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調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年7月3日 薬剤師コラム編集部

【2024年度改定版】服薬情報等提供料2の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

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薬局が地域と連携していくなかで、専門性を活かした積極的な情報提供への期待が寄せられており、2024年度の診療報酬改定では「服薬情報等提供料2」について大きな見直しが行われました。
本記事では、今回の改定で新設されたイ・ロ・ハの3区分を中心に、服薬情報等提供料2の算定要件や注意点についてわかりやすく解説します。

服薬情報等提供料2とは

服薬情報等提供料2とは、薬剤師が患者の服薬状況等を薬学的に分析にし、薬学的管理に必要な情報を、患者の同意を得た上で処方医へ提供した場合に算定できる薬学管理料です。

服薬情報等提供料には1・2・3の3種類があり、それぞれ以下のとおり目的や提出先が異なります。

服薬情報等提供料1 医療機関からの依頼に基づく情報提供
服薬情報等提供料2 薬剤師の判断で必要とされた情報提供
服薬情報等提供料3 患者が入院予定の医療機関からの依頼に基づく情報提供

服薬情報等提供料1・3は医療機関からの求めを受けて情報提供をおこなうのに対し、服薬情報等提供料2は薬剤師の判断で自主的に実施した場合に算定が可能です。

ただし、いずれの場合も「トレーシングレポート」とよばれる情報提供書を使用する点は共通しています。

参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

トレーシングレポートとは

トレーシングレポートとは、薬局の薬剤師が患者の服薬状況や副作用の有無、残薬の状況、アドヒアランスなどを確認し、その情報を処方医にフィードバックする報告書のことです。
患者の服薬状況を医師と共有し、薬物治療をより効果的に安全に行っていくために活用されます。

疑義照会をするほどの緊急性を要する内容ではないものの、医師と共有する必要がある情報については積極的にトレーシングレポートを利用していくと良いでしょう。

2024年度診療報酬改定における変更点

2024年度の診療報酬改定において、服薬情報等提供料2に関しては多くの変更が加えられました。主な変更内容は以下の5点です。

1)歯科医師への情報提供が算定対象に

従来の算定要件では明記されていなかった、歯科医への情報提供が今回の改定では算定対象となりました。

特に抗血小板薬やビスフォスフォネート製剤等を服用中の患者は、歯科治療の際に中止が必要となることもあるため、確実に情報共有ができるよう、情報提供書を活用していくと良いでしょう。

2)処方箋を発行していない医療機関への情報提供後、処方元へも情報提供を実施

処方箋を発行していない保険医療機関の医師又は歯科医師に対して服薬情報等の提供を行った場合は、必要に応じて処方箋を発行した医療機関の医師又は歯科医師に対して同様の服薬情報等を提供することが必要になりました。

この場合、当該保険医療機関の医師または歯科医師ごとに月1回に限り服薬情報等提供料2が算定可能です。

3)残薬の状況報告はその後の対策もあわせて記載

残薬に係る情報提供に関しては、単に確認された残薬の状況を記載するだけではなく、その後の残薬が生じないために必要な内容を併せて記載するとともに、情報提供後の服薬状況も継続して把握しておくことが求められるようになりました。

4)イ・ロ・ハの3区分が新設

服薬情報等提供料2に関して、以下のとおりイ・ロ・ハの3区分が新設されました。

(イ)保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合
(ロ)リフィル処方箋に基づく調剤後、処方医に必要な情報を文書により提供した場合
(ハ)介護支援専門員に必要な情報を文書により提供した場合

2024年度診療報酬改定における服薬情報等提供料2に関する大きな変更点として、情報提供先に介護支援専門員や、リフィル処方箋調剤に伴う医療機関が加えられたことです。

地域包括ケアシステムの推進に向けた地域との連携もますます期待される中、服薬情報等提供料2の算定対象が拡大されました。

5)電話対応による算定が不可に

以下のとおり従来の服薬情報等提供料2において定められていた、患者や家族への情報提供に関する要件が削除となりました。

削除となった要件

  • 情報提供理由として「患者や患者家族等の求め」
  • 情報提供先として「患者もしくはその家族等」
  • 「これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること」の条件

これに伴い、以前は算定が可能だった患者からの電話相談に対応した場合の服薬情報等提供料2の算定が、今回の改定以降はできなくなりました。
ただし、電話相談後に医療機関もしくは介護支援専門員に文書で情報提供した場合は算定が可能です。

参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省

2024年度診療報酬改定における服薬情報等提供料に関する変更点をさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

服薬情報等提供料2の算定要件

2024年度診療報酬改定における変更点を踏まえた上で、現在の服薬情報等提供料2の主な算定要件は以下のとおりです。

服薬情報等提供料2の主な算定要件

算定点数 20点
算定上限回数 医師または歯科医師ごとに月1回まで
※介護支援専門員もしくは医療機関への情報提供はそれぞれ別で
算定可能
患者の同意 必要
医療機関
の求め
不要
(薬剤師によって必要と認めた場合に実施可能)
情報提供先 イ 保険医療機関
ロ リフィル処方箋の処方医
ハ 介護支援専門員
情報提供方法 文書

参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省

今回新設された3区分(イ)(ロ)(ハ)について、細かい要件および必要な実施事項を確認していきましょう。

(イ) 保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合

薬剤師が患者に関する情報提供をおこなう必要があると判断した場合、患者の同意を得た上で処方箋を発行した医療機関に対して情報提供することで算定が可能です。

処方箋を発行した医療機関だけでなく、歯科医療機関に対して他の医療機関の処方に基づく内容の情報提供を行なった場合も算定対象となります。

(ロ) リフィル処方箋に基づく調剤後、処方医に必要な情報を文書により提供した場合

薬剤師がリフィル処方箋に基づく調剤後、処方医に対して当該患者の服薬状況等について文書により提供した場合に算定が可能です。

リフィル処方箋とは、症状が安定している患者に対して、一定期間内に最大3回まで反復利用できる処方箋のことであり、医師の診察なしでも薬が受け取ることができます。
患者の通院における負担を減らすというメリットがある一方、医師による健康状態の確認頻度が少なくなり、症状の変化等の発見の遅れにつながる可能性があります。

そのため、受診がない期間の患者の服薬状況や健康状態について薬剤師が確認し、処方医に文書で情報提供を行うことは、患者の健康管理のために重要であるといえるでしょう。

リフィル処方箋についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

(ハ) 介護支援専門員に必要な情報を文書により提供した場合

薬剤師が患者に関する情報提供の必要性があると判断した場合、患者の同意を得た上で処方箋を発行した介護支援専門員に対して情報提供することでも算定が可能です。

ただし、介護支援専門員が関与している患者は、要介護または要支援認定を受けた患者であり、在宅医療を受けている方もいるでしょう。その場合、居宅療養管理指導を実施した同一月には服薬情報等提供料2を算定できないため注意が必要です。

介護支援専門員への情報提供については、「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」を参照し、別添の報告書様式や薬学的評価シートも参考に、患者の生活様式を踏まえた薬学的分析も求められています。

なお、介護支援専門員へ情報提供した場合であって、処方箋を発行した医療機関の医師や歯科医師へ同様の情報提供をした場合には、服薬情報等提供料2を別に算定が可能です。

参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省

情報提供書の書式と記載内容

情報提供には別紙様式1-1 もしくは別紙様式1-2 を使用しましょう。また、(イ)および(ハ)を算定する際には以下の内容を記載することとされています。

情報提供書への記載内容

ア 患者の服用薬及び服薬状況
イ 患者に対する服薬指導の要点
ウ 服薬期間中の患者の状態の変化等、自覚症状がある場合はその原因の可能性がある薬剤の推定
エ 当該患者が容易に又は継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報
  ※処方箋の記入上の疑義照会等では算定できない。

参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

ウに関しては、患者の自覚症状が 薬剤の副作用によるものか否かに関する分析結果を踏まえて服薬指導し、当該分析及び指導の要点を情報提供することが重要です。患者の自覚症状の分析に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マ ニュアル/厚生労働省」等を参考とすることが望ましいとされています。

また、報告した内容は薬剤服用歴にも忘れずに記録を残すようにしましょう。

服薬情報等提供料2を算定する際の注意点

ここからは、服薬情報等提供料2を算定する際の注意点を確認していきましょう。

算定のタイミングと上限回数に関するルール

服薬情報等提供料2は、原則月1回に限り算定が可能であり、通常トレーシングレポートを提出した次回来局時に算定します。

ただし、上限回数に関しては以下のようなルールが設けられており、場合によっては月に複数回算定できるケースもありますので、確認しておきましょう。

算定上限回数のルール

  • 患者1人につき同一月に2回以上服薬情報等の提供を行ったとしても、月1回のみの算定。
  • 複数の保険医療機関の医師または歯科医師に対して服薬情報等の提供を行った場合は、医師または歯科医師ごとに月1回に限り算定可能。
  • 処方箋を発行していない保険医療機関の医師または歯科医師に対して服薬情報等の提供を行った場合は、必要に応じて処方箋を発行した医療機関の医師又は歯科医師に対して同様の服薬情報等を提供することで、医師又は歯科医師ごとに月1回に限り算定が可能。

参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

「本人の同意」を得る必要あり

薬局から医療機関への情報提供といった、個人情報を第三者へ提供する場合は、個人情報保護法により、「本人の同意」が義務付けられています。
本人の同意が得られたとみなすには、以下の条件を満たす必要があります。

同意の条件

①適切な医療サービスを提供する目的において個人情報の利用範囲を施設内への掲示している場合
要配慮個人情報を書面又は口頭等により本人から適正に直接取得する場合

出典:厚生労働分野における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン等 / /厚生労働省

服薬情報等提供料2と他の項目の併算定

以下の薬学管理料とは同一月内に算定が可能です。

同一月内に算定可能な薬学管理料

  • 服薬管理指導料
  • 重複投薬・相互作用等防止加算
  • 調剤管理加算医療情報取得加算
  • 麻薬管理指導加算
  • 特定薬剤管理指導加算1・2※・3
  • 乳幼児服薬指導加算
  • 小児特定加算
  • 吸入薬指導加算※
  • 外来服薬支援料1・2
  • 服用薬剤調整支援料1・2※
  • 調剤後薬剤管理指導料1※・2※
  • 経管投薬支援料

※の5項目の算定に係る医療機関への情報提供については、服薬情報等提供料を算定不可。

一方で、服薬情報等提供料2と同時算定できない薬学管理料・調剤基本料は以下のとおりです。

同時算定ができない項目

〈薬学管理料〉

  • かかりつけ薬剤師指導料
  • かかりつけ薬剤師包括管理料
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者オンライン薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急時等共同指導料

〈調剤基本料〉

  • 特別調剤基本料A※
  • 特別調剤基本料B

※敷地内薬局から敷地内医療機関への情報提供の場合は不可。

かかりつけ薬剤師指導料等を算定している場合、服薬情報等提供料2は算定できませんが、地域支援体制加算の実績要件のカウントには加えることが可能です。

参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

服薬情報等提供料1・3の違い

先ほどもお伝えしたとおり、服薬情報等提供料には1・2・3の3種類があり、目的や情報提供書の提出先などが異なります。

服薬情報等提供料1・3の主な算定要件

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薬剤師コラム編集部

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