【2024年度改定版】乳幼児加算(在宅)の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

在宅医療の普及に伴い、自宅で療養を続ける乳幼児の患者によるサービスの利用も増えてきています。
ただ、乳幼児加算の算定頻度はあまり高くないため、その要件を正しく理解しきれていない方もいるかもしれません。本記事では算定要件や、乳幼児に対するその他の加算項目との違いについて解説していきますので、依頼を受けた際にスムーズに算定ができるようになっていきましょう。
乳幼児加算とは
乳幼児加算とは、在宅にて療養を続ける乳幼児の患者に対して、適切な薬学的管理を実施した際に、算定が可能な薬学管理料です。
治療に際し、乳幼児や製剤の特性を踏まえた上での支援が重要であり、薬剤師が専門性を発揮し、安全かつ容易に服薬できるように行った取り組みが評価の対象となります。
乳幼児加算の算定要件
乳幼児加算は、「6際未満の乳幼児またはその家族などに対して、患家を訪問して必要な薬学的管理および指導をおこなった場合に、1回に限って算定できる。」と定められています。
具体的な算定要件は以下の通りです。
乳幼児加算の算定要件
算定対象患者 | 通院が困難なため在宅で療養をおこなっている6歳未満の乳幼児 | |
加算対象項目 と点数 |
在宅患者訪問薬剤管理指導料 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 在宅患者緊急時等共同指導料 |
100点 |
在宅患者オンライン服薬管理指導料 在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料 |
12点 | |
算定上限回数 | 薬学的管理指導1回につき算定可能 | |
算定条件 | 1)体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認 2) 患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の 必要な服薬支援を実施 |
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
乳幼児加算の対象となる在宅関連の指導料
乳幼児加算の対象となるのは、通院が困難なため在宅で療養を続けている場合であり、全ての患者に対して在宅関連の指導料を算定しています。
先ほど述べた5種類の指導料が加算の対象であり、それぞれの主な算定要件と違いについてみていきましょう。
なお、乳幼児加算の算定回数は、指導料の算定上限回数に合わせたものになります。
在宅患者訪問薬剤管理指導料 / 在宅患者オンライン薬剤管理指導料
在宅患者訪問薬剤管理指導料とは、自力での通院が難しく、在宅で療養を続けている方に対して、薬剤師が定期的に患者の自宅を訪問し、薬歴管理や服薬指導などをおこなうことで算定できる薬学管理料です。
オンライン服薬指導をおこなった場合は、在宅患者オンライン薬剤管理指導料を算定します。
在宅患者訪問薬剤管理指導料 / 在宅患者オンライン薬剤管理指導料の算定要件
算定対象患者 | 自力での通院が難しく、在宅で療養を続けている方 | |
算定点数 | 在宅患者訪問薬剤管理指導料 | 在宅患者オンライン薬剤管理指導料 |
単一建物診療患者数: 1人 650点 2〜9人 320点 10人以上 290点 |
59点 (単一建物診療患者数の規定なし) |
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算定上限回数 |
月に4回まで、薬剤師1人につき週40回まで ただし以下の患者に対しては週2回、月8回まで ・末期の悪性腫瘍の患者 ・注射による麻薬投与が必要な患者 ・中心静脈栄養法の患者 |
|
医師の指示 | 必要 | |
算定条件 | 1) あらかじめ地方厚生(支)局長に届出を行う 2) 医師からの指示をうけ、薬学的管理指導計画書を作成する 3)患者宅を訪問(もしくはオンライン)し、薬学的管理指導を行う 4)薬歴に必要事項を記載し、薬学的管理指導計画の見直しを行う 5) 訪問結果について、医師に文書で情報提供を行う |
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定要件についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 / 在宅患者緊急オンライン服薬管理指導料
在宅医療を受けている患者の急変等に対応するため、医師の指示で薬局の薬剤師が緊急で訪問し、適切な薬学的管理や服薬指導を行った場合に算定できる点数のことです。
2024年度の診療報酬改定では新型コロナウイルス等の新興感染症に対応した際も算定が可能となりました。
定期的な訪問の場合と同じく、オンラインで服薬指導を緊急で実施した場合も算定が可能です。
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 / 在宅患者緊急オンライン服薬管理指導料の算定要件
算定対象 患者 |
自力での通院が難しく、在宅で療養を続けている方 | |
算定点数 | 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 | 在宅患者緊急オンライン 薬剤管理指導料 |
計画的な訪問薬剤管理指導に係る 疾患の急変に伴うもの 500点 それ以外 200点 |
59点 | |
算定上限 回数 |
月に4回までただし以下の患者に対しては月8回まで ・末期の悪性腫瘍の患者 ・注射による麻薬投与が必要な患者 |
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医師の指示 | 必要 | |
算定条件 | 1) 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が対応する 2) 対象患者の急変等の状況下である 3)計画的な訪問薬剤管理指導とは別に緊急に訪問し、 薬学的管理指導を実施する 4) 指示を行った医師に対し、訪問結果について文書にて情報提供を行う |
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
在宅患者緊急時等共同指導料
在宅患者緊急時等共同指導料とは、在宅で療養を行っている患者の急変や診療方針に変更があった際に、医療関係職種などが共同でカンファレンスを実施し、情報共有をした上で今後の治療方針等を立てていく取り組みを評価するものです。
在宅患者緊急時等共同指導料
算定対象 患者 |
自力での通院が難しく、在宅で療養を続けている方 |
算定点数 | 700点 |
算定上限 回数 |
月2回まで (カンファレンスおよびそれに基づく薬学的管理指導1回につき1回のみ) |
医師の指示 | 必要 |
算定条件 | 1) 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が対応する 2) 対象患者の急変や診療方針の変更等の状況下である 3)他職種と共同でカンファレンスに参加する 4) カンファレンスで共有した情報と結果をふまえ、薬学的管理指導を行う 5) 指示を行った医師に対し、訪問結果について文書にて情報提供を行う |
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
乳幼児が対象となる他の算定項目との違い
ここからは、乳幼児加算の算定対象である、6歳未満の患者に対して算定が可能な他の項目との違いを解説していきます。