【2024年度改定版】外来服薬支援料1の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

外来服薬支援料1は地域支援体制加算の実績要件の一つでもあり、算定を目指したい項目である一方、なかなか件数が伸びていない薬局も少なくないでしょう。
本記事では算定要件や注1・2について、外来服薬支援料2との違いおよび具体的に必要となる取り組み内容についてわかりやすく解説していきますので、参考にしてみてください。
外来服薬支援料1とは
外来服薬支援料1とは、自身での服薬管理が難しい患者に対して、薬剤師が一包化やお薬カレンダーの活用など、日常の服薬をしやすくするために特別な支援を行うことで算定できる薬学管理料です。
近年は高齢化が進み、複数の医療機関を受診したり、服用する薬の種類が増えたりする患者が多く、服薬管理が難しいケースが少なくありません。
こうした患者に対して、飲み忘れや飲み間違いを防ぐために、処方箋の受付があるかどうかに関わらず、薬剤師が行う服薬支援の取り組みを評価する項目として、外来服薬支援料1が設けられています。
参照:調剤報酬点数表に関する事項/厚生労働省
2024年度診療報酬改定の変更点
2024年度の診療報酬改定において、特別調剤基本料にAとBの2区分が設けられました。特別調剤基本料Aはいわゆる敷地内薬局、特別調剤基本料Bは基本料の届出をしていない薬局が算定するものです。
特別調剤基本料Aを算定する薬局では、同一敷地内にある医療機関に対して情報提供をした場合(外来服薬支援料1の注2)を算定することができません。
また、特別調剤基本料Bを算定する薬局では、いずれの場合も外来服薬支援料1を算定することはできません。
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
特別調剤基本料の算定要件についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
地域支援体制加算の実績要件にもなっている
外来服薬支援料1は、以下の通り地域支援体制加算の実績要件の一つになっています。
地域支援体制加算とは、地域の医療を支える薬局の取り組みを評価するものであり、薬局のかかりつけ機能や、医療機関・高齢者施設との連携、在宅医療といった地域医療への貢献度を測るものです。
地域支援体制加算を算定する上での実績要件は多くありますが、そのうちの一つである外来服薬支援料1の算定件数は以下の通りです。
地域支援体制加算算定のための外来服薬支援料1の実績
地域支援体制加算の区分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
算定点数 | 32点 | 40点 | 10点 | 32点 |
外来服薬支援料1の実績 | 1回以上 | 12回以上 |
地域支援体制加算の区分によって、算定できる点数は異なり、薬局運営にも大きく影響をしますので、積極的に外来服薬支援料1の算定を目指して行きましょう。
地域支援体制加算の算定要件についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
外来服薬支援料1の算定要件
ここからは、外来服薬支援料1の算定要件を確認していきましょう。主な要件は以下のとおりです。
外来服薬支援料1の算定要件
対象患者 | 自己による服薬管理が困難な外来の患者 |
対象薬剤 | 持参した服薬中の薬剤 |
実施のきっかけ | 患者もしくは家族等、または医療機関の求めに応じる |
算定条件 | 治療上の必要性および服薬管理に係る支援の必要性を判断し、 日々の服薬管理が容易になるよう支援(一包化や服薬カレンダー 等の活用により薬剤を整理) |
医師の指示等 | ・処方医に必要性について了解を得る(注1) ・支援後に服薬管理の結果を処方医に情報提供(注2) |
点数 | 185点(月1回まで) |
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
外来服薬支援料1は医師へ事前に了承をとるか、後ほど情報提供をするかによって、その算定方法が「注1」「注2」と分かれており、要件を満たせばどちらでも算定可能ですが、合わせて月に1回までとなります。
他の算定項目は基本的に処方箋調剤が前提ですが、外来服薬支援料1は薬局でその患者の処方箋調剤をしている必要はありません。
ここからは、注1と注2のそれぞれの算定要件や注意点を確認していきましょう。
注1 処方医の了解を得た上で服薬支援した場合
外来服薬支援料1の「注1」は、服薬支援を行う前にその必要性について医師に了解を得た場合に算定することができます。具体的な実施内容は以下のとおりです。
注1を算定する流れ・ポイント
① 他の薬局で調剤された薬剤や院内投薬された薬剤を服用していないか確認し、全ての薬をまとめて一包化および服薬カレンダー等の活用 により整理するよう努める。
② 重複投薬、相互作用等の有無を確認し、処方医に服薬支援に関する照会をおこなう。
③ 他の薬局で調剤された薬剤または院内投薬された薬剤のみについて服薬支援を行うこととなった場合でも算定が可能。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
注2 服薬支援後に処方医へ情報提供した場合
「注2」の場合は、事前の処方医への照会なしに薬剤師の判断で実施可能ですが、服薬支援後に情報提供を行う必要があります。
注2を算定する流れ・ポイント
① 患者や家族が服用中の薬剤を薬局に持参。
② 一包化等の服薬管理を行い、その結果を関係する医療機関へ情報提供。
③ あらかじめ患者またはその家族等に対して、残薬や服用中の薬を入れるための袋等を提供し、患者等が薬剤等を持参することで服薬管理 を行う取り組み(いわゆるブラウンバッグ運動)を周知しておく必要がある。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
薬剤服用歴への記載事項
外来服薬支援料1を算定するためには、以下の内容を薬剤服用歴に記載する必要があります。
薬剤服用歴への記載事項
- 服薬支援に係る薬剤の処方医の了承を得た旨(注1の場合)
- 情報提供した内容(注2の場合)
- 当該薬剤の名称
- 服薬支援の内容および理由
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
外来服薬支援料1の算定要件に関してはこちらの関連する記事もご覧ください。
外来服薬支援料1を算定できる服薬支援とは
ここからは、具体的にどのような服薬支援を行うことで外来服薬支援料1を算定できるのか、その内容をみていきましょう。
外来服薬支援料1を算定できるのは、主に以下の4パターンです。
①持参した薬を一包化する
服用薬の種類が多い患者や、複数の医療機関から処方がある患者に対し、薬局で一元的に管理をし、一包化した場合には、外来服薬支援料1を算定することができます。
処方箋を持参していない薬についても、患者や家族が持参した薬について薬局で一包化を行った場合は算定できますので、お薬手帳などをみて併用薬が多い患者には声かけをしてみるとようでしょう。
② お薬カレンダーを提供し活用する
薬局でお薬カレンダーを提供し、服薬支援を行うことでも外来服薬支援料を算定することができます。
1日の服用回数が多い患者や、隔日投与など用法が複雑な患者にとって、お薬カレンダーを活用した服薬管理は飲み忘れ防止に効果的です。
また、飲み忘れがあった場合にも、どの薬を飲み忘れてしまったのかが把握がしやすくなるため、治療効果の向上や安全性の確保と言った面でも、お薬カレンダーの使用は有用だといえるでしょう。
③ ブラウンバッグ運動を通じて服薬管理を実施する
ブラウンバッグ運動とは、薬局で患者に袋を提供し、残薬や日常的に服用している薬を持ってきてもらう活動です。残薬を減らしたり、服薬状況を把握したりすることによるアドヒアランス向上を目的としています。
あらかじめ袋を提供したことで患者が薬を持参し、服用薬の整理等につなげることができた場合には、外来服薬支援料1が算定可能です。
その後医療機関へ服薬管理の結果を情報提供することも、忘れずにおこなうようにしましょう。
④ 患者宅を訪問して服用薬の整理等を行う
薬剤師が患者宅を訪問し、服用薬の整理等を行った場合でも算定するができます。残薬がたくさんある患者や、自宅での適切な管理方法がわからずコンプライアンス不良の患者など、実際に薬剤師が患者宅に出向いて薬の整理等を行うことで服薬が容易になる場合がありますので、提案してみると良いでしょう。
訪問に要した交通費(実費)は患家の負担となりますので、費用に関する説明も事前に丁寧に行うことが重要です。
外来服薬支援料1を算定する上での注意点
ここからは、外来服薬支援料1を算定する際の注意点について確認してみましょう。