【2026新設】地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定要件を解説
2026年度(令和8年度)の調剤報酬改定では、「後発医薬品調剤体制加算」と「地域支援体制加算」が見直され、新たに「地域支援・医薬品供給対応体制加算」が新設されました。
この記事では、地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定点数や旧加算からの変更点、施設基準・届出等についてわかりやすく解説します。
地域支援・医薬品供給対応体制加算とは
地域支援・医薬品供給対応体制加算とは、医薬品の安定供給に資する取り組みや地域医療に貢献する保険薬局の体制等を評価する、調剤基本料の加算項目です。
従来の評価体系では、以下の算定項目がそれぞれ設けられていました。
- 後発医薬品調剤体制加算:後発品の使用促進や安定供給を評価
- 地域支援体制加算:地域の医療を支える薬局の体制整備や取り組みを評価
2026年度(令和8年度)の調剤報酬改定では、これらを統合・再編した「地域支援・医薬品供給対応体制加算」が新設されました。
評価体系が見直された背景には、後発医薬品の使用が定着する一方で、近年は医薬品の供給不安への対応など、薬局に追加的な業務負担が生じていることがあります。
また、地域における医薬品供給を通じて適切な医療提供体制の構築を促進する観点から、地域支援体制加算の要件も見直されました。
参照:令和8年度診療報酬改定の概要 【調剤】 /厚生労働省
「後発医薬品調剤体制加算」と「地域支援体制加算」の見直し
後発医薬品調剤体制加算は廃止され、後発医薬品の使用割合や医薬品の安定供給体制を評価する項目として、「地域支援・医薬品供給対応体制加算1」が新設されました。
さらに、この「地域支援・医薬品供給対応体制加算1」の要件を満たしたうえで、従来の「地域支援体制加算1〜4」の地域医療への貢献に関する要件を組み合わせる形で、「地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5」が新設されています。
| 地域支援体制加算1~4の 要件 (地域医療への貢献に 対する要件) |
地域支援・医薬品供給対応体制 加算1の要件(医薬品の安定 供給に資する要件) |
新規の加算 |
| ー | + | 地域支援・医薬品 供給対応体制加算1 |
| 地域支援体制加算1 | + | 地域支援・医薬品 供給対応体制加算2 |
| 地域支援体制加算2 | + | 地域支援・医薬品 供給対応体制加算3 |
| 地域支援体制加算3 | + | 地域支援・医薬品 供給対応体制加算4 |
| 地域支援体制加算4 | + | 地域支援・医薬品 供給対応体制加算5 |
つまり、2026年度改定では、「医薬品の安定供給に対応できる体制」が共通の基盤として位置づけられ、そのうえで地域医療への貢献度に応じて段階的に評価される仕組みに見直されたといえます。
参照:令和8年度診療報酬改定の概要 【調剤】 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定要件と点数
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、医薬品の安定供給に資する取り組みや、地域医療への貢献に関する体制等を評価する加算項目です。
施設基準を満たしたうえで必要な届出を行った場合に算定できます。
区分ごとの算定点数は以下のとおりです。2026年度の改定に伴い、各点数も変更になっています。
| 区分 | 改定前 | 改定後 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算1 | 21点(後発医薬品調剤体制加算1) 28点(後発医薬品調剤体制加算2) 30点(後発医薬品調剤体制加算3) |
27点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算2 | 32点(地域支援体制加算1) | 59点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算3 | 40点(地域支援体制加算2) | 67点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算4 | 10点(地域支援体制加算3) | 37点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算5 | 32点(地域支援体制加算4) | 59点 |
特別調剤基本料Aを算定している保険薬局においては、所定点数を100分の10にし、小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定します。
なお、特別調剤基本料Bを算定する保険薬局は、本加算を算定できません。
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準
地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準は、大きく以下の2段階に分かれます。
①地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準を満たすこと
②加算1の要件を満たしたうえで、加算2〜5の施設基準を満たすこと
まずは、すべての区分の基礎となる「地域支援・医薬品供給対応体制加算1」の施設基準を確認していきましょう。
地域支援・医薬品供給対応体制加算1を算定するためには、次のいずれも満たす必要があります。
- 地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制を有していること。
- 直近3月間の当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品の規格単位数量を合算した数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が85%以上であること。
なお、「医薬品の安定供給を確保するために必要な体制」とは、以下の要件を満たす場合を指します。
【地域支援・医薬品供給対応体制加算1の体制要件】
(1)医薬品の安定供給に向けた計画的な調達や在庫管理を行うこと。
(2)他の保険薬局に医薬品を分譲した実績(同一グループは含めない)があること。
(3)医薬品供給不安等により、迅速な医薬品入手が困難な場合は、入手可能な保険薬局を探し、在庫を確認の上で患者を案内したり、処方医に処方変更の可否を照会したりするなど適切な対応をすること。
(4)重要供給確保医薬品のうち内用薬及び外用薬であるものは1ヶ月程度の備蓄をするよう 努めること。
(5)原則として、単品単価交渉の実施をしていること。
(6)卸売販売業者への頻回配送・休日夜間配送・急配に係る過度な依頼を慎むこと。
(7)温度管理を要する医薬品や在庫調整を目的とした卸売販売業者への医薬品の返品は慎むこと。
(8)地域の保険医療機関や保険薬局、医療関係団体と連携し、取り扱う医薬品の品目につ いての情報共有や、事前の取り決めを行っておくことが望ましい。
また、後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を当該保険薬局の内側及び外側の見えやすい場所に掲示することも求められています。
参照:特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第71号) /厚生労働省
参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号) /厚生労働省
ここからは、体制要件について迷いやすいポイントをいくつか確認していきましょう。
体制要件(2)他の保険薬局への医薬品の分譲
他の保険薬局に医薬品を分譲する場合、 分譲に係る伝票、医療用医薬品の譲渡書または別紙様式4-1 を用いて行い、分譲後2年間保存することが求められています。
なお、他の保険薬局以外へ医薬品を分譲した場合の実績上の取り扱いは以下のとおりです。
- 保険医療機関:実績に含める
- 同一開設者の保険薬局:実績には含めない
同一開設者の保険薬局に対して分譲をおこなった場合は、別紙様式4-1に示す医薬品の販売授与証明書の他、任意の様式の伝票または譲渡書を2年間保存することでも差し支えありません。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:疑義解釈資料の送付について(その2)令和8年4月1日 /厚生労働省
体制要件(3)医薬品の入手が困難な場合の対応
医薬品の供給不安等により医薬品の入手が困難で、患者に対して当該医薬品の在庫を有する保険薬局を案内する場合には、別紙様式4-2 を用いることとされています。
また、患者から別紙様式4-2を受け取った保険薬局は、2年間これを保存することが求められています。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
体制要件(4)「1ヶ月分程度の備蓄」とは
「1ヶ月分程度の備蓄」とは、重要供給確保医薬品のうち内用薬または外用薬の各品目について、当該保険薬局における直近1年間の調剤数量から算出した、1ヶ月分程度の使用数量を備蓄することを指します。
なお、ここでいう備蓄とは、当該保険薬局が実際に医薬品の在庫を保有していることを意味します。そのため、卸売販売業者側で在庫を確保しているだけでは、備蓄要件を満たしていることにはなりません。
参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号) /厚生労働省
体制要件(5)「単品単価交渉」とは
「単品単価交渉」とは、他の医薬品の価格の影響を受けず、地域差や個々の取引条件等により生じる安定供給に必要なコストを踏まえ、取引先と個別品目ごとに取引価格を決める交渉をいいます。
直近に地方厚生(支)局長等に届け出た別添2の様式85 (妥結率等に係る報告書)の3の(1)において、「単品単価交渉を行っていない」に非該当であることで本要件を満たすものとして取り扱います。
なお、取引先と個別品目ごとに取引価格を決めていたとしても、以下のような交渉は、「単品単価交渉」に該当しません。
【単品単価交渉に該当しない交渉】
- 総価値引率を用いた交渉(総価交渉や総価交渉除外有りを含む。)
- 全国最低価格に類する価格をベンチマークとして用いた交渉
- ベンチマークを用いた交渉のうち、配送コストなどの地域差及び購入金額、支払条件、 返品、急配等の取引条件を考慮していない単価をベンチマークとし、当該価格で決定する一方的な交渉
- 法人格・個人事業主が異なる加盟施設との取引価格の交渉を一括して受託する業者の価格交渉について、加盟施設ごとの地域差や取引条件等を考慮しない取引価格での交渉や加盟施設の確認が行われない交渉
参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号) /厚生労働省
地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5の施設基準
地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5に共通する施設基準は以下のとおりです。
①地域支援・医薬品供給対応体制加算1の基準を満たすこと
②それぞれ対象となる調剤基本料を算定していること
(地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3は「調剤基本料1」、地域支援・医薬品供給対応体制加算4・5は「調剤基本料1以外かつ特別調剤基本料B以外」が対象)
③地域医療への貢献に係る体制が整備されていること
④地域医療への貢献に係る実績を有していること
地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5の体制要件
地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5を算定する場合は、以下の体制要件を満たす必要があります。アの(ヘ)、コの(ハ)(ヘ)(ト)に関しては、2026年度の改定で新設・変更された内容です。
ア 地域における医薬品等の供給拠点としての対応
(イ)十分な数の医薬品の備蓄、周知(医療用医薬品1200品目)
(ロ)薬局間連携による医薬品の融通等
(ハ)医療材料及び衛生材料を供給できる体制
(ニ)麻薬小売業者の免許
(ホ)取り扱う医薬品に係る情報提供体制
(ヘ)調剤室の面積が16平方メートル以上確保されていること (令和8年6月以降に開設・改築・増築する場合のみ適用)
イ 休日、夜間を含む薬局における調剤・相談応需体制
(イ)一定時間以上の開局
(ロ)休日、夜間の開局時間外の調剤・在宅業務に対応できる体制
(ハ)当該薬局を利用する患者からの相談応需体制
(ニ)夜間・休日の調剤、在宅対応体制(地域の輪番体制含む)の周知
ウ 在宅医療を行うための関係者との連携体制等の対応
(イ)診療所又は病院及び訪問看護ステーションと円滑な連携
(ロ)保健医療・福祉サービス担当者との連携体制
(ハ)在宅薬剤管理の実績 24回以上
(ニ)在宅に係る研修の実施
エ 医療安全に関する取組の実施
(イ)プレアボイド事例の把握・収集
(ロ)医療安全に資する取組実績の報告
(ハ)副作用報告に係る手順書を作成
オ かかりつけ薬剤師が服薬管理指導を行う旨の届出
カ 患者毎に服薬指導の実施、薬剤服用歴の作成
キ 管理薬剤師要件(薬局経験5年以上、常勤、当該薬局在籍1年以上)
ク 研修計画の作成、学会発表などの推奨
ケ 患者のプライバシーに配慮、椅子に座った状態での服薬指導
コ 地域医療に関連する取組の実施
(イ)一般用医薬品及び要指導医薬品等(基本的な48薬効群)の販売
(ロ)健康相談、生活習慣に係る相談の実施
(ハ)緊急避妊薬の調剤又は販売を含む女性の健康に係る対応
(ニ)当該保険薬局の敷地内における禁煙の取扱い
(ホ)たばこの販売禁止(併設する医薬品店舗販売業の店舗を含む)
(へ)セルフメディケーション関連機器の設置(少なくとも3つ)
(ト)薬事未承認の研究用試薬・検査サービスを提供していないこと
参照:令和8年度診療報酬改定の概要 【調剤】 /厚生労働省
参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号) /厚生労働省
コ(へ)のセルフメディケーション関連機器に該当するのは、以下の7つのものです。
【コ(へ)のセルフメディケーション関連機器に該当するもの】
① 体重計
② 体温計
③ 血圧測定器
④ 体組成計(体脂肪率、 BMI等を含むもの)
⑤ 血中酸素飽和度測定器(パルスオキシメータ)
⑥ 握力計
⑦ 骨密度測定器
これらのうち、体重計・握力計を除いたものについては、承認または認証を得た医療機器である必要があります。
なお、1製品が複数の機能を兼ね備えている場合、①から⑦までのうち、3つの機能を果たせるのであれば、3製品未満の設置であっても、要件を満たすものとしてよいとされています。
参照:疑義解釈資料の送付について(その2)令和8年4月1日 /厚生労働省
また、コの(ト)の「薬事未承認の研究用試薬又は検査サービス」とは、公衆衛生の向上及び増進の観点から、 「薬機法等に抵触するおそれのある、疾病の診断や罹患リスクの判定を行うことができると標榜する研究用試薬又は検査用試薬」や、 「医師法等に抵触するおそれのある、疾患の罹患可能性の提示や診断等の医学的判断を行う検査サービス」のことです。
ただし、薬機法や医師法等に抵触するおそれのないものであれば、販売または提供をしても差し支えありません。
参照:疑義解釈資料の送付について(その3)令和8年4月20日 /厚生労働省
地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5の実績要件
地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5では、地域医療への貢献に関する実績要件が以下のように定められています。満たしている実績項目の種類や数によって、算定できる区分が変わってきます。
【地域支援・医薬品供給対応体制加算の実績要件】