【2024年度改定版】在宅患者緊急時等共同指導料の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

社会の高齢化が進む中、医療・介護職種が連携して患者を支える在宅医療を利用する方が増えています。特に急な病状の変化があった時などは、多職種が連携し、スムーズに治療を継続していくことが重要です。
本記事では、そういった取り組みを評価する在宅患者緊急時等共同指導料の算定要件や留意点、レセプトへの記載事項をわかりやすく解説していきます。
在宅患者緊急時等共同指導料とは
在宅患者緊急時等共同指導料とは、在宅療養中の患者に病状の変化や治療方針の変更などが生じた際に、薬剤師を含む医療・介護関係者が患者宅でカンファレンスを行い、必要な指導を共同で実施することで算定が可能な項目です。
関係職種間での情報共有や連携が図られ、患者や家族が安心して療養を続けられるよう支援するための取り組みを評価したものです。
在宅患者緊急時等共同指導料の算定要件
在宅患者緊急時等共同指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養をおこなっている患者の病状の急変や診療方針の大幅な変更等が生じたことに伴い、保険医をはじめとする関係する他の医療職種と共同でカンファレンスに参加し、療養上必要な指導を行った場合に算定することができます。
在宅患者緊急時等共同指導料の主な算定要件
算定点数 | 700点(月2回に限り) |
算定対象患者 | 在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なもの |
保険医の求め | 以下のどちらかの求めが必要 ・在宅療養を担う保険医療機関の保険医 ・連携する他の保険医療機関の保険医 |
算定タイミング |
薬学的管理指導を実施した日 (カンファレンスおよび薬学的管理指導1回につき1回算定) |
医師への情報提供 | 必要(文書で実施) |
※1カンファレンスを行った日と異なる日に薬学的管理指導を行った場合でも算定できるが、カンファレンス後速やかに薬学的管理指導を実施することとされている。
なお、在宅患者緊急時等共同指導料を算定する場合は在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定することはできません。参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定要件についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
在宅患者緊急時等共同指導料を算定する際の留意点
在宅患者緊急時等共同指導料を算定するにあたり、細かな要件や必要な実施事項等を確認しておきましょう。
共同でカンファレンスをおこなう医療関係職種
共同でカンファレンス等を実施する関係職種には以下のものが含まれます。
患者の在宅での療養を支えていく上で、医療・介護職種が情報共有を行いながら進めていくことが重要であり、幅広い職種が対象となっています。
合同カンファレンスに参加する関係職種
- 保険医
- 歯科医師
- 保健師
- 助産師
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 介護支援専門員
- 相談支援専門員
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
医師への文書による情報提供
在宅患者緊急時等共同指導料を算定する上で、薬学的管理指導を実施後、訪問結果を医師に文書にて情報提供をすることが要件の一つです。
在宅療養を担う保険医療機関の保険医と連携する他の保険医の求めにより、薬学的管理等を実施した場合は、当該保険医に加え、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医にも必要な情報提供を文書で行う必要があります。
また、在宅療養を担う保険医療機関の保険医と連携する他の保険医については、担当医に確認し、薬学的管理指導計画書等に当該医師の氏名と医療機関名を記載することとされています。
薬剤服用歴への記載事項
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定する際は、薬剤服用歴等に以下の内容を忘れず記載しましょう。
薬剤服用歴への記載事項
- カンファレンスおよび薬学的管理指導の実施日
- 薬学的管理指導を行った保険薬剤師の指名
- カンファレンスに参加した医療関係職種等の指名
- 共同でカンファレンスを行い、薬学的管理指導を実施した旨およびその理由
- カンファレンスの要点
- 薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む)
- 保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
在宅患者緊急時等共同指導料を算定できない場合
次に当てはまる場合は在宅患者緊急時等共同指導料を算定することはできません。
オンラインにて薬学的管理指導をおこなった
以下の条件を満たしていれば、合同のカンファレンスにはビデオ通話などのオンラインでの参加も可能です。
ただし、オンラインで薬学的管理指導を行った場合は、「在宅患者オンライン薬剤管理指導料」を算定することになるため、「在宅患者緊急時等共同指導料」は算定できません。
合同カンファレンスにオンラインで参加する条件
- 当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の1名以上は、患者の自宅に赴き、カンファレンスを行っていること。
- 患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。
- 保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 」に対応していること。
同時算定できない項目を算定している
特別調剤基本料Bを算定している薬局では、在宅患者緊急時等共同指導料を算定することはできません。
また先ほどの説明のとおり、オンライン薬学的管理指導を行った場合は在宅患者オンライン薬剤管理指導料を算定するため、在宅患者緊急時等共同指導料は算定できません。
患者宅と薬局の距離が16kmを超える
訪問薬剤管理指導を実施するにあたり、原則として保険薬局の所在地と患者宅との距離が16km以内という距離の制限が定められています。
そのため、在宅患者緊急時等共同指導料においても同様に、16kmを超える場合は原則保険で算定することはできません。
ただし、患者宅の16km圏内に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている保険薬局が存在しないなど、訪問を行う薬局でなければ対応できない特殊な事情がある場合は例外として認められています。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
在宅患者緊急時等共同指導料算定時のレセプト記載事項
在宅患者緊急時等共同指導料を算定する際のレセプト摘要欄への記載事項を確認していきましょう。