指導を行いますが、具体的には以下のような業務内容を実施します。

  • 患者さんの服薬情報を把握する
  • 併用薬や重複投薬・残薬の有無を確認する
  • 薬の飲み合わせを確認する
  • 副作用の確認をする
  • 状況に応じて患者さんの状態を処方医にフィードバックする
  • 処方薬以外にも健康に関する相談に応じる
  • 必要に応じて患者さんの家に訪問し、健康相談や薬の管理を行う

このように丁寧な薬学管理と指導を行い、これらの内容をきちんと記録しておく必要があります。

ブラウンバッグ運動に関する説明

ブラウンバッグ運動とは、薬局で準備した専用の袋(ブラウンバッグ)に、残薬や併用薬などを薬局に持ってきてもらうことです。 この取り組みを行うことで、医療費の削減や誤った服薬、残薬の理由を明らかにして​​処方医に疑義照会・提案するなど、患者さんが安心して服薬できるようにする取り組みであることを説明して、ブラウンバッグ運動を浸透させていきましょう。

お薬手帳にかかりつけ薬剤師・薬局に関する情報を記載

患者さん1人に対してかかりつけ薬剤師になれるのは1人だけなので、お薬手帳にかかりつけ薬剤師・薬局に関する情報を記載する必要があります。 また、他の医療機関や薬局でも一元的かつ継続的に服用中の薬剤が確認できるように、患者さんの意向を確認した上で、服薬指導などの内容についてもお薬手帳に記載します。

かかりつけ薬剤師が不在時の対応を徹底

かかりつけ薬剤師になると、薬局が開いていない時間帯・勤務日以外にも患者さんの相談に対応する必要があるため、いつでも対応できるように体制を整えておく必要があります。

例えば、かかりつけ薬剤師の勤務日程を伝えたり、速やかに折り返しの連絡ができるように体制を整えるなど、患者さんが安心して利用できるようにしておくことが大切です。

施設要件

次に、かかりつけ薬剤師になるための条件や施設の基準を解説していきます。

薬剤師の勤務条件を満たしていること

かかりつけ薬剤師になるためには以下の条件を満たしている必要があります。

  • 保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験がある
  • 当該薬局で週32時間以上勤務している。ただし、育児・介護休業法の規定により労働時間が短縮された場合は、週 24時間以上かつ週4日以上であればOK
  • 施設基準の届出時点で、届出を出す薬局に継続して1年以上在籍している

プライバシー管理が適切に行われていること

服薬指導等の内容が他の患者さんに聞こえてしまわないように、パーテーションで仕切るなどのプライバシー管理を行いましょう。

研修認定を取得していること

かかりつけ薬剤師になるには、薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得している必要があります。研修認定を取得することで、薬剤師としての基本的な知識や技能に加えて、倫理・基礎薬学・医療薬学・衛生薬学及び薬事関連法規・制度といった、より高い専門性を持っていることを示すことができます。

地域の取り組みに参画していること

地域の取り組みへの参画とは以下の内容が該当します。

  • 地域の行政機関や医療関係団体等が主催する住民への説明会・相談会
  • 研修会等への参加や講演
  • 学校薬剤師として児童・生徒に対する医薬品の適正使用等の講演
  • 行政機関や地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力のもとで実施している休日夜間薬局としての対応、休日夜間診療所への派遣

厚生局への届出は必要

施設基準を満たしていれば、地方厚生局の様式90『かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に係る届出書添付書類』を提出してください。

施設要件かかりつけ薬剤師包括管理料とは

かかりつけ薬剤師包括管理料とは、薬剤師指導料と同様に、医師と連携して服薬状況を一元的かつ継続的に把握した上で、服薬指導などを行った場合に算定できる指導料ですが、対象の患者さんが異なります。

かかりつけ薬剤師包括管理料の対象となる患者さんは、医療機関で「地域包括診療加算または認知症地域包括診療加算」または「地域包括診療料または認知症地域包括診療料」を算定していることが要件となります。

また、かかりつけ薬剤師包括管理料を算定する場合は、その都度服薬指導の内容の情報提供や処方提案を医師へ行います。

かかりつけ薬剤師指導料と同時算定できない薬学管理料

かかりつけ薬剤師指導料は同時算定できない薬学管理料と、算定できる薬学管理料があるので確認していきましょう。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

薬剤師コラム編集部の画像

薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

キーワード一覧

調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

この記事の関連記事

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット 医療クイズ 診療報酬改定 ebm 感染症対策 薬剤師あるある