リフィル処方箋とは?処方箋の流れと薬剤師の役割を徹底解説

令和4年度に導入されたリフィル処方箋ですが、まだ目にしたことがないという薬剤師さんも少なくないかもしれません。リフィル処方箋とは、症状が安定している患者さんに対して、繰り返し使用できるものですが、処方箋を受ける際の流れと薬剤師の役割についてわからないという方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、リフィル処方箋の詳細と薬剤師の役割について解説していきます。
リフィル処方箋とは
リフィル処方箋とは、症状が安定している患者さんに対して、医師の処方により一定期間内に最大3回まで繰り返し使用できる処方箋です。リフィル処方は、医療費の削減・再診の効率化・患者さんの負担軽減を目指し、令和4年度に導入されました。
リフィル処方箋には期限が設けられており、1回目の調剤は発行日を含めて4日以内、2回目以降は「次回調剤予定日」の前後7日間です。期限を過ぎてしまうとその処方箋は無効となり、患者さんは医師の診察を受けるか処方箋の再発行が必要となります。また、リフィル処方箋をなくした場合も同様なので、患者さんにしっかりと注意事項を説明しましょう。
参考:保険調剤の理解のために(令和6年度) /厚生労働省
分割調剤との違い
分割調剤とは、処方箋に書かれた日数分の調剤を最大3回まで分けて調剤・提供する方法です。
分割調剤が行われるケースは以下のとおりです。
- 長期保存が困難な薬剤の処方
- ジェネリック医薬品を試す
- 医師の指示による場合
このように、リフィル処方箋と分割調剤とでは、対象となる患者さんや薬の受け取り方が異なるので注意してください。
リフィル処方箋の使用の流れと薬剤師の役割
リフィル処方箋をみたことがないという薬剤師さんも少なくないと思いますので、どのような流れでリフィル処方箋を取り扱うのか、また薬剤師さんはどのような役割を担う必要があるのかということを確認していきましょう。
1. リフィル処方箋の記載事項を確認
リフィル処方の場合、処方箋の「リフィル可」の欄にレ点が記載されているので、使用回数と共に確認しましょう。(上限3回まで)もし、手書きで記載がある場合は偽造がないか医師に確認してください。
2. リフィル処方箋の使用期間を確認
リフィル処方箋は、1回目の調剤は発行日を含めて4日以内、2回目以降は「次回調剤予定日」の前後7日間となっています。
たとえば、次回調剤予定日が6月 13 日である場合、次回調剤予定日を含まない前後7日間の6月6日から6月 20 日までの間、リフィル処方箋による調剤を行うことが可能です。
使用期間が有効かどうか確認してから調剤を行うようにしましょう。
引用元:疑義解釈資料の送付について(その1) 令和4年3月31日 /厚生労働省
3. 対象外となる薬剤の有無を確認
リフィル処方箋では、新薬や麻薬・向精神薬・湿布薬など、一部のお薬は処方ができません。投薬量に限度が定められている医薬品は処方できないので、対象外の医薬品が含まれていないか確認してください。
4. リフィル処方箋へ必要事項の記入および調剤録の作成
リフィル処方箋の所定の欄に、調剤日と次回調剤予定日を記入してください。また、調剤を行った薬局名及び薬剤師の氏名を余白か裏面に記載します。調剤録には、リフィル処方箋の写しを保管し、調剤済みの場合は原本を保管してください。
5. 患者にリフィル処方箋の取り扱いおよび次回調剤日について説明
リフィル処方箋は、期限を過ぎてしまうと無効となり、患者さんは医師の診察を受けるか処方箋の再発行が必要となります。その旨を説明し、次回調剤日と処方箋の保管について説明してください。
6. リフィル処方箋、調剤録を適切に保管
リフィル処方箋と調剤録は、薬担規則第6条により完結した日から3年間保存しなければなりません。
7. 必要に応じて医療機関に情報提供
リフィル処方箋において、患者さんの服薬状況や健康状態に変化がある場合は、医師へ情報提供を行うことが望ましいでしょう。また患者さんにも受診を勧めるなどして、リフィル処方による健康被害のないように努めてください。
参考:保険調剤の理解のために(令和6年度) /厚生労働省
リフィル処方箋のメリット・デメリット
リフィル処方箋にはどのようなメリット・デメリットがあるのか確認していきましょう。
リフィル処方箋のメリット
再診による医師の業務負担軽減と医療費の削減
リフィル処方箋を症状が安定している患者さんに対して活用することで、再診の回数を抑制し医師の業務負担を大幅に軽減することが可能です。また、患者さんの受診回数が減ることで医療費の削減にも繋がります。
薬剤師も患者さんの服薬状況を管理しやすくなり、残薬の減少に繋がることも期待されています。
患者さんの通院の負担軽減
症状が安定している患者さんにとって、診察を受けるための時間の負担や、医療費や交通費の負担を削減することも大きなメリットといえるでしょう。