【2024年度改定版】特定保険医療材料の算定要件や注意点をわかりやすく解説

特定保険医療材料は、在宅医療を中心に薬局で取り扱うこともありますが、その機会はそれほど多くないため、戸惑うこともあるかもしれません。
本記事では、特定保険医療材料の基本情報に加えて、薬局で取り扱える種類や確認手順、レセコンへの入力方法、注意すべき品目について解説していきます。
取り扱いに迷った際に、ぜひご活用ください。
特定保険医療材料とは
特定保険医療材料とは、医療材料のうち厚生労働大臣から指定された医療機器や、在宅医療で使用されるもののことを指します。
それぞれ品目ごとに価格が設定されており、医療機関が算定する処置料などとは別に、保険請求が可能です。
特定保険医療材料の材料価格算定に関しては、厚生労働省から以下の通り示されています。
1.保険診療に用いられる医療機器・材料(保険医療材料)に係る費用を、手技料及び薬剤料と別途算定する場合は、材料価格基準別表の各項に規定されている材料価格により算定する。
2.特定保険医療材料料を算定する場合には、特定保険医療材料の材料価格を10円で割った点数となるが、端数が生じた場合は端数を四捨五入して得た点数とする。
3.特定保険医療材料以外の保険医療材料については、当該保険医療材料を使用する手技料の所定点数に含まれているため別途算定できない。また、特定保険医療材料以外の保険医療材料を処方せんにより給付することは認められない。さらに、保険医療材料を患者に持参・購入させてはならない。
4.特定保険医療材料は、薬事承認又は認証された使用目的以外に用いた場合は算定できない。
参照:特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について /厚生労働省
医療材料・衛生材料とは
医療材料・衛生材料とは、医療現場や介護現場で使用される医療機器および器具、医薬品などの総称です。
特定医療材料とは、その中でも処置料・薬剤料などとは別に診療報酬請求することができる医療材料のことを指します。
医療材料は特定医療材料以外にも、保険適応ではない医療機器であるフィルム材・パッド付きドレッシング等が含まれ、衛生材料はガーゼ・ 絆創膏・ ロールフィルムなどの雑品系の製品が該当します。
特定保険医療材料の点数
特定保険医療材料の点数は、材料価格を10円で割って算出します。端数が生じた場合は、端数を四捨五入してください。
点数の算出方法
薬価を10で割った値 | 点数 |
10.49 | 10点 |
10.5 | 11点 |
10.51 | 11点 |
保険薬局で交付可能な特定保険医療材料
特定保険医療材料のうち、保険薬局で交付可能なものは一部であり、該当のものは以下のとおり定められています。
保険薬局で交付できる特定保険医療材料とは、別表2 に掲げるものとし、次に該当する器材については算定できない。
ア 別表3 に掲げる薬剤の自己注射以外の目的で患者が使用する注射器
イ 在宅医療以外の目的で患者が使用する「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準) 」(平成20年厚生労働省告示第61号)の別表のⅠに規定されている特定保険医療材料
それぞれの特定保険医療材料の定義については、「特定保険医療材料の定義について(令和6年3月5日)/厚生労働省 」をご確認ください。
在宅医療に関連する算定項目について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
特定保険医療材料の見分け方
医療機関等から薬局での交付を依頼された際、その品目が特定保険医療材料にあたるのかの見分け方がわからないという方もいるかもしれません。
ここではトレックス-Cを例に、確認方法の手順を紹介していきます。
特定保険医療材料の確認方法の手順
①添付文書を検索
まずは医療機器の添付文書を検索し、文書の上部を確認しましょう。
(例)
医04 整形用品
管理医療機器 非固着性創傷被覆・保護剤 11325000
トレックス-C
類別が「医04 整形用品」、一般名称が「非固着性創傷被覆・保護剤」と記載されています。
②厚生労働省の文書を確認
添付文書で情報を得たら、厚生労働省の「特定保険医療材料の定義について 」において該当の項目をみていきます。
009 非固着性シリコーンガーゼ
(1)定義
次のいずれにも該当すること。
① 薬事承認又は認証上、類別が「医療用品(4)整形用品」であって、一般的名称が「非固着性創傷被覆・保護材」であること。
② 創傷面とガーゼの固着を防ぐことを目的にシリコーン又はワセリンエマルジョンをコーティングしたガーゼであること。
(以下省略)
トレックス-Cは、「009 非固着性シリコンガーゼ」の定義に当てはまるため、特定保険医療材料に該当することが確認できました。
また、非固着性シリコンガーゼは、「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」(平成20年厚生労働省告示第61号) の別表のⅠに規定されている特定保険医療材料であるため、在宅医療の目的で患者が使用する場合は薬局でも取り扱いが可能です。
このようにして、処方箋に記載があった際に「特定保険医療材料にあたるのか」「保険薬局で取り扱いが可能なのか」を確認してから交付および保険請求を行いましょう。
特定保険医療材料に関するレセプト記載内容
処方箋に特定保険医療材料に関して記載があった場合、調剤料を算定することはできませんが、材料費の請求は可能です。
その際、以下のとおりレセコンへ記載するように定められています。