【2024年度改定版】服用薬剤調整支援料1・2の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

近年、高齢者のポリファーマシーは、医療における大きな課題のひとつとされています。そうした中で、薬剤師による減薬の提案や服薬内容の見直しに注目が集まっており、その取り組みを評価する「服用薬剤調整支援料」の算定にも期待が高まっています。
本記事では、服用薬剤調整支援料1と2の違いや算定要件、注意点をわかりやすく解説していますので、算定を目指す際の参考にしてみてください。
服用薬剤調整支援料とは
服用薬剤調整支援料とは、多剤併用患者を対象としたポリファーマシーや重複投薬解消を目的とした評価項目です。
服用薬剤調整支援料には1と2があり、いずれも多剤服用中の患者に対する取り組みを評価するものですが、それぞれの算定要件の違いを正しく理解していく必要があります。
服用薬剤調整支援料は、薬局機能の評価基準となる地域支援体制加算を算定する際の実績要件の一つでもあり、対人業務として今後さらに重要視されていくでしょう。
服用薬剤調整支援料1と2の違い
服用薬剤調整支援料1・2の大きな違いは、その目的および減薬した結果が必要かどうかです。
服用薬剤調整支援料1 | 服用薬剤調整支援料2 | |
目的 | ポリファーマシーの解消 | 重複投薬の解消 |
減薬の結果 | あり | なし |
このように、それぞれの目的にあわせた内容で減薬提案をおこなっていくことが求められています。
また服用薬剤調整支援料1は、薬剤師がおこなった減薬提案により、その後実際に減薬となった結果が要件の一つとして定められているため、服用薬剤調整支援料2に比べて算定のハードルは高めといえるでしょう。
服用薬剤調整支援料の算定要件
服用薬剤調整支援料1・2の主な算定要件は以下の通りです。
服用薬剤調整支援料1 | 服用薬剤調整支援料2 | |
算定対象患者 |
服用開始後4週間以上経過した内服薬6種類以上を 薬局で調剤している患者 |
複数の医療機関から内服薬を 6種類以上処方されている患者 |
目的 | ポリファーマシーの解消 | 重複投薬の解消 |
算定点数 | 125点(月1回) | イ 施設基準を満たす場合110点 ロ イ以外90点(3ヶ月に1回) |
算定要件 | 当該保険薬局で調剤している当該内服薬の種類数が 2種類以上(うち少なくとも1種類は当該保険薬局の 保険薬剤師が提案したものとする。) 減少し、その状態が4週間以上継続した場合 |
重複投薬解消のための取り組み をおこなった場合 |
医師への提案 | 文書にて減薬提案 | 文書にて重複投薬解消の提案 |
患者の意向 | 確認の必要あり | 確認の必要あり |
減薬の必要性 | あり | なし |
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
服用薬剤調整支援料の算定に関してさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
服用薬剤調整支援料1・2のどちらも、算定対象となるのは内服薬を6種類以上服用している患者です。内服薬の種類数の数え方が重要となりますので、どのように数えていくのか確認していきましょう。
内服薬の種類の数え方
服用薬剤調整支援料の算定対象となる内服薬の種類数に含まれるものは以下の通りです。
内服薬の種類数に含まれるもの
以下の薬を1銘柄ごとに1種類として計算します。
- 錠剤
- カプセル剤
- 散剤
- 顆粒剤
- 液剤
一方で、内服薬を数える際に含めないものは以下のとおりです。
内服薬の種類数に含まれないもの
- 屯服薬
- 浸煎薬、湯薬
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)平成30年3月30日 /厚生労働省
服用薬剤調整支援料と併算定不可の項目
服用薬剤調整支援料は一部の調剤技術料および薬学管理料との併算定ができません。1と2で異なる項目がありますので、それぞれ確認していきましょう。
服用薬剤調整支援料1と併算定不可
- かかりつけ薬剤師包括管理料
- 特別調剤基本料B
- 重複投薬・相互作用等防止加算 ※
- 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料 ※
※重複投薬・相互作用等防止加算、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料については、服用薬剤調整支援料1に係る提案をおこなった直後に受け付けた当該処方医の処方箋が、提案内容と同じ処方内容だった場合は算定できないとされています。
服用薬剤調整支援料2と併算定不可
- かかりつけ薬剤師包括管理料
- 特別調剤基本料B
- 服薬情報等提供料 ※1
- 特別調剤基本料A ※2
※1:服用薬剤調整支援料2の算定に係る医療機関へ情報提供した場合
※2:不動産取引等その他特別な関係のある医療機関へ情報提供した場合
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
服用薬剤調整支援料1・2の違いについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
ここからは、服用薬剤調整支援料1と2について、それぞれを算定する際の注意点を確認していきましょう。
服用薬剤調整支援料1の注意点
服用薬剤調整支援料1に関しては、以下の2点に注意が必要です。
算定のタイミングは減薬状態で4週間経過後
服用薬剤調整支援料1を算定するタイミングは、薬剤師が医師に文書にて減薬の提案を行い、その後2種類以上の内服薬が減薬した状態で4週間以上継続したときです。
減薬後すぐに算定ができるわけではないので注意しましょう。
ただし、服用薬剤調整支援料1は2種類以上の薬剤を同時に減薬していない場合でも算定が可能です。減薬の提案以降2種類以上の減薬がされ、どちらも減薬後4週間以上継続した時点で服用薬剤調整支援料1が算定できます。
算定対象外の薬剤は内服薬1種類として数えない
内服薬の種類の数え方として、先ほど示した2種類の他にも服用薬剤調整支援料1の場合は対象外となる薬がありますので注意が必要です。(以下★)
内服薬の種類数に含まれないもの
- 屯服薬
- 浸煎薬、湯薬
★内服薬の服用を開始して4週間以内の薬剤
★調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤や内服薬以外の薬剤への変更を保険薬剤師が提案したことで減少した場合は、減少した種類数に含めない
2種類以上の内服薬が減薬となる必要がありますが、そのうち少なくとも1種類は薬剤師が提案したものでなければいけないという決まりもあります。
提案した以外の薬で2種類減薬になった場合は、算定できませんので注意しましょう。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)平成30年3月30日 /厚生労働省
服用薬剤調整支援料1を算定しやすい症例についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
服用薬剤調整支援料2の注意点
服用薬剤調整支援料 2を算定する上で注意するべきことは主に以下の2点です。