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調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年7月4日 薬剤師コラム編集部

【2024年度改定版】在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

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在宅医療を利用する患者の多くが高齢者であり、多剤併用によって起こる薬の重複や相互作用による健康被害を防ぐために、薬剤師が重要な役割を果たします。そのような取り組みを評価するのが「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」であり、本記事ではその算定要件や2024年度の改定内容、レセプト摘要欄への記載内容などについて詳しく解説します。

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料とは

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料とは、在宅で療養している患者に対して、薬の重複や相互作用による健康被害を防ぐための取り組みを評価するものです。残薬状況を把握し、残薬を減らす取り組みを行った場合も評価対象です。
医薬品の適正使用の推進に向けて、薬局における疑義照会の評価する一環として2016年度改定にて新設されました。

2024年度診療報酬改定のポイント

2024年度の診療報酬改定における、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の変更のポイントは以下の2つです。

  • 残薬調整の場合の点数が30点→20点に減算となった。
  • 処方箋交付前の薬剤師の提案を受けたことによる処方変更も評価の対象となった。

従来の要件では、医師の往診に同行した際や事前に情報提供を行なった際など、処方箋が発行される前に処方提案を行った内容が処方に反映された場合は、評価を受けていませんでした。

しかし、2024年度の改定により、処方箋交付前の提案内容が反映された場合にも算定できるものとして要件が見直されました。
今後は薬剤師と医療機関の連携をさらに強化し、積極的に処方に関わる提案を行っていくことが期待されています。

参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定要件

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して処方箋の処方内容に係る照会、または患者へ処方箋を交付する前に処方内容に係る提案を行った結果、処方に変更が行われた場合に算定することができます。

なお、処方箋交付前後にかかわらず、算定する上で処方内容の変更は必須となります。

算定対象患者

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定対象となるのは、以下のいずれかを算定している患者です。

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者オンライン薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急時等共同指導料
  • 居宅療養管理指導費
  • 介護療養居宅管理指導費

介護保険を利用して、居宅療養管理指導費を算定している患者も要件を満たせば算定が可能です。

算定点数

2024年度の診療報酬改定において、処方箋交付前の提案も評価されるようになったことで、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は1と2の2区分ができました。それぞれの算定点数は以下の通りです。

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
1(処方箋交付後) 2(処方箋交付前)
イ 残薬調整に係るもの以外40点
ロ 残薬調整に係るもの  20点
イ 残薬調整に係るもの以外40点
ロ 残薬調整に係るもの  20点

参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料1・2の違い

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料1・2の違いとして、「提案のタイミング」「薬歴への記載内容」があります。

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
1 2
提案の
タイミング
処方箋交付後(疑義照会) 処方箋交付前
薬歴への
記載内容
・処方医に連絡
・確認を行った内容の要点
・変更内容
・処方医への提案内容の要点
(具体的な処方変更の内容、提案に至る
までに検討した薬学的内容および理由等)
実施日時

また、医療従事者間のICTを活用した服薬状況等の情報共有をおこなった場合には、処方提案等を実施した日時が記録され、必要に応じてこれらの内容をいつでも確認できることが望ましいとされています。

参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

重複投薬・相互作用等防止加算との違いや算定要件について知りたい方は以下の記事をご覧ください。

算定対象となる取り組みの内容

ここからは、実際にどのような取り組みや提案を行うことで、本加算を算定することができるのかをみていきましょう。

先ほども述べたとおり、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は「残薬調整に係るもの以外」の場合は40点「残薬調整に係るもの」の場合は20点を算定します。取り組み内容によって算定点数が変わってきますので、それぞれどのような内容なのかを確認してみましょう。

残薬調整に係るもの以外(40点)とは

以下の内容について、処方医に連絡や確認および処方前に提案を行った結果、処方変更が行われた場合に40点を算定することができます。

(イ) 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む)
(ロ) 併用薬、飲食物等との相互作用
(ハ) そのほか薬学的観点から必要と認める事項
  ・アレルギー歴や副作用歴に基づき処方変更となった場合
  ・薬学的観点から薬剤の追加や投与期間の延長が行われた場合

残薬調整に係るもの(20点)とは

薬剤師が患者の残薬を確認した際に、処方医に対して連絡や処方前の提案を行った結果、残薬調整を実施するよう処方に反映された場合は20点を算定します。

また、残薬が生じる理由についても、薬剤服用歴などの確認や患者さんへの聞き取りを行った上で薬学的分析を行い、必要に応じて医師へ情報提供することとされています。

参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

算定ができないケース

以下に示すケースでは、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料を算定することはできません。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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