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調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年7月5日 薬剤師コラム編集部

【2024年度改定版】介護予防居宅療養管理指導の算定要件や居宅療養管理指導との違い

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高齢化が進む日本において、いかにして要介護状態を防ぎ、住み慣れた地域で自立した生活を続けていくかは、重要なテーマとなっています。

その中で注目されているのが「介護予防居宅療養管理指導」という取り組みです。これは、医師や歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士などの専門職が連携し、要支援1または要支援2と認定された方に対し、居宅に訪問して行う療養管理や生活指導を通じて要介護化の予防を図るサービスです。

今回は介護予防居宅療養管理指導についての算定要件や居宅療養管理指導との違いについて解説していきます。

介護予防居宅療養管理指導とは

介護予防居宅療養管理指導とは要支援1または要支援2の認定を受けた方を対象に、医師や歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士などの専門職が自宅を訪問し、介護予防のために療養管理や生活指導を行うサービスのことです。

ケアマネージャーに対して、ケアプランの作成に必要な情報提供も行います。

介護が必要になる前の段階で、専門職が健康状態や生活習慣を把握し、疾病の重症化や要介護状態への移行を防ぐことを目的としています。

専門職 主な内容
医師・歯科医師 健康状態や口腔の診察、生活指導、療養計画の作成・指導など
薬剤師 服薬状況の確認、薬剤の整理、副作用の確認、残薬管理、
服薬アドヒアランスの向上支援など
管理栄養士 栄養状態の評価、食生活の改善指導、低栄養やフレイル予防に
向けたアドバイスなど
歯科衛生士 口腔内の衛生状態の確認、ブラッシング指導、口腔機能向上の
ための助言、嚥下困難肺炎予防支援など

参照:居宅療養管理指導 /厚生労働省

居宅療養管理指導との違い

介護予防居宅療養管理指導と居宅療養管理指導の違いは、対象となる患者が要支援の認定を受けているか、または要介護の認定を受けているかです。

介護予防居宅療養管理指導 要支援1
要支援2
・要支援状態にある65歳以上の者
・要支援状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が特定疾患によって生じたもの
居宅療養管理指導 要介護1
要介護2
要介護3
要介護4
要介護5
・要介護状態にある65歳以上の者
・要介護状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令に定める特定疾患によって生じたもの

つまりまだ介護が必要でないが、要介護者にならないように支援が必要な方を対象にしたのが介護予防居宅療養管理指導であり、すでに介護が必要となっている方を対象としたのが居宅療養管理指導となりますが、ほぼ同様の内容となります。

参照:要介護認定に係る法令 /厚生労働省

居宅療養管理指導の算定要件についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

介護予防居宅療養管理指導の算定要件と単位

介護予防居宅療養管理指導は、病院または診療所の薬剤師が行う場合と、薬局の薬剤師が行う場合では単位数が違います。

病院または診療所の薬剤師が行う場合

  • 単一建物居住者1人に対して行う場合⋯566単位
  • 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合⋯417単位
  • 単一建物居住者10人以上に対して行う場合⋯380単位

薬局の薬剤師が行う場合

  • 単一建物居住者1人に対して行う場合⋯518単位
  • 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合⋯379単位
  • 単一建物居住者10人以上に対して行う場合⋯342単位
  • 情報通信機器を用いた服薬指導を行う場合⋯46単位

在宅の利用者であって通院が困難なものに対して、薬剤師が医師または歯科医師の指示に基づき、当該利用者へ薬学的な管理指導を行い、ケアマネージャーに対して介護予防サービス計画の策定等に必要な情報提供を行った場合につき、単一建物居住者の人数に従い、月に2回(薬局薬剤師にあっては4回)を限度として所定単位が算定可能です。

薬局薬剤師は情報通信機器を用いた服薬指導を行うことができますが、その場合、訪問して指導する場合の回数と合わせて月に4回算定できます。

また、がん末期患者、中心静脈栄養もしくは注射による麻薬の投与を受けている利用者の場合は、週間に2回かつ月に8回が所定点数の算定限度となることも覚えておきましょう。

参照:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(第八十六号介護保険) /厚生労働省

単一建物居住者とは

介護報酬における単一建物居住者とは、同じ建物(または同一敷地内)に住んでいる人のうち、「当該薬局が介護予防居宅療養管理指導を実施している患者の人数」のことです。

つまり、サービス付き高齢者向け施設、グループホーム、有料老人ホーム、高齢者向け集合住宅などで複数の患者が該当する場合、単一建物居住者が2人以上となります。

同じ建物に複数の利用者がいると、薬剤師などの訪問者は一度の訪問で複数人に指導ができるため、効率が良くなる分、報酬単位が下がってしまうのです。

介護予防居宅療養管理指導算定上の実施事項

介護予防居宅療養管理指導を算定するにあたって必要な実施事項としては次のことがあげられます。

  • 医師または歯科医師の指示があること
  • 利用者の家(居宅)に行くこと(自宅はもちろん、有料老人ホームなど居住扱いの建物でも算定できますが、病院や特養など施設入居者は対象外となります。)
  • 服用状況の確認、残薬の整理、副作用のチェックなどの薬学的管理・指導を行うこと
  • 記録の作成
  • ケアマネージャーに報告書を作成

2024年度介護報酬改定のポイント

2024年度の介護報酬改定では、単位数の変更や、新規加算が追加されました。

病院又は診療所の薬剤師が行う場合 改定後 改定前
単一建物居住者が1人 566単位 565単位
単一建物居住者が2人以上9人以下 417単位 416単位
単一建物居住者が9人以上 380単位 379単位
薬局の薬剤師が行う場合 改定後 改定前
単一建物居住者が1人 518単位 517単位
単一建物居住者が2人以上9人以下 379単位 378単位
単一建物居住者が9人以上 342単位 341単位
情報通信機器を用いた服薬指導を行う場合 46単位 45単位

すべて1単位プラスとなっています。これは、薬剤師が行う場合に限らず、医師など他の職種が行う場合についても同様の改定となっています。

また、以下の加算が新設となりました。

  • 医療用麻薬持続注射療法加算⋯250単位
  • 在宅中心静脈栄養法加算⋯150単位

参照:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示 令和6年3月15日 /厚生労働省

介護予防居宅療養管理指導に対する加算項目

介護予防居宅療養管理指導を対象とした加算は以下の3項目です。

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薬剤師コラム編集部

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