調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2026年5月30日 薬剤師コラム編集部

【2026年新設】門前薬局等立地依存減算とは?算定要件をわかりやすく解説

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2026年度(令和8年度)の調剤報酬改定では、「門前薬局等立地依存減算」が新設されました。
薬局の地域化がなかなか進まないことを背景に、一定の施設基準に該当する都市部の門前薬局や医療モール内薬局などが減算対象となっています。

本記事では、門前薬局等立地依存減算が新設された目的や算定要件、施設基準などについてわかりやすく解説します。

門前薬局等立地依存減算とは【2026年新設】

門前薬局等立地依存減算とは、令和8年6月1日以降に新規開設する薬局について、すでに多数の薬局が所在する地域または医療モール内に立地し、特定の医療機関からの処方箋集中率が高い場合などに、調剤基本料を減算するというものです。

薬局の地域偏在や門前立地への依存を是正する目的で、2026年度(令和8年度)の調剤報酬改定で新設された減算項目です。対象となるのは以下のような薬局です。

①都市部の門前薬局・密集薬局
②複数の医療機関が入っている医療モール内薬局

このような薬局において、一定以上の処方箋集中率を満たすなど、施設基準に適合する場合は減算の対象となります。

参照:令和8年度診療報酬改定の概要 【調剤】 /厚生労働省

門前薬局等立地依存減算が新設された背景

門前薬局等立地依存減算が新設された背景には、「患者のための薬局ビジョン」策定後も、依然として門前立地への依存が続いていることがあります。

2015年に厚生労働省が公表した「患者のための薬局ビジョン」では、「門前」から「かかりつけ」への転換が掲げられ、薬局の地域化が目指されてきました。
具体的には、面分業の推進として、次のような目標が示されています。

  • 2025年までにすべての薬局がかかりつけ機能を持つこと
  • 2035年までに立地も地域型へ移行すること

しかし実際には、門前型薬局や医療モール型薬局は増加傾向にあり、特定医療機関への依存度が高い薬局の割合も上昇しています。

【処方箋集中率が高い薬局数(いわゆる門前薬局数)の推移】

処方箋集中率 2015年 ※1 2024年 ※2
95%以上薬局割合 14.0% 17.3%
85%以上薬局割合 32.5% 39.3%

※1)平成27年7月1日の厚生局届出より保険局医療課作成(n=45,147)
※2)令和6年8月1日の厚生局届出より保険局医療課作成(n=60,086)

このような状況を踏まえ、地域に根差した薬局への転換を促す目的で新設されたのが、「門前薬局等立地依存減算」です。

参照:令和8年度診療報酬改定の概要 【調剤】 /厚生労働省

門前薬局等立地依存減算の算定要件と点数

門前薬局等立地依存減算は、厚生労働大臣が定める保険薬局において調剤をした場合に、調剤基本料から15点を減算するものです。

この減算は、薬局や薬剤師、医薬品等の医療資源の分散を防止して、地域における効果的な医薬品供給体制の整備を推進することを目的としています。また、ポリファーマシーをはじめとする医薬品に関する課題へ適切に対応できる体制を整備し、地域医療の質向上につなげる狙いもあります。

具体的には、特定医療機関の周辺に立地し、その医療機関の処方箋に大きく依存している、いわゆる「門前薬局」など、立地特性による業務の影響が大きいとして施設基準に該当する保険薬局では、減算対象になります。

参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

門前薬局等立地依存減算の施設基準と届出

門前薬局等立地依存減算は、以下のいずれかの施設基準に該当する保険薬局に適用されます。大きく分けると、(1)は都市部における門前薬局・密集薬局(2)は医療モール・同一敷地内薬局を対象とした基準となっています。

【門前薬局等立地依存減算に関する施設基準】

次のいずれかに該当する保険薬局であること。
(1)次のアからウまでのいずれにも該当する保険薬局であること。
 ア 都市部に所在し、かつ水平距離 500 メートル以内に他の保険薬局があること。
 イ 処方箋集中率が85%を超えること。
 ウ 次のいずれかに該当すること。
  (イ)保険医療機関(許可病床数が200床以上)の敷地境界線からの水平距離が100メートル以内の区域内に所在し、当該区域内及び当該保険医療機関の敷地内に、他の保険薬局が2以上所在すること。
  (ロ)当該保険薬局の敷地境界線からの水平距離が50メートル以内の区域内に、他の保険薬局が2以上所在すること。
  (ハ)当該保険薬局の敷地境界線からの水平距離が50メートル以内の区域内に所在する他の保険薬局が、(ロ)に該当すること。
(2)次のア及びイに該当する保険薬局であること。
 ア 処方箋集中率が85%を超えること。
 イ 保険医療機関が所在する建物又は敷地と同一の建物内又は敷地内に所在すること。

保険薬局の門前薬局等立地依存減算の施設基準に係る届出は、別添2の様式 84 (調剤基本料)を用いて行います。

なお、特別調剤基本料Aを算定する保険薬局には門前薬局等立地依存減算は適用されません。

参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号) /厚生労働省

施設基準(1)都市部における門前薬局・密集薬局の場合

都市部というのは特別区・政令指定都市を指します。
具体的な対象地域は以下のとおりです。

【都市部に該当する地域】

札幌市 / 仙台市 / さいたま市 / 千葉市 / 東京23区 / 横浜市・川崎市・相模原市 / 新潟市 / 静岡市・浜松市 / 名古屋市 / 京都市 / 大阪市・堺市 / 神戸市 / 岡山市 / 広島市 / 北九州市・福岡市 / 熊本市

また、施設基準(1)のウについて、「それぞれが示す区域内に他の保険薬局が所在する」とは、当該区域内に他の薬局の敷地境界線の一部が含まれていることを指します。

参照:特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第71号) /厚生労働省
参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号) /厚生労働省

施設基準(2)医療モール・同一敷地内にある薬局の場合

施設基準の(2)のイに示されている「保険医療機関が所在する建物又は敷地と同一の建物内又は敷地内に所在する場合」とは、次のいずれかに該当する場合のことを指します。

不動産登記法上、同一の地番又は一団の土地として取り扱われている土地上に、保険医療機関と当該保険薬局が所在する建物又は敷地である場合
イ 保険医療機関と当該保険薬局が所在する敷地又は建物が、外観上分離されておらず、また構造上も外壁、床、天井又は屋根といった敷地又は建物の主要な部分が一体として連結し、あるいは密接な関連をもって接続している場合
ウ 保険医療機関と当該保険薬局が、共用の通路、エントランス、駐車場、案内表示その他の共用部分を有し、外形上、医療モール等として一体的に利用されていると認められる建物又は敷地である場合(共用部分をフェンス等で区切ってあるのみで、実質的に共用部分 として利用される場合を含む。)
エ 保険医療機関、保険薬局等を複数集合させることを目的として、不動産開発業者等が開発の企画、不動産の取得、建築物の建設、入居の募集等を行った敷地又は建物である場合

参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号) /厚生労働省

処方箋集中率の計算方法の見直し【2026年改定】

2026年度の診療報酬改定では、処方箋集中率の計算方法が見直されました。

門前薬局等立地依存減算の施設基準には、「処方箋集中率が85%を超えること」が含まれています。
今回の見直しは、処方箋集中率に影響を与える可能性があるため、きちんと理解しておく必要があります。

主な変更点のポイントは2つです。

【処方箋集中率の計算方法の見直し】

①医療モール内や同一敷地内に複数の医療機関が所在している場合、 当該複数の医療機関を1つの医療機関とみなして処方箋集中率を計算する

②介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、 養護老人ホーム、軽費老人ホーム、認知症高齢者グループホームに入居する患者に係る処方箋については、処方箋集中率の計算における「特定医療機関に係る受付回数」および「当該期間に 受け付けた全ての処方箋の受付回数」のいずれからも除外する。

特に①の見直しは、医療モール薬局・同一敷地内薬局において重要なポイントとなります。
複数の医療機関を1つの医療機関とみなして計算するため、該当する保険薬局では処方箋集中率85%を超える可能性が高くなるでしょう。

参照:令和8年度診療報酬改定の概要 【調剤】 /厚生労働省

門前薬局等立地依存減算の経過措置

門前薬局等立地依存減算には経過措置が設けられています。

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薬剤師コラム編集部

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